ディグダグ
1982年にナムコから発売されたビデオゲームです。
'80年代初頭はナムコの黄金期でした。ギャラクシアンから始まりパックマン、ギャラガ、ポールポジション、ゼビウス、マッピーと出すゲーム全てが全て斬新でいずれも大ヒット作品となりました。ディグダグもその中にあって一際輝きを放ち続けた珠玉の名作です。
当時のナムコゲームの特徴はポップなグラフィックと可愛らしいキャラクター、斬新なアイディアから成立していました。しかし、ナムコが全くのオピニオンリーダーだったかと云えばそうではないのです。
ビデオゲームの基礎(システムやルール)を構築したのは米国のアタリ社です。現在の目で見ても'70年代中半から80年代初頭にかけてのアタリ社のゲームにおける独創性には驚愕させられます。ただ、いつの世でも新機軸を持つものは理解されないでしまう可能性を多分に孕んでいると云えるでしょう。ナムコが優れていたのは、そうしたアタリ社の構築したゲーム的なルールを踏まえた上で斬新なアイディアを作り出し、人目を引くグラフィックと愛されるキャラクターを乗せた点にあると云えます。またアタリ社のゲームにときたま見られた理不尽な感覚も消去してあります。
このようにしてナムコは本場である米国をも席巻して'80年代中盤まで王者であり続けたのです。それ以降の斜陽零落についてはまたの機会に書く事とします。
ディグダグの内容に戻りますが、この作品は初めて戦略性を持たせたアクションゲームだったと云えるのではないでしょうか。敵を纏めて倒すと高得点が入ると云うのはゲームの黎明期からあったフィーチャーですが、能動的に且つ先を見越して行なわなければならないのがディグダグの特徴です。敵を単体で倒すだけであればポンプを用い膨らませて破裂させるだけで良いのですが(これも凄いアイディア)、高得点を得る為には、リスク覚悟で縦穴を作り敵を多く誘導した上で岩を落下させなければなりません。ポンプで膨らませた敵を通過出来るあたりも練り込まれている証拠でしょう。予め仕掛けを作るところが戦略的であるのです。敵を纏めて潰した時の達成感はそれまでのゲームにはない感覚を与えてくれました。
音楽も非常にシステマティックです。BGMは自機が穴を掘っている時にしか鳴りません。それ以外は効果音のみです。ゲームのシステム上、岩の下で待機して敵を待ち受ける事があるので、待ち伏せしている緊張感を出す為の処置ではなかったのかと考えられます。
ゲーム序盤はゆったりとした牧歌的な印象で進んで行くのですが、後半になると敵の速度が上がり自機に向かって来るので、かなり激しい内容になります。敵の移動速度は自機と比較しても随分と早いのですが、岩で纏めて倒す事が出来るのでゲームバランスも非常に優秀です。
いまでも十分に遊べるのは全体として完成されているからでしょうね。最近ゲームボーイアドバンス用のソフトも発売されましたし、プレイステーションのナムコミュージアムにも収録されているので機会があったら是非とも遊んで欲しい作品です。
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