ドラゴンバスター (2)
1985年にナムコから発表されたビデオゲームです。
当時アクションRPGの代名詞としてヒットした本作ですが、現在に名作との冠を付けられて紹介される機会の少ない作品でもあります。
売上の面において劣っていたと思われる同社の「ドルアーガの搭」は現在に不朽の名作として語り継がれています。印象度としては全く引けを取らないと思われる「ドラゴンバスター」ですが、こうも評価されていない現状を見ると不遇の名作とでも云いたくなってしまいますね。
この差はどこから生じたものなのでしょうか。
先ずはゲーム内容を見て行く事にします。主人公の「クロービス」を4方向レバーで操り、攻撃ボタンを押す事で剣を一振りします。魔法ボタンは遠距離攻撃であるファイアボールの発射に使用されます。
レバーでジャンプするシステムが採用されているのですが、4方向レバーで斜めジャンプを行う為に操作性に大きな難があります。移動方向(横)、ジャンプ方向(上)と続けて入力しなければならないのです。入力受け付け時間もシビアなのでかなりの慣れが必要となります。
ゲームを攻略する為には「カブト割り」と云う技を常に出せるようにならなければなりません。具体的には、ジャンプ中にレバーを下に入れながら剣ボタンを押し続ける…で出せるのですが、殆どの場合は敵との間合いを詰めつつ攻撃出来る斜めジャンプ中の「カブト割り」を使用します。
しかし、これがなかなか出難いのです。使いこなせればテクニカルな技なのですが、思うように出せないと苛々してしまいます。
他にも苛立ちを募らせるシステムがあります。主人公が敵に攻撃を受けると、進行方向とは逆の位置へ空中に弾かれてしまいます。その際主人公の全ての判定が無効化され、攻撃も出来ないばかりか、登っている途中の蔦からも落ちてしまいます。ダメージ判定無効後にこちらの移動攻撃判定が復帰するので、連続してダメージを受けてしまうのです。これによって操作出来ない時間が増えてしまう事になっています。
主人公の攻撃については、剣ボタンを押す事でグラフィックと同調して上から下へと判定が移動して行きます。出始めは上に強く最後は下に強いと云う事になるのですが、大半の雑魚敵が当たり判定を下側に持っている為に、常にレバーを下に入れてしゃがみ攻撃をしなければならなくなっています。これは悪い部分とは云えないのでしょうが、レバーを進行方向に続けて2回倒す事でダッシュ移動出来る新システムに水を差している感がしないでもありません。
ゲームシステムは任意4方向スクロールで広いマップ内を移動して、中ボスであるルームガーターを倒しつつ出口を見付けると云うものになっています。ルームガーターは全部で4種類存在し、或る条件のもと乱数で配置決定されます。暗い部屋に入った瞬間ルームガーターが動き出し明るくなったと同時に雑魚敵が出現する演出はとても面白いですね。ルームガーターを倒すと全ての敵が消滅するのも同様です。
ルームガーターを倒す事で様々なアイテムを入手出来るところはRPG的な面白さを提供してくれます。攻撃力が2倍になる剣と防御力を高める盾を同時に持てないのがプレイヤーとしてジレンマを感じる部分ではあります。
ファイアーボールは緊急用の武器として無難に纏まっている印象です。対ドラゴン専用とも云えるスペシャルファイアーボールの出現数は絶妙とも思えます。
面スタート時の全体マップで進みたい方向を選択出来る点もRPG的な部分として新鮮な感を与えてくれていました。
システム的には良く出来ていると思わせる本作なのですが、操作性の問題から現在に通用するゲームだとは云い難い感がありますね。今の目で捉えると奥行きが浅いアクションゲームとしか見えません。「ドルアーガの搭」のような乱数要素も少ないので繰り返し遊びたいとも思わせてくれません。
結局は「カブト割り」さえ出せれば終わりと云うゲームに思えてしまいます。西洋ファンタジーだけが正義であった時代に発表された「ドラゴンバスター」の居場所は現在に用意されていなかったのでしょう。
それでも当時高級なPCを所持出来なかった者の劣等感を払拭してくれた青春の1ゲームとして、私は本作を名作だと信じて疑いません。今回これを書く為に久し振りで遊んで見たのですが意外と楽しめました。
プレイステーション用に発売されている「ナムコミュージアム2」収録のドラゴンバスターは、操作性の問題を解決する為に8方向レバー対応となっています。もし興味がおありの方はこちらで遊ばれる事を強くお奨めします。
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