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2004.11.08

HOME / ディクシー・チックス

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2002年に発表された女性カントリーグループ「ディクシー・チックス」の3枚目のアルバムです。

カントリーと聞いただけで辟易してしまう方も多いとは思いますが、本作は非常に良く出来たカントリーポップスの名盤です。彼女達は1998年にデビューしてから2枚のアルバムだけで2000万枚を売り上げた米国で最も有名な若手グループと云えるでしょう。
カントリーとは書きましたが、どちらかと云えばポップス寄りの楽曲が多いのも特徴です。カントリーで成功した女性は全国区でデビューする際に、必ずポップスを歌わせられるのが米国では通例となっています。ディクシー・チックスの3人も例外ではなく、1stアルバムはカントリーの風味が多少あるもののアイドル路線に乗せられたものとなりました。印象は田舎のセクシー姉ちゃんと云った感じでしたね。PVも肌の露出を多くして人目を集め、実際の演奏力にも感嘆して貰おうと云うものになっていました。
2ndも同様な路線で完成度を高めたアルバムとして大ヒットしています。

3rdアルバムである「HOME」は原点回帰とも取れるカントリー色の強いものとして作られました。編曲もそれまでのアルバムとは変わって、フィドル、バンジョー、スティールギターなどを使いカントリーからの逸脱も見られません。

カントリー出身の有名女性歌手は幾多存在していますが、丁度その頃は皆が次の方向性を模索しているかのような時期でもありました。シャナイアはセレブ路線を突き進み安定を得ましたが、リアン・ライムズのアイドル化は失敗し、ヒルはリスナーを無視するような独自路線へと進んで行きました。
そしてディクシーはカントリーに戻る決意をして「HOME」を作ったのだと思います。

レコード会社との契約の縺れから3年ほど活動停止を余儀なくされていた彼女達は心身ともに大人となり帰って来ました。それまでのアルバムは殆どカバー曲だけで作られていましたが、本作には出来の良い自作曲も幾つか収録されています。カバー曲も未だ多いのですが、編曲をカントリーにより近くして纏まった印象に仕上げて来ました。もともと地元の賞荒らしとして有名であり演奏力に疑いのない彼女達でしたが、今回のアルバムでも高次元の演奏を聴かせてくれています。CDの売上も当初は順調でした……。

米国大統領選でブッシュ氏が再選しましたのでこの話題に触れる事とします。
ディクシー・チックスはイラク戦争が始まって最初にブッシュ氏に異議を唱えた有名人だったのです。「同じテキサス出身者として恥ずかしい。最大の恥だ」との発言をしました。戦争ムード一色だった米国でこれは事件として扱われ議論を巻き起こしました。その結果、ディクシーの曲はラジオから流れなくなり、CDは各州が音頭を取り焼き捨てられました。そうしてディクシーのコンサートは各地でブーイングのみを喝采として盛り上がり、中止せざるを得ない状況に追い込まれて行ったのです。
それでもブッシュ氏への攻撃を緩めなかったディクシーは音楽業界から完全に干されてしまったと同様になりました。TIME誌の表紙で裸にブッシュ氏への当て擦りをペインティングすると云うパフォーマンスまでやっていました。

マドンナやエミネムでさえ自粛していた事をカントリー娘が3人だけでやってしまったのです。当初からMムーア監督は支持をしていましたが、米国では影響力を持っていない彼でしたので何の意味もありませんでしたね。
この問題がやや落ち着いた頃を見計らって言動を起こしたU2のボノや、曲に暗喩を込めて発表したBスプリングスティーンなどは大人だなと思います。
ディクシーも一年ほど経てから多少折れた発言などもしましたが、未だに彼女達の曲が米国で流れる事はありません。日本の有線ですら放送していないのが現状です。

ブッシュ氏が再選した事でディクシーの復帰はまだ先になるだろうとは思います。以前に比較すればブッシュ氏への批判も許容されているでしょう。しかし正直に思った事を最初に行動として表しただけの彼女達が不憫に思われて仕方がありません。ファンとしてはただディクシー・チックスの曲が聴きたいだけなのですが。

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