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2004.11.30

それから

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明治42年に朝日新聞へ連載された夏目漱石42歳の時の小説です。

前年に書かれた「三四郎」、そして本作、後に書かれた「門」が連作となっていて、漱石の青春3部作と呼ばれています。
「三四郎」では大学生の実る事がない淡い純愛がテーマとなっています。「それから」では高等遊民である青年が、昔愛してはいたものの友人に周旋してしまった女性を奪い取るまでが描かれています。そして「門」では地位、名誉、財産を失った平凡な男の日常と、悩みから解脱しようとして失敗する様が淡々と綴られて行きます。
以前紹介した「こころ」は青春3部作の解答編と云っても良いでしょう。

連作と書きましたが、実際には登場人物が一致している訳でもなく、内容が繋がっていると云う事でもありません。ただテーマとしての流れが存在しているのみなのです。

「いろいろな意味においてそれからである」
これが朝日新聞の連載前に漱石が掲げた予告の言葉です。

なんて斬新な題名の付け方なのでしょう。私は「門」を読んでいる途中でこの事実に気付いて大変感銘を受けました。また同時に目から鱗が落ちました。
題名とは作中の主となる人名や地名、また中身を云い表す具体的な単語であると思っていたのです。それに比較して「それから」と云う題名の何と抽象的な事でしょう。それでいて的確に内容を把握している言葉としての力に驚きました。ここに表現の可能性を授かったと云っても良いと思います。

漱石自身は題名には大した拘りを持っていなかったそうで、「門」に至っては門下生にお任せして放って置き、新聞の広告を見て初めていま自分の執筆している小説の題名を知った……と云う逸話も残っています。

しかし漱石の小説は中身を伴った素敵な題名が多いと思います。「吾輩は猫である」を始めとして「琴のそら音」「草枕」「行人」「道草」「幻影の盾」「永日小品」「夢十夜」などなど。「彼岸過迄」はお彼岸辺りまで執筆しようと思ったからだそうですが。

「それから」は若い人にお奨め出来る小説であると思います。主人公である長井代助の冷静な態度と独善的な思想は当時の書生たちにも大きな影響を与えました。武者小路実篤や菊池寛などがそうであったようです。ニヒルな芥川龍之介はその影響に感化された人たちを揶揄したりもしています。
しかし長井代助は社会的な地位から抹消される事を承知で人妻を愛して我が物としてしまうのです。それからの消息は「門」に詳しいと云えます。

あまりにも有名であり過ぎるが為に具体的には知られていない夏目漱石ですが、日本近代文学史に確固たる足跡を残した巨人である事には変わりありません。今の文学にはない豊富な語彙、流麗な文体からは学ぶべきものが多く含まれています。もし機会がありましたら一読して見る事をお奨めします。

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2004.11.29

ジョージ・ハリスン

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本日11月29日は元ビートルズのリード・ギター、ジョージハリスンの命日で3回忌となっています。つい先日の事のような印象があるのですが早いものですね。光陰矢の如しとは能く云ったものです。
ジョージは素敵な4人の中では最も地味な存在で一般への認知度もかなり低いのではないでしょうか。しかしビートルズ解散後に一早く花開き、且つ長く活動し続けたのもジョージ本人に他なりません。
ジョンとポールがソロになってから停滞し始めたのとは対照的に、ジョージはソングライティング術に磨きをかけてコンポーザーとしても経験を積んで佳作アルバムを量産して行きました。後進の育成にも留意して、恵まれない人の為にはバングラデシュ救済コンサートなども開催しています。
シニカルで銭ゲバの印象で語られる事の多いジョージですが、本当は心の優しい人だったのかも知れませんね。私の個人的な印象はナイナイの矢部さんと重なっていたりもするのですが。

ジョージのアルバムを聴いた事のない方も多いとは思いますが、これを機会に一枚購入してしまいましょう。お奨めはソロデビュー作である「All Things Must Pass 」で決まりですね。ビートルズ時代の没曲の寄せ集めとも云えるアルバムなのですが、どうして没になったのか不思議なほど良い曲が多く収録されています。ジョンとポールが印税欲しさにプロデューサーであるGマーティンと結託していたと云うのは有名な話ですけど。

もう1枚お奨めするならば最後のアルバム「Brainwashed 」ですね。死の直前まで制作を続けていた未完成のものをプロデューサーであるJリンと息子のダニーが完成させた遺言のようなアルバムです。悲壮感などは一切なくウクレレを隠し味に使った明るい作品になっています。死と云う暗い帷が降りつつあったにも拘わらず「Brain Washed(固定観念を捨てろ)!」と歌うジョージには感動させられてしまいます。

他のアルバムも遊びで作ったと思われる「電子音楽の世界」以外は買って損すると云う事はないと思います。ジョージはどちらかと云うと音痴ですし声域も狭いのですが、切々と歌い上げるところに彼独特の美しさを感じさせる何かを持っています。巷で云われるほど宗教色も濃くありませんので抵抗なく楽しめると思います。

ジョンレノンほどとは云いませんが、もう少し今日の命日をメディアが取り上げて彼の功績を讃えてくれてもいいのではないでしょうか。現在では再評価の気運も見当たらないのがジョージのファンとしては悲しいところです。

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2004.11.28

ちゃっくんぽっぷ

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1983年にタイトーが発表したビデオゲームです。

どちらかと云うとマイナーな作品なのですが、幾つかの面白いアイディアが目立つ固定画面アクションパズルゲームの佳作とも云えます。

4方向レバーと2個のボタンで主人公「ちゃっくん」を操作するのですが、移動システムが他にはない独特なものとなっています。
自分と同程度以下の段差ならば左右移動で飛び越せます。この時の足を伸ばしながら移動する「ちゃっくん」の感覚が不思議ですね。言葉では説明し難いのですが、地面にゴムの襞が吸い付くような感じと云えば良いでしょうか。他のゲームには先ず見当たらない感覚を持っています。

レバー上でジャンプ(背伸び)します。上に壁があると「ちゃっくん」が逆さに張り付いて、そこからまた移動出来るようになります。重力の法則は用意されているのですが、虫のように壁伝いに動けると云うシステムとなっています。
この特性を利用して迷路内を移動しつつ檻に入ったハートを救出する事が目的です。

ボタンは2個とも爆弾発射に使用します。「ちゃっくん」の向きに関係なく左ボタンを押すと左方向へ爆弾を発射、右ボタンならば右方向へ爆弾を発射します。後に出るカプコンの「サイドアームズ」やアイレムの「ロードランナー」と同様の方式ですね。
檻を壊すのも敵を倒すのにも使用する爆弾は発射3秒後に爆発します。このタイムラグがある為に敵の移動を先読みしなければならないのが本作の難しいところです。大きく広がる爆風は敵はおろか「ちゃっくん」までも死に追い遣ります。

このシビアな部分がゲームを面白くしているのと同時に理不尽な感を与える最大要因とも云えますね。スローモーな展開と相俟って前時代的なゲームにも思えるのですが、意外にもゲーム性が高く仕上がっています。
ゲームの流れとしては、危険になる前に爆弾を置いておき、爆風で敵を巻き込んで進む……これの繰り返しとなります。敵は或る程度の乱数で動いているので、その場その場での対処を考えながら進まなくてはなりません。或る意味戦略的なゲームとも云えます。
敵を3匹以上纏めて倒すとボーナスフルーツや無敵となる「すーぱーちゃっくん」が現れます。高いリスクを伴った上でのアイテムですので出現した時の喜びもひとしおと云えますね。

面構成も凝っていて、壊れる壁、移動する床、ワープゾーンなどが存在します。水風船を爆弾で割ってしまうとフィールドの水域が上がって行くと云うアイディアも面白いですね。

また本作には隠しボーナスが豊富に用意されています。クリア時の条件として、敵を全滅させると高得点。または全く敵を殺さないと高得点+エクステンドなどが代表的なものです。

個人的には大好きなゲームなのですが、身近に遊んでいる人が全く存在しなかったのは寂しい想い出です。オリジナルのアーケード版は出荷台数が少なかった事もあり無名のまま終わりました。しかし国産PCへの移植率はかなり高かったと云えます。ほぼ全てのPCに移植されていたと云っても過言ではない程でした。当時の低スペックPCでも遊べるシステマティックな構成が合っていたからだと思います。でもアーケードゲームとしては地味過ぎたのでしょうね。非常に味のあるアクションパズルの佳作だと思えるだけに残念でなりません。ちょっとしたアレンジを加えるだけで現在でも遊べるゲームになるとは思うのですが。

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2004.11.27

ジャングルキング

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1982年にタイトーから発表されたビデオゲームです。

8方向レバーとボタン1個を使用する横スクロールアクション物の傑作です。
ターザンを操作して内容の異なる4ステージをクリアして行きます。
1面はジャングルの蔦から蔦へと飛び移るジャンプアクション。
2面は水中を自由に泳ぎながらワニを倒しつつ進むアクション物。
3面は山の斜面を駆け登り、落下して来る岩石を避けて進みます。
4面では人喰い族をジャンプで避けながらジェニーを救出する事で一周クリアとなります。

この当時としては非常に多彩な構成を持ったアクションゲームでした。それぞれの面で操作系統が異なる事も新しい部分と云えます。
主人公がターザンと云うところも子供心を刺激しました。今では信じ難い事実かも知れませんが、この当時ターザンとは子供達が憧れるヒーローであったのです。現在ほどマスメディアが発展していなかった時代でしたので、アメリカ経由のターザン物(白黒)がよくテレビで放映されていました。蛮勇と優しさを兼ね備えたターザンはその雄々しい叫び声で子供達を虜にして離さなかったのです。30代以降の方ならば木登りをして雄叫びを上げた記憶をきっとお持ちの事と思います。

本作はそんな童心を刺激するに足る内容であったと云えるでしょう。しかし傑作とは書きましたが、それは当時にしてはと云う意味で現在に通用するゲームだとは云えないところが悲しいですね。
ボタンを押すタイミングのみで遊ぶ初期ビデオゲームの域を脱していませんし、かなり理不尽なミスを強いられる事が多いのです。年若い方であればクソゲーのもとに一蹴されてしまう事と思います。

本作は当時を知る方にしか共有出来ない想い出の名作と云えるのではないでしょうか。

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2004.11.26

ゼビウス(3)

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1983年にナムコから発表されたビデオゲームです。

本作のゲームシステムで最も優れていると思える部分が、敵地上物であるレーダー「ゾルバグ」の存在です。
ゾルバグはマップに配置してあるだけで攻撃もして来ない地上物なのですが、敵空中物の出現に大きく関与している重要な敵となっています。

本作に於ける敵空中物は出現テーブルによって管理されています。出現位置がマップ上で決まっていて、その場所に達すると5機程度から成る1編隊が飛来するのです。

①トーロイド
②トーロイド
③タルケン
④ジアラ
⑤ゾシー

例えば上のように設定されているとします。
①トーロイドが出現した後に、次の敵出現ポイントに達すると②トーロイドが出現。次の出現ポイントでは③のタルケンが出現すると云う仕組みです。
これだけでは全くのパターンゲームと同様のシステムとなるのですが、ゾルバグを破壊する事でこの出現テーブルを2つ前へ戻す事が出来るのです。
本来ならば④ジアラが出現するところを、その前にゾルバグを一個破壊する事で②トーロイドが出現すると云う具合です。
出現テーブルは後になるほど強い敵が現れるように設定されているので、如何にゾルバグを破壊して行くのかが大事な攻略法ともなるのです。
攻撃して来ない敵なのですが、破壊しなければ難度が高くなって行く……これは非常に考えられたシステムだと云えるでしょう。それだけでは害のないゾルバグを危険承知で破壊しなければならない、または現在の危険をやり過ごす為に将来の危険に備えなければならない。ゲームとしてのジレンマがシステムの中に含有されているのです。

そうして完全なパターンゲームとならない点が優れていますね。全てのゾルバグを破壊すれば良いのでしょうが、実際のプレイ時にはそうも行きません。
敵空中物の出現位置は、自機が画面真ん中から右に存在すれば左から。右に存在すれば左から出現するようになっている事もパターンを崩す一端となっています。また自機が画面真ん中に存在すると、敵出現後の移動によって左右からばらけて攻撃される事にもなってしまいます。

しかし慣れて来ると出現テーブルを覚えてしまうもので、次は⑮のブラグザカートだから⑬のトーロイドにしておかないとバキュラ地帯が難しくなるな……と計算して敵の出現を支配する事も可能となるのです。本当に良く出来たシステムだと云えますね。

本作は全16エリアで構成されていて、以後7エリアから16エリアのループゲームとなります。1面クリアと云う概念はなく、マップ上で森に覆われた地点まで来ると1エリアを踏破したと云う事になります。
面の途中70%に達するとミスをしても次のエリアに進めます。完全な攻略を必要とされていない点が初心者には優しくなっています。逆に上級者は残り30%を是が非でも攻略したいと思うでしょう。

発表当時ゼビウスはかなり難しいゲームだとされていましたが、間もなく「1000万点プレイヤー」が続々と現れました。この言葉もゼビウスから生まれたものの1つですね。
確かにパターン化の出来ない難しいゲームだとは思うのですが、エクステンド設定の調整が間違っていた為に上級者であれば延々と遊べるゲームとなってしまいました。通常エクステンドが7万設定となっていますが、ソルが2000点×2となっており、場所によっては4本ソル、8本ソルが存在しますので、かなり残機が溜まってしまうのです。スペシャルフラッグの存在も拍車を掛けていると云えます。本作の欠点らしい部分と云えばここだけだと思いますが。

ゼビウスに関しては語りたい事がそれこそ山ほどもあるのですが、長くなりそうなのでまたの機会にしたいと思います。
私はゼビウスの登場した時期に立ち会えて本当に幸運だったと感じています。あと数年でも遅く生まれていたらリアルタイムでゼビウスを見る事が出来なかったかも知れません。ゼビウスから受けた衝撃とはこれまでの何にも増して強かったと思います。作者である遠藤雅伸さんにも物を考える上での強い影響を受けました。これだけ素晴らしい作品を残していただいた事に幾ら感謝してもし足りない気持ちで一杯です。

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2004.11.25

ゼビウス(2)

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1983年にナムコから発表されたビデオゲームです。

当時社会的なブームまで巻き起こした本作のゲームシステムを簡単に見てみようと思います。

強制縦スクロールシューティングの雛形となったのは周知の事実ですね。これ以前にも縦スクロールのゲームは存在したと思うのですが、今では全く印象にありません。それだけゼビウスが衝撃的だったと云う事でしょうか。
総天然色に見える背景が絶妙な速度で画面下へ流れて行きます。配置された地上物を破壊する為の自機移動速度が本当に絶妙と云えるバランスから成立されています。これに関連して、敵の動きや攻撃方法などからプレイフィールドが広く感じられる点も特筆すべき部分です。

操作は8方向レバーと2つのボタンを使用します。
空中物と地上物を別のボタンを駆使して破壊しなければならない所が斬新でしたね。当時このようなゲームがなかった為にかなり難しく感じました。
空中用の「ザッパー」が高速で3連射出来る爽快感も新感覚だったと云えるでしょう。それまでのゲームは自機攻撃力の低い事が当然であり、それを工夫する事でゲームらしさを作っていた感がありました。
ゼビウスの自機「ソルバルウ」は高性能の最新鋭機と云う設定で、単身敵を撃破しに行くのですから当然の性能とも云えると思います。ガンダムがザク、ドム、ゲルググと順番に倒して行くようなイメージとも云えますね。
地上用の「ブラスター」は自機前方に照準を持っており、敵と重なった時に弾を発射すると撃破出来ると云う仕様です。単発の武器ですが一撃必殺の強さを持っています。私はここにスターウォーズのプロトン魚雷のイメージを抱きました。着弾点に赤い印が残るのも印象的な演出だと思います。

また当時は8方向レバーで画面内を自由に動き回れる事も新鮮だったのです。空中武器、地上武器を使い分ける事と相俟って本当に存在する空間を飛行しているように思えました。これは現在に本作を遊んでいても得られる稀有な感覚ですね。矛盾のない世界観から作り出される特殊な印象とも云えるでしょう。

画面内を自由にと書きましたが、実際には自機照準が画面からはみ出す事がないので、移動可能範囲は画面下から3分の2程度になっています。これはゲームシステム上の制限として上手く機能している部分です。

空中物である敵キャラクターは画面上部から現れて、自機と縦軸が合うと弾を発射して逃げて行きます。これはほぼ全ての敵が持つ基本的な動きです。作者である遠藤雅伸さん曰く「敵だって死にたくないのだから考えて行動する筈……」今迄のゲームにはなかった素晴らしい発想ですね。敵が単なるヤラレ役とはなっていないのです。敵機に搭乗した操縦士が恰も存在するような動きを見せるアルゴリズムが組まれている事に感動してしまいます。

地上物である敵はマップ上の決められた場所に配置されています。この配置がまた絶妙で並び方や見せ方も絵的なセンスを持ち考えられたものとなっています。遠藤さんが持つ美的感覚の面目躍如と云ったところでしょう。
地上物には様々な種類の敵が存在しています。単発砲台である「ログラム」、それを連結させた「ボサログラム」。多発砲台「デロータ」、その強化板「ガルデロータ」。移動砲台「ドモグラム」。前線レーダー「ゾルバグ」。貯蔵庫である「バーラ」、巨大貯蔵庫「ガルバーラ」。地上用戦車「グロブダー」。
全ての敵に名前が付いているのは勿論の事、存在する意味までも設定されているのです。ここまで考え抜かれたゲームはそれまでには存在しませんでした。空中物に関しても名前から開発経緯に至るまで設定されているのです。
ここまで考えられているからこその世界観と云えるでしょう。その構築の厳密だった事には、以後現れた幾多の二番煎じゲームには決して真似出来なかった事実からも実証されています。

そして隠れキャラである「ソル」が存在します。これは地上の或る場所にブラスターを打ち込むと出現します。見た目だけではどこに存在するのかさえも判然しません。唯一ブラスターの照準が重なると赤く点滅して知らせてくれるのです。全16エリア中に45本も隠されています。

「ソル」を初めて見た時は本当に感動しました。
当時私の通っていたゲームセンターにゼビウスをやり込んでいる高校生のグループがいたのですが、彼らはいつからか長い巻物のようなコピー用紙を見ながら遊ぶようになりました。そうして一人が画面を指し示し、プレイしている人がその近辺でボタンを連打しているのです。
中学生になったばかりの私は金銭上の都合で難度の高いゼビウスを殆ど遊んでいませんでした。専らギャラリーとして美しい画面を楽しんでいたに過ぎません。
偶然いつものように画面を覗き込むと、何もない地面からニョキニョキと塔のような物が生えて来るではありませんか。本当に衝撃的なフィーチャーでした。驚いている私を見た高校生の一人が得意気にソルの事を教えてくれました。敵が地中深くに隠したエネルギータワーで出現させると2000点、生え終わって破壊すると2000点。よほど重要な建物なんだろうね。それと2P側では影の部分を打たないと破壊出来ないよと。

私はこの事件以降ゼビウスを本気で遊び始めました。見様見真似で打ったブラスターから現れたソルを見た時は筆舌し難いほどの感動を覚えました。そうして遊び込むほどに当時のキャッチコピーであった「遊ぶほどに謎が深まる」を実感したのです。
「ゼビウス」以前に遊んでいたゲームが全て子供騙しにしか思えなくなったほどです。これは当時本作を体験した人全てが感じた真実ではないでしょうか。それほどまでにゼビウスの世界がリアルに充ち満ちていたのです。

記憶の皺が興奮してゲームシステムの話から逸脱してしまいました。続きは明日にします。

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2004.11.24

フレディ・マーキュリー

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本日11月24日は英バンド「クイーン」のボーカリスト、フレディ・マーキュリーの命日です。HIV合併症によるカリニ肺炎で亡くなったのが1991年ですから13回忌と云う事になります。もうそんなに経ってしまったんだと云うのが私の印象ですね。彼については語りたい事が山ほどあるのですが、それだけに整理し切れないので今回は止めておきます。
今日はフレディの冥福を祈って先日購入したライブエイドのDVDを見て過ごそうと考えています。

最後に皆さん、ホモゲイに拘わらずコンドームはちゃんと付けて事に臨みましょう。私も毎年ある健康診断の度に戦々恐々としてしまいます。最近はどこにでも病原体が存在している可能性がありますからねえ。

もうひとつ毎年思う事なのですが、フレディの代わりにエルトンが逝っちゃってくれたら良かったのに……。

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2004.11.23

パックランド

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1984年にナムコから発表されたビデオゲームです。

本作をゲームセンターで初めて見た時は驚きました。それまでになかった滑らかなアニメーションに感動したのです。8×8ドットで構成されたキャラクターが当たり前だった時代に突如現れた32×32ドットのパックマンとモンスター達は、新しいゲームの可能性を予感させるに十分な衝撃を持っていました。
ディズニーアニメを想起させる世界観と短い旋律で奏でられるキャッチーなメロディも素晴らしい出来映えです。

操作方法がまた独特で3つのボタンのみを使用します。コンパネの並びで云うと、左移動ボタン、右移動ボタン、ジャンプボタンとなっています。移動ボタンを押す間隔でパックマンの速度が変わる為に、始めた頃は難しく感じるのですが、慣れるに従いリズミカルな感覚を提供してくれる優れた操作系統だと思います。

ゲーム内容は様々な障害やモンスターをかわしながら右方向へ進み、ゴール地点まで辿り着くと1面クリアとなります。道中にはパックマンお馴染みのパワーエサがあり、この時だけ敵であるモンスターを倒す事が出来ます。
3面クリアしてフェアリーを妖精の国へ送り届けると、今度は左方向への帰路につきます。この時は妖精の女王にもらった浮遊靴を所持しているので、空中でのジャンプ移動が可能となっています。これは一種のボーナスステージとも云えますね。
独特の浮遊感を味わいながらMs.パックマンとパックBabyの待つ家に帰ると1ワールドクリア。全8ワールドの32面構成で以後ループゲームとなります。

本作はこの翌年発売される任天堂「スーパーマリオブラザーズ」のお手本となったゲームと云えます。ゲームシステムの類似は指摘するまでもなく、隠し要素の詰まったところなども多大な影響を与えています。

本作にある隠し要素は障害物(面スタート時スコアの十の位に対応)を進行方向から逆に押す事で作動します。
頭上からの攻撃を防げるヘルメットを主として、無敵である透明パックマン、ワープ、エクステンドであるスペシャルパックマン、7色の風船などがあります。
その他にもパワーエサ使用時に敵を或る順番で倒すと現れるラッキーパックマン、或る場所でジャンプすると咲く花、風船に混じって出現するギャラクシアンの敵ボスなど、様々な仕掛けが用意されています。
また面クリア時にタイミングよくジャンプする事で、芸術点として7650(ナムコ)点が加算されるオマケも付いています。
敵の頭上に乗れると云うアイディアもスーパーマリオに受け継がれている部分ですね。

本作はゲームシステム、ポップなグラフィック、ゲームならではの世界観と云う意味でナムコゲームの1つの頂点を示した名作だと思います。現在の脂ぎったゲームに較べると、シンプルな本作のゲーム性は薄く思えてしまうかも知れません。しかしゲームがゲームらしくあった時代に現れた物語性を打ち出した最初のアクションゲームだと云う事が出来ます。
映画を研究する人がエイゼンシュテインを見るように、また文学を志す人がシェイクスピアを読むように、近代ビデオゲームとしての原点を見詰めてみるに「パックランド」は格好の材料となっています。慌ただしいスピード感や畳み掛ける物量の中からは決して見出せない、忘れていた新鮮な楽しみ方がきっと隠れていると保証致します。

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2004.11.22

ガントレット

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1985年に米アタリ社から発表されたビデオゲームです。

複数人での同時プレイを前提に考えられた画期的な作品で、途中参加、継続プレイを発明したとして特許も取得しています。
堅牢なアップライト筐体に面一なコンパネが配置してあり、レバーが4本並んでいる様はとってもアメリカンな雰囲気を醸し出していました。

ゲーム内容は敵を倒しながら迷路を進み、鍵で扉を開けつつ出口を目指すと云うものになっています。ジャンル的には4方向任意スクロールのアクションシューティング物と云えます。
先ずキャラクターを選択します。戦士、魔法戦士、盗賊、魔術師の4種類が存在し、それぞれに対応したセレクターにお金を入れる事で決定出来ます。現在のようにソフト内で選択する仕様ではないのが新鮮ですね。

キャラクターには差違が設定されているのですが、それほど大きな性能差ではないと云えます。ゲーム中にアイテムを入手する事で欠点をカバー出来る事もあって、ルックスの好みで決める程度のものです。
ただ、これは多人数で遊ぶ場合の話で、一人プレイの際は盗賊か魔術師を選ばなければ非常に難しいゲームとなってしまいます。ショットスピードとその当たり判定、魔法の効果を考えると戦士、魔法戦士は性能が中途半端なのが理由です。

敵はジェネレーターと呼ばれる巣から無尽蔵に湧き出て来ます。ジェネレーターには3段階の強さがあり弱中強と分かれていて、耐久力が左からショット1発、2発、3発分となっています。そこから出て来る敵の強さ(耐久力)もこれに比例しています。

自機キャラクターには生命力があり、1コインで700ヘルスからスタートし、以後1コイン入れる毎に同等のヘルスが補充されます。
ヘルスは敵に攻撃を受ける事で減少して行くのを勿論として、時間経過でも減るタイマーの役割も担っています。
わらわらと出現する敵を倒しながら機を窺いジェネレーターを壊して行く……これが本作の攻略法です。地道に敵の間隙を縫うようにして闘うか、多少のダメージを覚悟して進むのかが難しいところとなっています。

個人的な意見なのですが、ジェネレーターから出現する敵の上限が決まっていた方が良かったのではないかと思います。ジェネレーターを破壊しない限り幾ら倒しても敵が補充されて行く為かラフなプレイスタイルを余儀なくされてしまうんですよね。お金さえ注ぎ込めば先へ進めると云うシステムには攻略したいと云う意欲も削がれてしまいます。しかし制作者の意図したのが正しくこれであると思えるので何とも仕様がありませんが……。

また本作には救済措置が取られており、自機を操作しないで300ヘルスを消費すると、全ての扉が開くと同時に壁が全て出口となります。これにより難しい面をクリアする事も容易となっています。
しかし、このシステムには問題があり、ヘルス回復のアイテムと併用する事で永久に遊べると云う弊害も作り出してしまいました。
当時これを使っていたプレイヤーがゲームセンターから出入り禁止になったと云う話もよく聞きました。

なんだかんだと云いましたが、基本的には非常によく出来たゲームだと思います。ハイセンスなグラフィックは勿論の事、雰囲気のある渋い音声合成と効果音、多人数で遊ぶ事で得られる今迄にないゲーム性……良い部分を列挙する事に暇を見出せません。個人的にも大好きなゲームの1つです。
同時期に発表された「マーブルマッドネス」「ピーターパックラット」「ペーパーボーイ」と並び評されるアタリ社最後の名作群の1つに数えられるでしょう。
RPGの発祥地アメリカだからこそ作り得た本物の臭いを持ったアクションRPGだと云えますね。

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2004.11.21

バルーンファイト

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1985年に任天堂から発売されたファミコン用のソフトです。

固定画面内の敵を全滅させると1面クリアと云う古典的な内容なのですが、操作方法と基本ルールが独特なものとなっています。
自機は風船を2個つけたマリオ風の少年で、2方向レバーで移動方向を指示、ボタンを押す毎に空中に浮かび上がる事が出来ます。ボタンを連打(または押しっ放し)する事で上昇率が高くなり、ボタンを押していなければ下降すると云う仕組みです。とても微妙なボタン操作が要求されますが、慣れに伴い思った通りに操作出来るようになると俄然面白くなって来るアクションゲームの佳作と呼べるでしょう。

敵を倒すシステムも変わっています。自機は2個の風船、敵は1個の風船を背負っていて、これを高い位置から触れる事で割る事が出来ます。
自機は2個の風船を割られた時点でミスとなり、敵は風船がなくなると落下傘を付けて落下して行きます。足場のある所に着地すると再び風船を膨らませて現場復帰しようとしますので、その間に再度接触する事で初めて敵を倒せるのです。2段階の手順を踏まなければならないのは、もどかしくもありますが楽しい作業と云えるでしょう。

1つの面で一定時間が経つと永久防止の措置として、雲が稲光りしてスパークを発射します。地形に当たるとその反射角の移動を延々と繰り返すのでなかなか厄介な敵となっています。
また画面下部にある海には巨大魚が潜んでいて、近付くと自機はおろか敵さえも呑み込んでしまうのは驚きの演出ですね。

対戦協力プレイも面白い非常に良く出来ている「バルーンファイト」なのですが、実は米ウイリアムズ社が前年に発表した「ジャウスト」のパクリゲームであったりします。基本システムはそっくりそのままで、キャラクターをポップにしただけと云えるほどのパクリ具合です。しかし、そこは天下の任天堂だけにゲームとしての完成度はオリジナルを凌駕しています。

最近「ファミコンミニシリーズ」で発売されたばかりの本作です。シンプルで奥深い内容とテンポの良い展開は携帯機で遊ぶには打って付けのものとなっています。オマケであるミニゲーム「バルーントリップ」も短い時間で楽しむには最良の出来と云えるでしょう。あまり売れていないようですが今でも十分に熱くなれるゲームである事をお約束します。

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2004.11.20

ゼビウス(1)

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1983年にナムコから発表されたビデオゲームです。

語るまでもなく有名なゲーム界の最高傑作「ゼビウス」です。
本作を初めて見た時の感動は一生忘れないでしょう。それまでに見た事のなかった銀色に光り輝くキャラクターは本物の立体物かと思えました。色彩の豊かな背景がゆっくりと流れて行くさまは、まさしく物語を綴った絵巻物を想起させます。そして神秘的な音楽に全ての人が魅了されたのです。

ゲーム性も独特でした。先ずボタンが2つある事に驚き戸惑いました。対空兵器であるザッパーが連射出来る爽快感は格別で、砕け散る敵は芸術そのものです。対地兵器ブラスターの破壊音はコンパネを通して腕を刺激するかのような感覚を提供してくれます。
隠れキャラクター「ソル」の出現には新たな謎を問い掛けられ、スペシャルフラッグの存在には驚喜されられました。
大量の弾を出す敵地上物ガルデロータには諦念を覚え、移動する地上物ドモグラムには焦眉を募らせられます。
破壊不能な空中物バキュラには皆が皆無駄な闘いを挑みました。
一時の静寂を破り轟音とともに現れる巨大要塞「アンドアジェネシス」の衝撃度を超えるものは以前もそれ以降も味わった事がありません。
長い海を過ぎたあとにナスカの地上絵上空を飛ぶ感覚の如何に神秘的だった事か……。

語り尽くせない程の印象と想い出がゼビウスには詰まっています。これは当時リアルタイムで本作を体験した方みな共通の意見だと思われます。

縦スクロールシューティングの原本となったゼビウスですが、斬新なゲームシステムはもとより、業界の内外に与えた影響の最も強い部分は世界観の構築にあったと云えます。
ゲームのプレイ中には説明らしい説明が用意されていないにも関わらず、大きな物語性を想起させて我々に提供するのです。このようなゲームは以後も現れていません。
何がそう思わせてくれるのかと云えば、統一感の一語に集約されるのではないでしょうか。

本作がデビュー作となった作者の遠藤雅伸さんが考えた「ゼビウス」と云う世界のルールが、そのままゲーム内に色濃く投影されていて逸脱を許さないのだと思います。氏が本作を作る際に「フォードラウト伝説」と云うゼビウス世界の小説を著した事は有名ですが、それを読まずとも物語性を感じる事が出来ると云う事実は刮目するに値します。如何に作者が物語を自ら把握していて、如何にゲームと云う平面に落とし込めたかの証明であると思います。

云って見れば小説の作り方と酷似しています。特に矛盾の許されない純文学の作劇法に近いと云えるでしょう。面白ければ或る程度かそれ以上の過失が許される文学はエンターテイメントと呼ばれています。それに対して純文学は一行一句疎かに出来ない緊張を作者に強いります。推理小説も同様の手法により成立するのですが、発想の転換を強要出来る部分で嘘を公然と約束されている為に、統一感の脅迫は薄いものとなっていると云えます。
小説を書く行為とは脳内に描かれた完成図を目指してピースの1つ1つを嵌めていく立体パズルの形式に例える事が出来ると思います。他の芸術もこのような方法だと考えるのですが、ゼビウスの場合は紙の上で既に完成型があったと思われるので表現としてこれが一番近いのではないでしょうか。

ゼビウスを見ると難解なパズルが作者の計算した形に隙間なく構成され完成している印象を受けます。グラフィックの統一感、自機ソルバルウの性能と敵キャラクターのアルゴリズム、故意に節を付けなかったと思われるBGM……全てが破綻なく纏められているのです。それに加えてゲーム性と云う言葉では説明し難い空気感を持っているのが完成されている証拠とも取れるのではないでしょうか。
作者である遠藤さんはゼビウスの事なら全て矛盾なく説明し答える事が出来ると発言している事からも、計算の把握が確実にあったと頷けます。

ゼビウスはゲームとしてのシステムも斬新であり優れていた為、売上的に見ても空前を絶する実績を作りました。以後、各ビデオゲームメーカーはこぞって亜流発展させた縦スクロールシューティング物を市場に投入して行きます。しかし、ゼビウスの本質まで理解出来なかったクリエーターの作った亜流ゲーム達が本家を超える事は遂に有り得ませんでした。
光源を設定したキャラクターを作る、物語を外付けする、キャラに名前を付ける、隠れキャラを入れる、巨大ボスを考える、自機の前方に照準を付ける……この程度の浅い認識からしか生じて来ない3流エンターテイメント作品に、不朽の名作たるゼビウスの価値の下がる心配が訪れる筈もなかったのは当然と云えるでしょう。

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2004.11.19

電車男

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いま話題の書籍で20万部ほど売れているようです。出典は2ちゃんねるの独身板スレッドからだそうですが、その存在すら全く知りませんでした。職場の女性(2ちゃんねらーではない)に奨められて軽い気持ちで読み始めたものの、これが大変面白くすぐに読了してしまいました。

簡単に物語を説明すると、アキバ系オタクの青年が電車内で暴れる酔っ払いから女性を救ってあげた事で縁を持ち、以後2ちゃんねらーの助言を受けながらエルメスと呼ばれるその女性に告白するまでの成長過程を綴ったものとなっています。

こう書いてしまうと陳腐に思えますが、日々書き込まれて行く発言と行動の結果が合わさる事でリアルなライブ感に溢れていて読む者を飽きさせません。

私は2ちゃんねるを特別見る方でもないのですが、幾つかのブックマークしたスレッドをたまに覗く程度には利用しています。最初はかなりの嫌悪感を催しましたが、現在では免疫が付いたからか普通に読めるようになりました。
「電車男」には未だ判らない単語や絵文字が随分とあったのですが、上手い流れで編集されている為か労力を使う事もなく楽しめました。普段2ちゃんねるを見ない女性から奨められた訳ですから当然と云えば当然ですね。

同様に私から職場の大学生にも奨めては見たものの、こちらは鼻で軽くあしらわれてしまいました。2ちゃんねるに対する正しい偏見と今迄の実績を考えればこれも当然と云えるでしょう。
しかし、本書を恋愛と成長物のテクストとして捉えると、2ちゃんねるだからと云う理由で遠ざけてしまうには勿体ないとも思ってしまいます。現代のノンフィクションとして非常に優れている名作だと位置付けてしまっては良く云い過ぎでしょうか。文学低迷が問われて久しい現在に生まれた新しい形の文学とも受け取れます。

もし多少なりとも興味をお持ちの方でしたら購入してみる事をお奨めします。360頁以上もある本書ですが夢中の内に読了してしまう事と思いますよ。

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2004.11.18

t.A.T.u

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2003年に何かと話題を提供してくれたロシアの女性デュオです。

彼女達のデビューした先年あたりから音楽の先進国アメリカを中心として女性アーティストが続々と登場し始めました。特に10代の天才少女と云う冠を付けるのが流行していましたね。
ミシェル・ブランチ、ヴァネッサ・カールトン、アヴリル・ラヴィーンあたりが現在でも生き残っている人達でしょうか。彼女らは自らが楽器を操り作詞作曲している事を売りとしていました。先行者であるミシェル・ブランチが激しいギターを弾くPVを見て、同じ10代の女の子の間でエレキギターが流行している事も話題となりました。
そのような女性アーティスト達が成功している中にあってタトゥーはデビューしたと云う事になります。売りはロシアのレズビアンと云う衝撃的なものでした。
本国で話題になっていた彼女らを商品として買い付けたのが、ペットショップボーイズなどのプロデューサーで有名なTホーンです。彼が編曲したシングル2曲と若手プロデューサーにお任せしたであろう何曲かを纏めてアルバムとすると、奇抜な流行を良しとする英国で売り出しました。
そして計算通りの大ヒットとなったのです。この時の英国におけるタトゥーブームは常軌を逸していたそうですね。私もこれを聞きつけてCDを買った一人でした。

ご存知の通りこの半年後に日本でも同様なブームが巻き起こります。ファッションと過激な発言などで女子高生を中心として人気を得た訳ですが、またご存知のように色々な問題を起こした彼女達は、惨めな武道館公演を最後として活動を停止せざるを得ない状況に自らを追い込んでしまったのです。
僅か1年前の事ではありますが、いまタトゥーの話題を出す人は先ずいないでしょう。ファンであったと公言すれば冷笑されるのが衆目の一致するところだと思います。

しかし今だからこそタトゥーのCDを冷静に聴いて見てはいかがでしょうか。
80年代のエレクトロポップスを思わせるアルバムは非常に高い完成度を持っていると云えます。サビのリフレインを多用する楽曲は、メインボーカルであるユーリャの緊張感のあるハイトーンボイスと相俟って素晴らしい出来となっています。ザ・スミスのカバー曲(原曲とはかなり違う)があるのも見逃せない部分です。

普段洋楽を聴く方でもあのようなタトゥーを敬遠してアルバムを購入しなかった場合が多いと思われます。印象だけで自らに決定を下したのだとすれば非常に勿体ない事をしているのではないでしょうか。他者からもたらされた偏見とは自らを停滞させる罪悪であると考えます。全ての人がタトゥーのアルバムを評価して讃えるとも思いません。しかし、風潮だけで物事を評価する態度には軽蔑を催されます。良識とは物事の把握から始まる人間の事業であると考えられるからです。

結局のところファッションや話題だけで洋楽CDが100万枚売れると云う事はないと思います。アヴリルの1St.アルバムは200万枚も売れたそうですが、変に重々しく勿体振った彼女の曲よりも、タトゥーのポップなアルバムの方が個人的には好みで随分と聴かせていただきました。

と云う事は、以前100万枚売れたとされる反町隆史さんのデビュー曲ももしかしたら大変な名曲だったのかも知れませんね。

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2004.11.17

ファンタジーゾーン(2)

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1986年にセガから発表されたビデオゲームです。

任意スクロールと自機の位置関係は、ゲームシステム上に解決を見出せない懸案として現在にも残っています。当時この問題を解決しようと腐心した本作のシステムを見てみる事とします。

》面スタート時、自機は画面の中心に位置している。

》右へ移動スクロールさせる事で、自機の位置は徐々に左(進行方向逆側)へと移動して行く。これにより進行方向の視界を確保する。併せて自機と敵の位置矛盾をなくす為にスクロールスピードの調整も強制で行う。

》左へ方向転換、移動する場合。その時点の自機位置から徐々に右(進行方向逆側)へと強制スクロール。新たに左方向への視界確保を行わせる。

》移動を停止した場合。自機がどの位置にあっても画面中央に来るようにと徐々に強制スクロールを行う。


このようなものになっています。
パワーアップする事で自機の移動力が極端に上がって行く本作においては、理論的に正しいと思わせるシステムに仕上がっていると思います。
しかし視界を広げる為に行われる調整スクロールの始まる以前に下の項目が含まれます。

》自機移動に対するスクロールの開始位置は、画面端から50ドットあたりに設定されている。

この1項目がある為スクロールの開始される前に進行方向への視界が極端に狭くなるのです。
これは敵と敵弾を避け易くする為に設けられた処置だと思われます。画面中央付近での移動にスクロールを干渉させない事で自機の位置を把握させようと云うものでしょう。
しかし、これが仇となり移動時に出会い頭の敵と接触する確率が高くなっています。本作でミスをする場合は殆どがこの瞬間と云っても良いほどです。

このシステムに拘泥するのならば敵のアルゴリズムなどを工夫する余地もあったと思われます。殆どの敵が自機の位置にそれほど関係なく隊列を組み移動している為に、ミスし易い環境が整えられているとも云えます。敵の発する弾の量、速度もシステムに合致しているかどうかは微妙な感を抱かせます。

スクロールシステム自体は良く考えられていると思わせられるものの、バランス調整の練り込みが不足しているのが本作最大の欠点だと云えるでしょう。ゲームとしては上下スクロールがなく調整スクロールの幅が少ないセガMk.Ⅲ版の方が遊び易いとも云えます。

大好きなゲームではあるのですが、理不尽なミスが多い為に続けて遊び込みたいとは思えないんですよね。もう少しの改良で本当の名作にも成り得た作品だと思えるだけに残念で仕方がありません。

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2004.11.16

ファンタジーゾーン(1)

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1986年にセガから発表されたビデオゲームです。

名作として語られる事の多い本作ですが、発表された当初のアーケード版は特に大人気だったと云う訳でもありません。当時非力ながらファミコンの対抗機種であったセガMk.Ⅲに移植された事が原因で、マニア予備軍の子供たちを中心として人気に火が付いたと云うのが本当でしょう。しかし、この事が良く出来たシューティングゲームとしての地位を揺るがす事実とはなりません。

ゲーム内容はシューティング物としては珍しい任意左右(少し上下にも)スクロールの方式を採用しています。操作は8方向レバーとショット、ボムの2ボタンを使用します。横5画面分のプレイフィールド(ループ)内に設置された敵基地を10個破壊するとボスが出現する運びです。全8面あり最終面はそれまでのボスが次々と現れて、最後に真のボスが出現すると云う演出となっています。

本作最大の特徴は買い物システムの導入にあると云えます。主に敵基地を破壊する事で出現するコインを一定数貯めると赤いショップ風船が現れて、それに触れると画面が切り替わり買い物シーンへと移行します。
売られている物は、ショット、ボムのパワーアップ。移動力アップのエンジン。特殊ボム。またエクステンドがないので自機までも購入対象として並べられています。
それぞれの物品は買う度に値上がりして行くので、高次面を目指すのであれば購入計画を立てて置かなければなりません。特に2周目以降の難度の高さを考えるようになると、1周目ではエンジンとツインボム程度しか購入出来なくなります。この辺のバランスが非常に良く出来ていると思います。初心者でも強力な武器を購入していれば1周目だけは比較的簡単にクリア出来るようになっていますからね。

本作を奥深くテクニカルなものに仕上げているのはボムの存在です。他のゲームでは補助的役割を担う事の多い位置にある武器ですが、本作では通常ショットが補助とも云えるほど重要なものとなっています。
先ず破壊力が非常に高い点が挙げられます。その威力はショットの5倍程度でしょうか。そして特筆すべきが発射時のレバー操作で前3方向に打ち分けられる事です。ほぼ真横、斜め下(緩い角度)、斜め下(急な角度)となっています。
敵基地は高い耐久力を持っているのでボムを使いこなせなければ、破壊するまでに時間がかかってしまいます。本作はタイマーで出現するザコ敵が異様に強い為、素早い基地破壊が安全な攻略の前提となっているのです。
具体的には敵基地の手前でレバーを回すようにしてボムを打つ事になります。その際レバーを前方に入れた時にタイミング良くボタンを押す事で、ボムが真横に発射されて確実に敵基地へと当たると云う訳です。これを小刻みに繰り返して基地を1つずつ破壊して行きます。
ボムを思い通り操れるようになると俄然面白いゲームになります。

グラフィックとサウンドも評価されている部分です。セガのグラフィックは基本的に色の明度が低いものが多いと思います。本作もパステル調の微妙な色遣いなので、モニター調整が良く為されていないと綺麗に見えない可能性があります。当時私の通っていた仙台駅前キャロットはブライト調整が上げられていたようで、淡い色が全て消えていました。元の設定よりもブライトを濃くすると非常に豊かな色彩へと変化します。これは全てのセガゲームに云える事ですね。
FM音源とPCMドラムを使ったBGMもコミカルな味を出していて耳に残ります。コインが出現する時の効果音が秀逸で本作の世界観を構築するのに一役買っていると云って良いでしょう。

それまでになかった買い物システム。テクニカルなボム操作。個性的な面構成とボス敵。綺麗なグラフィック……非常に良く出来たゲームだと云う印象が強い本作なのですが、欠点がないと云う訳でもありません。「メトロクロス」の項でも書いた任意スクロールの問題が本作のゲーム性を著しく貶めているのです。

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2004.11.15

メトロクロス

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1985年にナムコから発表されたビデオゲームです。

ゲーム内容は8方向レバーとジャンプボタンで主人公を操作して、時間内にゴール地点まで辿り着かなければならないと云う一種のレース物となっています。

右方向への任意スクロールなのですが、主人公が画面真ん中に達するとレバーを後方に入れない限り強制スクロールし続けるようになります。この仕様は任意スクロールの操作上の欠点をひとつ克服した素晴らしいアイディアだと思います。
俯瞰で描かれた画面レイアウトに設置された障害物を、縦移動で避けて行く事から疑似3Dの世界観を構築しているので、上の操作方法は必至事項だったとも云えます。

ゲームとしては障害物や敵の配置などが良く考えられた緊張感のある内容で、傑作とは云えないまでもなかなか楽しめる佳作程度に仕上がっていると思います。

本作が持つ欠点は強制スクロール時の主人公の定位置にあります。
主人公の移動出来る範囲は画面の左半分となっています。画面真ん中まで移動し、以降レバーを右へ入力し最高速に達している事を条件として強制スクロールするのですが、この位置が前方にあり過ぎるのです。
右方向へ進んで行くと云うゲームの特性上、主人公の位置が右に近ければ近いほどプレイフィールドを視認出来ない理由が生じます。
この為に本作は完全な暗記を前提としたパターンゲームとなっているのです。
また画面の左半分は全く意味のない背景と化してしまっています。前方(右)から現れる障害物や敵を避けて進むゲームですから、通り過ぎたあとの障害が画面に長く留まる必要がないのです。

このように意味のない画面を無駄に使いプレイ感を損ねているゲームは現在でも多く見掛けます。近々発売されるニンテンドウDSの「ポケモンダッシュ」もそうですね。
メトロクロスに限って云えば、スクロールの開始位置を上にある画像程度に設定すれば良いのではないでしょうか。出会い頭に敵とぶつかる理不尽さがなくなるだけでも随分とゲームの印象も変わると思われます。

本作はジャジーなBGMが独特な雰囲気を盛り上げて、よく調整された制限時間が緊張感を醸し出す非常にテクニカルなゲームです。しかし一般に受け入れられなかった理由は、暗記を前提としたが為の1ゲーム内の不満足感があったからだと思われます。ゲームは遊んでいる瞬間が楽しくなければいけない娯楽である以上、マニアにしか受け入れられなかった本作の評価は妥当なものだと云わざるを得ないでしょうね。

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2004.11.14

メイド イン ワリオ

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2003年に任天堂から発売されたゲームボーイアドバンス用のソフトです。

昨年もっとも感銘を受けた作品です。
内容はミニゲームの集合体でその数は200種類もあるようです。ひとつのゲーム自体は3秒から8秒程度のごく短く単純なものでしかないのですが、矢継ぎ早に進んで行くテンポが独特のゲーム性を提供してくれます。
ボタンひとつのみで遊ぶもの、レバーだけで操作するものが全てですので、普段ゲームを遊ばない方でもその瞬間から楽しめるものとなっているのが優れている部分と云えますね。任天堂が考えるゲームに対しての思想が色濃く現れた実験作であり、今後の方向性を決定づけた画期的な作品となっています。

この作品はとやかく説明するよりも先ずは遊んでいただきたいゲームとしか云えません。ゲームとしての原初的な面白さに充ち満ちています。ゲーム&ウォッチを初めて手にした時の感動が甦って来るかのような印象さえ与えてくれます。

様々なミニゲームを次々遊ぶと云う特性上、瞬間的な発想の転換を余儀なくされる部分に密度感が隠されているのではないかとも思います。また、それぞれのゲームが簡単ではあるけれど特異な操作性を有しているので、感覚的に内容を理解しなければクリア出来なかったりもします。1度目は意味不明だったゲームが2度目に理解出来て、3度目にはクリア出来た…と云う反復を前提とした学習性も用意されています。

ひとつのステージが10面から20面ほどの長さで4回の失敗を許容しています。この調整も絶妙で何度でも挑戦したいと思わせてくれます。ゲームが或る程度の乱数で出題選択されるところも飽きの来ない要因と云えます。これに加えて前出の学習性の効果で確実に上達して行く感じが掴めるのも楽しい部分ですね。

過去にはあったけれども忘れ去られていた単純なミニゲームを続けざまに提供する。ゲーム性のコラージュとも云える手法が新たなゲーム性を入手した……これが本作の発明と云えるのではないでしょうか。

携帯ゲーム機との相性と云う意味でも本作は完璧な感を与えてくれます。

発売当初はネットで賛否両論だった本作ですが、現在では悪い意見を聞かなくなりましたね。
批判していた方はゲームに壮大な物語、美麗なグラフィックを求めているハードユーザーであったと思います。ハードの性能に依存したゲームを評価する方にとって「メイドインワリオ」と云うゲームは異端に見えたのではないでしょうか。
ゲームに映画的な演出を取り入れて行くのも1つの方向性として間違ってはいないと思います。しかしゲームの最も優れている部分とはプレイアビリティから生ずる楽しさ―即ち「ゲーム性」に他なりません。
ゲームがプレイするものだと云う前提を持っている以上、映画を超える物語性を所持する事は出来ないと断言しても良いと思います。ストーリーが良く出来ていると云われるゲーム(例えばFFシリーズやメタルギアシリーズ)ですら、一般の規矩に従えば物語としては幼稚の域を過ぎません。それでも名作だとされるのはゲームとしての面白さを持っているからなのです。
ハードの性能が向上する事でゲーム制作者が映像演出の道に歩を進めたのも理解は出来ます。しかし過去の憧憬は現在にエゴとして存在してしまうものです。本来の自らを忘れたタイクーンなクリエーター、偏狭な知識にのみ満足して喜悦するユーザーの如何に多い事か。

この部分に刮目して考えると、現在の任天堂が行おうとしているゲームとしての原点回帰にはもっと大きな支持があっても良いと思います。王者の座を奪われた苦悩の末に辿り着いた正解を、業界とともに醜く肥大した私達ユーザーは素直に受け取らなければならないのではないでしょうか。

本作「メイドインワリオ」は古びた扉を逆さまに開けたような新鮮さを持つターニングポイントとなるべき名作だと思います。

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2004.11.13

戦場の狼

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1985年にカプコンから発表されたビデオゲームです。

ゲーム内容は任意縦スクロールのシューティング物です。8方向レバーで自機の移動とショットの方向を指示し、ショットボタンと弾数制限のある手榴弾ボタンで操作します。

本作は当時衝撃的なゲームでした。先ずタイトルが「戦場の狼」と云うところに驚きました。それまでのゲームタイトルはナムコゲームを代表するように単独では意味不明なカタカナ造語が殆どを占めていました。
漢字を使用したタイトルは皆無だったと云えるでしょう。

世界観にも大いに驚かされました。当時あったゲームの世界観とは、ゲーム独特の空想から生まれるものでしかなかったのです。ギャラガにはギャラガの中でしか通用しない世界観……パックマンにはパックマンにのみ存在する世界感……と云った感じです。
そのような空想だけを逞しく出来る豊かな世界に、現実のシビアさと生臭さを思わせる「戦場の狼」が突然出現したのですから驚かない訳には行きません。

そしてグラフィックも斬新に見えました。当時のキャラクターは貧弱なハード上から出発した都合単色のベタ塗り、若しくは面単位による塗り分け程度を余儀なくされていて、それが当然の手法だと思われていました。ハードの色数が増え表現力が上がったにも拘わらず存在し続けていた王道とも云えます
しかし本作のキャラクターはドット単位での淡い彩色が施されていた事から非常にリアルに見えました。

現実にある戦争(イランイラク戦争が継続中でもありました)を白兵戦と云う視点で描いた「戦場の狼」は若者を中心として多大な支持を得たのです。若者がより派手なもの過激なものへと興味を惹かれるのは世の常とするところですから当然とも考えられます。

これだけ衝撃的な作品であった本作ではありますが、現在に名作と呼ばれる事の少ない作品とも云えますね。決して詰まらないゲームではないのですが強いて理由を挙げるとすると、ゲームシステム上にちょっとした無理があるからではないのかと考えられます。

任意スクロールゲームでありながら常に前進し続けなければならないのが本作の特徴となっています。敵が自機の位置目掛けてほぼ正確に弾を撃って来る事と、立ち止まった場所に手榴弾が雨霰と降って来る為にそうせざるを得ないのです。
敵を倒しながら前進する為には、レバーを前方に振りながらショットボタンを連打しつつ進む事になります。敵も大量の弾をばらまいて来るので攻撃と避難を同時に行う必要性があるのです。緊張感があるのは事実ですが、これはちょっと忙しない仕様だと云えるのではないでしょうか。しかもゲーム難度がかなり高く出来上がっているのも拍車を掛けています。
この上に発売後間もなく永久パターンが見付かってしまいました。簡単な操作で安全かつ半永久的に点数を稼げる場所があったのです。この件が直接ゲームの寿命と評価を貶めてしまった感がありますね。

衝撃度は印象によるものですのでユーザーの新陳代謝とともに薄れて消えて行く事でしょう。過去の斬新は隔世が現在に当然の感を与えてしまいます。本作が名作として語り継がれなかった理由はここにあるのだと思います。「戦場の狼」とはあの時代だったからこそ輝いていた当時を知る者の胸にだけ残る名作だったと云えるのではないでしょうか。

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2004.11.12

ニンジャウォーリアーズ

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1988年にタイトーから発表されたビデオゲームです。

以前紹介した「ダライアス」の3画面筐体を流用したアクションゲームとなっています。
ゲーム内容は主人公が忍者のスパルタンXタイプと云えばほぼ語り尽くしたも同様でしょう。8方向レバーで移動ジャンプ、近距離攻撃ボタンと遠距離攻撃の手裏剣ボタンを使用します。
多少のアイディアらしい部分は、近距離攻撃ボタンを押し続けていると敵の攻撃を防御出来る事と、同ボタンを押しながらジャンプすると着地するまでは無敵でいられる点でしょうか。
手裏剣は弾数制限がありますが、忍者系の敵を倒すと補充されて行きます。使用頻度はそれほど高くありません。

3画面筐体を使用した以外に語られる事の少ない本作ではありますが、独自のゲーム性が比較的高く仕上げられています。独創性とゲーム性は反比例しない事を地で説明してくれている作品だとも云えるでしょう。

システムは「スパルタンX」同様に左右から迫り来る敵を判断良く倒して行くと云う部分で一致しています。スパルタンはどちらかと云うと瞬時の決断を迫られる緊張感を持ったゲームですが、本作は3画面筐体を使用している都合上、敵が近付いて来るまでに結構な間を持っています。まだ倒せない敵を遠くから意識させられるのです。これが為に重々しいゲーム性が生じていると云えるでしょう。
スパルタンが敵を倒す際に爽快感を提供しているのに対して、本作は倒すべき敵を選んで倒していると云った制圧感を所持しているとも云えます。制作者の意図したものではないにしても「スパルタンX」のシステムを発展させたものになっているのです。

この上に独自のゲーム性を高めている要素の大なるところが音の演出です。
まず敵を倒した時の効果音が良く出来ています。「ドギュッ」と云う深くて歯切れの鋭い音が秀逸です。これと併せて敵が脱力して倒れて行くアニメーションが本作の面白さの大半を担っていると云っても過言ではありません。この効果音がなかったら本当の駄作になっていたと思えるほどです。

そしてタイトーの音楽チーム「ズンタタ」の作ったBGMが主力となり本作の印象を鮮やかに形作っています。和洋折衷をテーマとしたこのBGMがなくても本作は単調で印象の薄い駄作になってしまっていた事でしょう。

本作を遊ぶ度に「音」がゲームに取って大切な因子であると再確認させられます。ひとつの音がゲーム性までも支配してしまうのです。逆説的に考えれば「音」によって詰まらなくなってしまったゲームも存在します。この辺の考察は近い内にコナミの「サンダークロス」を例に取って説明したいと思っています。

「ニンジャウォーリアーズ」は一般にもゲーマーにも受け入れられず短命で終わったゲームでした。原因は単調でスローモーな展開と高い難度にあったと思います。
前者は遊んで行く事で味となる部分だとも云えますし、後者はゲーム前半がそう思わせているだけで、実際にはそれほど難しい訳でもありませんでした。しかし、不人気で終わったのはタイトーの開発チームの力不足に他ならないと考えます。プレイヤーに何かを訴えかける気概が見えないのです。
企画段階では名作「ダライアス」も駄作の域を出ない仕様だった筈です。3画面筐体と云う未知の炎で竈変したのは偶然に過ぎなかったと云えるでしょう。それは「ニンジャウォーリアーズ」を見て判然としています。既存の内容をただ3画面筐体に乗せ換えれば良いのだと云う安易な手法では、ゲーム性を形作る神は再び降臨してくれなかったのです。
本当の名作とはこれ以上ないと云う計算の上にあって初めて神秘的な力を宿す芸術の一形式であると思います。目を瞑って原石を拾い続ける事などは偶然であっても簡単には有り得ない稀有な確率です。
タイトーの安易なゲーム作りを目の当たりにした時に毎回こう感じてしまいます。

―とは云うものの私は当時本作を1コインクリア出来る程度にはやり込んでいたんですけどね。結局のところ芸術性とゲーム性も反比例するものなんだなと思われます。


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2004.11.11

エクセリオン

exerion.png

1983年にジャレコから発表されたビデオゲームです。

基本的には固定画面のシューティング物なのですが、背景であるバッググラウンドを上手く書き換えるのと同時に、スプライトで作られた背景キャラを移動させる事で、2Dとも3Dとも取れる独特な世界観を構築しています。
画面左右が繋がっておりループしているのも特徴と云えますが、これは敵にのみ応用され自機は画面内を8方向に移動出来るだけとなっています。

そして本作最大の特徴は自機の移動に慣性が働く事でしょう。例えば右方向へ移動してからレバーを左に切り返しても、すぐには左方向へ移動出来ません。左入力の時点で右移動のブレーキがかかり、惰性の収まったあと初めて左方向へと移動出来るのです。
レースゲームには当然の仕様として過去から存在していましたが、シューティングにこれを組み込んだのは本作が最初であったと思います(アタリゲームを除いて)。

ややともすると操作性が悪いと取られ兼ねない仕様なのですが、本作では敵のアルゴリズム、攻撃方法などが良く考えられ調整されている為に、ゲーム内に必要な装置として上手く機能しています。

敵への攻撃はショットボタン2つで行います。デュアルビームは当たり判定が大きいものの連射が効きません。これが通常の攻撃方法で、横に2つ並んで発射される弾の両方に別途当たり判定が存在するのも特徴です。この為に片方の弾が敵に当たっても、もう片方の弾は敵に当たるか画面外へ消えるまで存在し続けます。このような仕様は当時なかったのではないかと思われます。

もう1つの攻撃方法であるシングルビームは当たり判定が小さいものの、数珠繋ぎに連射出来る高性能を発揮します。しかし弾数制限があり多用出来ません。デュアルビームで敵を倒す度に補充されて行きます。

このようなショットの使い分けが重要であり本作に戦略性を与えています。

グラフィックセンスが独特でどちらかと云うとバタ臭い雰囲気を持っています。時に下品な色遣いになる事もありますが全体的には綺麗な印象として残ります。キャラクターのアニメーションも工夫されていて飽きさせません。
敵の出現順番が点数などで変更されて行くのも目新しい仕様だと思います。

本作はナムコの「ギャラガ」から脱却を計ろうとして作られたゲームなのではないでしょうか。当時当たり前だとされていたシステムを故意に改変したあとが多く見受けられます。それが為に後にも先にもないようなシステムが満載されているのです。非常に意欲的な作品だったと云えるでしょう。
しかし本作の後すぐにナムコから「ゼビウス」が発表されます。以後各ビデオゲームメーカーは「ゼビウス」の二番煎じを我先にと作り永遠にその呪縛から逃れられなくなってしまいます。
そうして見ると「エクセリオン」は革命前夜だからこそ生まれた稀有な名作だと云えるのではないでしょうか。

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2004.11.10

忍者くん―魔城の冒険―

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1984年にUPLが発表したビデオゲームです。

個人的な見解なのですが、私が考えるアクションゲームの最高峰がこの作品です。
ゲームの内容自体は単純で2方向レバーとショット、ジャンプの2ボタンを使用して、8匹の敵を全滅すると1面クリアとなります。簡単に説明出来ると云う事は、ルールが把握し易い事実の証拠立てでもありますね。

操作性がやや独特です。まずレバーを入れていないとボタンを押してもジャンプ出来ません。2方向レバーを使用していますので、結果左右への斜めジャンプしか行われない事になります。ジャンプボタンのみを押すと下段への垂直降下となります。
また斜めジャンプはボタンを押す長さで二段階の強弱を持っています。強ジャンプは上段への移動に、弱ジャンプは同じ段の中での移動に使用されます。
弱ジャンプの入力時間を超過すると強ジャンプを認識すると云うシステムになっているのですが、不思議な浮遊感があって操作しているだけでも楽しいと思わせてくれます。

ジャンプシステムに関してはもうひとつ新しいルールが発明されています。
プレイフィールドは縦に3画面分の広さを持ち、8段ほどの足場が作られています。自機忍者くんの位置(高さ)に合わせて任意スクロールする形です。
平面に描かれた山、岩、城が舞台となっているのですが、下からジャンプ移動する際には足場となる段に当たり判定がなく、足場にある一定のラインを越えると着地する為の判定が生じるように設定されているのです。これはゲーム的に見て非常に素晴らしいアイディアだと思います。
それまでのジャンプを用いるゲームでは、段となる足場にはグラフィックに応じた全方向からの当たり判定が用意されていました。足場は一種の障害物でもあった訳です(これを逆に上手く利用したのが任天堂のマリオブラザーズだと云えますね)。
本作では下方向からの当たり判定がなく、上からのみ当たり判定があると云う一種の一方通行を作り出したのです。このシステムの利点はプレイフィールドの広大を維持する事に尽きます。ジャンプする際に移動の妨げとなる障害がないと云う事になるのです。

この移動システムはゲームシステムと密接に結び付いていて、敵キャラクターの設定とも関連しています。

忍者くんは敵に触れただけでは死にません。敵のショットである飛び道具に触れて初めてミスとなる仕様です。これは敵も同様で忍者くんのショットである手裏剣が当たる事で死亡します。
お互いの当たり判定(体)が触れる事で、押し合い圧し合いの攻防が生ずるようになっています。ジャンプ中のキャラにジャンプでぶつかると、あとからジャンプした方のジャンプ力が先方に加わって通常では有り得ない方向などに飛ばされてしまう事もあります。しかし、これはゲーム内での物理法則に適っているので不自然な感を提供しません。
詰まるところ敵キャラクターこそが障害物として存在しているのです。画面内をところ狭しと動き回る敵キャラ以外に移動の妨げとなる物は全く必要とされなかったのだと思います。

足場に乗っているキャラにジャンプでぶつかると相手方が気絶して動作不能となります。これを利用して敵を倒して行くのが本作の攻略法です。
敵を気絶させる事で忍者くんの倒されるリスクが軽減されるのですが、同じ条件のもと忍者くんも気絶させられてしまい不利な状況に陥ります。
敵を気絶させる事にはもうひとつ利点があります。本作は一つの面で無駄なショットを打たないでクリアすると高得点ボーナス(No Miss Shot)が加算されるのです。動いている敵よりも動けない敵の方が倒し易いのは当然ですので、これは正当な攻略法と云えるでしょう。

敵キャラクターのアルゴリズムも良く考えられた画期的な仕様となっています。
疑似人工知能とも云えるシステムが搭載されているのです。こう云うと大袈裟なのですが簡単に説明すると、敵キャラの行動には幾つかの選択肢が用意されていると思って下さい。左右移動、上下移動、攻撃…大まかにするとこの3種類の中から忍者くんの動きを見て或る程度ランダムに選択決定を繰り返して行くのです。
敵キャラには性格も用意されていて、マイペース、追っかけ、逃げ…の3種類があり、性格によって行動の選択確率も変わって来ます。

この敵キャラの人工知能が本作に飽きの来ないゲーム性を提供していると云って良いでしょう。臨機応変に対処して行く事が前提とされていて、パターン化出来ないのが特徴なのです。この為に毎回新鮮な気持ちで遊べます。私は長年の「忍者くん」フリークですが未だ飽和感を覚えた事がありません。

前出のノーミスショットボーナスもそうですが、本作には非常にテクニカルな技が多く存在しています。他には倒した敵にもう一度手裏剣を当てる「死体ボーナス」、敵を気絶させたと同時に倒す「かぶりつき」、弱ジャンプを利用した「同段かぶりつき」、敵を倒すと現れる巻物のパーフェクトボーナスなどなど。気絶させて敵を倒すと云う基本すらテクニカルな技と云えるでしょう。

一つの面に1個現れる宝玉を3個集めるとボーナスステージとなります。全16面もあり、これもまたテクニカルな技と思考を要求される素晴らしい構成となっています。

「忍者くん」については少しの非も認められないと云うのが私の感想です。しかし現在に本作を遊べる環境が殆ど残っていない問題があります。制作会社であるUPLも倒産してしまいました。携帯電話で遊べる「忍者くん」はありますが、全くの別物でした。これは当時移植されたファミコン版も同様です。
いま遊べるとすればオリジナル基板を購入するか違法であるエミュレータを導入するしかないでしょう。しかし、どちらも一般にお奨め出来るものではありません。
こうしてビデオゲームの名作が人知れず埋もれて行くのは業界の為にも勿体ない事だと思います。何か私達に出来る事はないものでしょうか。尽力を惜しまない積もりではありますが、行動の向きに見当を付けられない自らが非力だとも思わせられてしまいます。

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2004.11.09

スターラスター

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1985年にナムコから発売されたファミコン用のゲームです。

ジャンル分けすると戦略3Dシューティングゲームとでも云えば良いでしょうか。内容としてはコクピットにある全体マップで攻撃目標を定めて移動、敵との戦闘を繰り返して行きます。

本作の素晴らしいところは、1画面内に全ての情報が明示されている事です。全体マップでは敵の位置、キーワードを取得する為に交信しなければならない惑星群、エネルギー補給と武器を入手出来る味方基地…などがアルファベットで表示されており、リアルタイムで変化して行く状況を一目で把握する事が可能となっています。別途サブ画面に移行する滞りがないだけでもゲームに没頭し易くなると教えてくれています。

敵が惑星に隣接すると攻撃を開始して程なくすると破壊してしまうので、判断を素早くして惑星を死守するよう移動を心懸けなければなりません。惑星と交信するとキーワードが1つ入手出来ます。これを7つ集める事で最終決戦地が全体マップ上に現れると云う仕組みです。
敵の位置にカーソルを合わせてワープ移動する事で戦闘に突入します。戦闘はリアルタイムの3Dシューティングとなります。ファミコンの貧弱なスプライト機能で描かれている敵キャラクターですが、そう思わせないだけの興奮と熱中を提供してくれます。敵の弾を避ける時には無意識に体が動いてしまうほどです。

全体マップはプレイする都度ランダム生成されるようになっていますので、毎回新鮮な感覚を約束してくれます。場合によっては非常に難しいマップとなる事もあるので、随分とリセットボタンのお世話にもなりました。或る程度の地理的な不利を打開してくれる遠距離魚雷のある事も、ゲーム的に優れている部分と云えるでしょうね。

非常に良く考えられたシステムを持った本作ではありますが、レーダーの見方が分かり難い事が原因で一般には評価されませんでした。説明書にはレーダーの見方、敵の位置把握の仕組みなどが説明されてはいたのですが、今ひとつ理解し難いような文章でした。説明書がSFの世界観で統一されていた事もその理由だったと思います。
レーダーに映ってはいるけれども、視界に現れない敵は別の高さに存在している…。宇宙空間360°ならではのこの仕組みにさえ気付けばよいのですが、ファミコン世代の子供には多少難しい問題だったのではないでしょうか。
要は加速前進しながらレバーを操作する事で敵との位置を詰めていける事実に気付けなかった人が大半だったのです。もう少しソフト的な手助けがあれば、万人を虜にし得る名作となっていたのではと思えるだけに残念ですね。

しかしレーダーの扱いさえ可能となれば、これ以上面白いゲームはないのではないかと思わせてくれます。戦略とアクションが高い次元で融合されているからです。1プレイが20分前後と云う時間も絶妙な感を与えてくれます。得点によって称号が付される事も俄然熱中させられるものが含まれていました。¥3900と云う値段もユーザーフレンドリーなところでしたね。遊び込んだ人は十二分に元を回収出来た事でしょう。

現在ではプレイステーション用の「ナムコアンソロジー」内にアレンジバージョンが収録されています。私は未だ遊んだ事がないので評価は出来ませんが、ハードを選ばない優れたシステムを持ったゲームですので、興味がおありの方は購入して見てはいかがでしょう。しかし、どうせでしたらゲームボーイアドバンスの「ファミコンミニシリーズ」で発売して欲しい作品ではありますね。隠れた名作が本当の名作と呼ばれる時の来る事を心から願っています。

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2004.11.08

HOME / ディクシー・チックス

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2002年に発表された女性カントリーグループ「ディクシー・チックス」の3枚目のアルバムです。

カントリーと聞いただけで辟易してしまう方も多いとは思いますが、本作は非常に良く出来たカントリーポップスの名盤です。彼女達は1998年にデビューしてから2枚のアルバムだけで2000万枚を売り上げた米国で最も有名な若手グループと云えるでしょう。
カントリーとは書きましたが、どちらかと云えばポップス寄りの楽曲が多いのも特徴です。カントリーで成功した女性は全国区でデビューする際に、必ずポップスを歌わせられるのが米国では通例となっています。ディクシー・チックスの3人も例外ではなく、1stアルバムはカントリーの風味が多少あるもののアイドル路線に乗せられたものとなりました。印象は田舎のセクシー姉ちゃんと云った感じでしたね。PVも肌の露出を多くして人目を集め、実際の演奏力にも感嘆して貰おうと云うものになっていました。
2ndも同様な路線で完成度を高めたアルバムとして大ヒットしています。

3rdアルバムである「HOME」は原点回帰とも取れるカントリー色の強いものとして作られました。編曲もそれまでのアルバムとは変わって、フィドル、バンジョー、スティールギターなどを使いカントリーからの逸脱も見られません。

カントリー出身の有名女性歌手は幾多存在していますが、丁度その頃は皆が次の方向性を模索しているかのような時期でもありました。シャナイアはセレブ路線を突き進み安定を得ましたが、リアン・ライムズのアイドル化は失敗し、ヒルはリスナーを無視するような独自路線へと進んで行きました。
そしてディクシーはカントリーに戻る決意をして「HOME」を作ったのだと思います。

レコード会社との契約の縺れから3年ほど活動停止を余儀なくされていた彼女達は心身ともに大人となり帰って来ました。それまでのアルバムは殆どカバー曲だけで作られていましたが、本作には出来の良い自作曲も幾つか収録されています。カバー曲も未だ多いのですが、編曲をカントリーにより近くして纏まった印象に仕上げて来ました。もともと地元の賞荒らしとして有名であり演奏力に疑いのない彼女達でしたが、今回のアルバムでも高次元の演奏を聴かせてくれています。CDの売上も当初は順調でした……。

米国大統領選でブッシュ氏が再選しましたのでこの話題に触れる事とします。
ディクシー・チックスはイラク戦争が始まって最初にブッシュ氏に異議を唱えた有名人だったのです。「同じテキサス出身者として恥ずかしい。最大の恥だ」との発言をしました。戦争ムード一色だった米国でこれは事件として扱われ議論を巻き起こしました。その結果、ディクシーの曲はラジオから流れなくなり、CDは各州が音頭を取り焼き捨てられました。そうしてディクシーのコンサートは各地でブーイングのみを喝采として盛り上がり、中止せざるを得ない状況に追い込まれて行ったのです。
それでもブッシュ氏への攻撃を緩めなかったディクシーは音楽業界から完全に干されてしまったと同様になりました。TIME誌の表紙で裸にブッシュ氏への当て擦りをペインティングすると云うパフォーマンスまでやっていました。

マドンナやエミネムでさえ自粛していた事をカントリー娘が3人だけでやってしまったのです。当初からMムーア監督は支持をしていましたが、米国では影響力を持っていない彼でしたので何の意味もありませんでしたね。
この問題がやや落ち着いた頃を見計らって言動を起こしたU2のボノや、曲に暗喩を込めて発表したBスプリングスティーンなどは大人だなと思います。
ディクシーも一年ほど経てから多少折れた発言などもしましたが、未だに彼女達の曲が米国で流れる事はありません。日本の有線ですら放送していないのが現状です。

ブッシュ氏が再選した事でディクシーの復帰はまだ先になるだろうとは思います。以前に比較すればブッシュ氏への批判も許容されているでしょう。しかし正直に思った事を最初に行動として表しただけの彼女達が不憫に思われて仕方がありません。ファンとしてはただディクシー・チックスの曲が聴きたいだけなのですが。

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2004.11.07

ソンソン

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1984年にカプコンから発表されたビデオゲームです。

ゲーム内容は強制横スクロールのアクションシューティング物となっています。4方向レバーとショットボタンを使いソンソン(孫悟空)を操作します。因みに2P側はトントン(猪八戒)です。
取り立てて書くような斬新なシステム等はないのですが、二人同時プレイが可能となっていて、協力しながら遊ぶ事に意義のある内容と云えるでしょう。

縦に6段あるフィールドの左右から敵が出現します。基本的には縦に隊列を組んで現れソンソンと同じ段に移動するようなアルゴリズムを持っています。
ソンソンの武器は射程距離の短い横方向へのショットのみとなっていますので、横軸を合わせようと接近する敵から、縦軸を遠ざけて安全を確保しながら倒して行くと云う流れになります。
敵が縦に隊列を組んでいる為に、出現と同時に倒せる数はせいぜい2、3体が限度ですが、二人同時に行えば殆どの敵を倒せると云う事にもなります。
その他には上フィールドのみを移動する「コウモリ」、下フィールドを移動する「ピラニア」が敵として存在します。「赤トンボ」は一時停止してからソンソンとトントンの位置へ一直線に向かって来ますので、どちらかが打ち逃しているとどちらかに危機が訪れます。

このような敵の設定から見ても二人同時プレイを推奨されている事が分かりますね。逆に云うと上下左右からの攻撃がある本作を一人でプレイするには無理があるとも云えるでしょう。しかしながら難易度は良く調整されているので一人でも十分に楽しめるようになっています。

ゲーム性の部分を見てみますと、詰まらなくはないけれども特に面白くもないと云ったレベルです。ポップな画面と明るい音楽は見る者に好奇心を与えはしますが、連続で遊びたいとは思わせません。
爽快感が欠如しているからだと感じます。もともとが貧弱なソンソンのショットなのですが、唯一の攻撃方向である横へのそれも打ち漏らしがあるほど弱いのです。プレイフィールドの広いゲームですので、せめて攻撃出来る範囲だけには強力であっても良かったのではないでしょうか。
敵キャラクターの複合攻撃など見るべきところが多いだけに残念に思えてしまいます。
操作性もあまり良くはないですね。感覚的に云うと「緩い」と思わせられます。4方向レバーの筈なのですが、8方向レバーで操作しているような曖昧な感じと云えばお分かりになるでしょうか。

個人的には好きなゲームなのですが詰めの甘いところが端々にありますね。カプコンもまだ若かったと云えるのかも知れません。
しかし二人同時プレイと云う部分に価値を置くならば、良く考えられた好ゲームだと思いますので、遊べる環境をお持ちの方には少しだけお奨めしたいゲームではあります。

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2004.11.06

F-ZERO

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1990年に任天堂から発売されたスーパーファミコン用のレースゲームです。

スーパーファミコン立ち上げと同時に発売されたのが「スーパーマリオワールド」と本作でした(ケムコのボンバザルと云うゲームもありましたが…)。
発売前に雑誌などを見ていた限りでは本作はあまり期待されてもいなかったゲームだと思います。発売後の評価もスピード感だけが取り上げられていて芳しいものとは云えませんでした。後日発売された任天堂の「パイロットウイングス」と同様に新しいハードのデモ的な存在として捉えられていたのではないでしょうか。

購入した私の第一印象も単調なゲームに過ぎませんでした。この印象も多少の好転はしましたが未だ変わらない正直な感想です。
今迄にないスピード感と世界観がSFと云う事で様々な仕掛けがあり、遊んでいるうちに熱くなれるゲームではあると思います。

しかし本作には大いなる発明が組み込まれていました。スーパーファミコンのハード的な売りであった回転拡大縮小機能を使ったフィールドの描画です。
それまでのレースゲームではドット単位の水平線を連続移動させる事でコースを描画していました。ラスタースクロールと云われる技法です。ナムコの「ポールポジション」以降の3Dレースゲームでは必ず用いられている画期的な技法でした。

「F-ZERO」のコース描画はここから以降の全てのレースゲームを変えてしまうほど画期的なものとなりました。具体的には、平面に描かれたコースを3Dに見せる為に、画面手前を拡大表示して、画面奥を縮小して表示するのです。そうして車の挙動に合わせてコースを回転させる事で理論的に正しい3次元を作り上げると云う発明でした。
それ以前にもビデオゲームのハードでは回転拡大縮小機能を持ったものもありましたが、殆どが意味のない画面の装飾に使用する程度でしか用いられていませんでした。
「F-ZERO」は始めて回転拡大縮小機能を効果的に且つ工夫して使用した始めての作品となったのです。コロンブスの卵とも云えるこの発明に気付いた時には目から鱗が落ちる思いを味わいました。
当時のゲーム雑誌が何故このような偉大な発明を大きく取り扱わないのかも不思議でした。

2次元を3次元に変えてしまうこの技法はレースゲームのみならず、RPGやスポーツ物にまで応用されて一時代を築きました。ポリゴンが実用出来る段階になるまでは現役でしたが、現在では殆ど見掛けない古の技となってしまったのは致し方ないところでしょう(PS2のドラクエⅤのフィールドの描画には一部この技法が使用されていると思います)。

本作でもうひとつ語らなければならないのは「タイムアタック」の件についてですね。
当時の有名ゲーム雑誌「BASICマガジン」では本作にプラクティスモードがある事を利用してタイムアタックが流行し、その模様が逐一掲載され始めました。確か「1分59秒台への道」と云うコーナーだったと思うのですが、その毎月更新されるタイムアタック、理論的な考察などが人気を博し、全国的にも本作のタイムアタックが流行したのです。
これを機に「F-ZERO」は名作に生まれ変わったと云っても過言ではないでしょう。私もその流行に乗った一人なのですが、本当に熱くなり長い期間を楽しませて貰いました。

これ以降の任天堂レースゲームには必ず「F-ZERO」方式のタイムアタックが準拠されるようになったのです。現在だとファミ通でマリオカートのタイムアタックが行われているのも当時の名残だと云えるでしょうね。
任天堂が必ずしも売上の良くない「F-ZERO」シリーズに拘泥し続ける理由もここにあるのではないかと思います。それほどエポックメイキングな作品だったのです。

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2004.11.05

ボンジャック

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1984年にテーカン(現テクモ)から発表されたビデオゲームです。

固定画面アクションパズルゲームの傑作として名高い本作ですが、当時の私は殆ど遊んだ事がなかったと思います。グラフィックが綺麗だったとしか記憶にありません。
現在の目で遊んで見ても確かに良く出来たアクションゲームだと再確認させられました。

内容は画面内に設置された爆弾を全て回収すると1面クリアと云う単純なものなのですが、主人公「ジャック」の操作感が独特で楽しめます。
8方向レバーとジャンプボタンのみで操作するのですが、この組み合わせだけでかなり複雑な動きを表現します。
レバーを下に入れてボタンを押すと小ジャンプ、レバー上とボタンで大ジャンプ。ジャンプ途中でボタンを押すとジャンプ終了。空中でボタンを押すと一時停止、連打すると空中停止持続。これにレバー操作を加える事で様々な移動を行う事が出来ます。

導火線に火の付いた爆弾を連続して回収する事で高得点となり、1面で20個以上回収するとスペシャルボーナスが加算されます。このゲームらしいフィーチャーが俄然やる気を与えてくれますね。

敵が時間経過などに依り刻一刻と姿形を変えて行くところも面白い部分だと思います。

爆弾を回収して行く事でアイテムも出現します。敵を得点源であるメダルに変えてしまうものやボーナス得点が加算されるもの、エクステンドなどもあるようです。

ゲーム本来の面白さを堪能させてくれる佳作と云えるでしょう。最近の複雑なゲームなどで遊んでいると、このようにシンプルだけれども奥深いアクションゲームが新鮮に見えて尊く思えて来ます。
ゲームボーイなどの携帯機で遊ぶには最適なシステムを持っていると云えるのではないでしょうか。ゲーム性を研究するには打って付けの存在だと思われますね。

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2004.11.04

イシターの復活

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1986年にナムコから発表されたビデオゲームです。

「ドルアーガの搭」の続編で遠藤雅伸さんが手掛けた4本目の作品となります。
前作で囚われの身となっていた恋人カイを助けた黄金の騎士ギルが塔を脱出する物語です。

しかし今回の主役は魔法使いカイであり、ギルは専らサポートする役目を担っています。操作系統がそれまでのゲームにはない独特なものとなっていて、2本のレバーと2つのボタンでカイとギルを同時に操らなければいけません。
8方向レバー、魔法選択ボタン、魔法発射ボタン、がカイに割り振られており、ギルは8方向レバー1本のみで操作します。
基本はカイの単独行動となっていますので、邪魔になるギルを画面外に放って置いて、必要な時にだけ「コールギル」の魔法で呼び出すと云うのが攻略法です。しかしどちらか片方でも死んでしまうとゲームオーバーとなってしまいます。

本作は継続プレイする事を前提として制作されています。RPG的な概念が導入してあり、敵を倒す事でカイとギルが成長して行くのです。しかしゲーム中にはレベルアップせず、ゲームオーバー後にパスワードが表示され、次回それを入力する事で前回プレイ分の経験値が反映されると云うシステムです。
これは永久プレイ防止の策であり良く考えられた仕組みだと思います。
ナムコは本作のパスワードシステムで特許も取得しています。

ゲーム内容は前作と同様で、鍵を拾い扉に入ると1部屋クリアとなります。ただ一つの面に複数の鍵と扉が存在しており、それぞれに対応した鍵でなければ扉が開きません。そして扉の行き先も全て違う部屋へと繋がっています。この複雑な部屋の迷路構成が本作の一番難しい謎となっています。

「ドルアーガの塔」の続編と云う事もあり一部に爆発的な人気を博した本作だったのですが、様々な問題も内包されていた為にゲームセンターからは早々と消滅してしまいました。

一番の理由はプレイ時間の長さにあったと思います。成長し切ったキャラクターを持っていればクリアしようとしない限り何時間でも遊べたのが問題ですね。ギルの体力はおろかタイムまで任意に回復出来る本作ではゲームオーバーになる要因が見付けられません。カイは敵に触れただけで死んでしまうのですが、プロテクションの魔法を無尽蔵に重ねる事でこれも回避出来ます。
部屋の繋がりが迷路状になっているので、行きつ戻りつして延々と遊ぶ事も可能です。

またパスワードが画面に表示されるのを利用して、他人の育てたキャラクターを盗む行為も多発しました。酷いところだと皆が皆同じパスワードを使っているゲームセンターもあった筈です。

ゲーム的に見ても単調な感があり一般ゲーマーへ訴え掛ける面白さが欠落していました。

しかし個人的にはかなり遊び込んだ作品です。当時は風営法が施行されたばかりの時代でしたが、24時間営業のコンビニなどにビデオゲームが置いてある事もありました。特に参入したばかりのローソンはナムコと提携していたようで、大抵の店に2台ほどテーブル筐体が設置されていました。
夜中にこっそりと家を抜け出して、朝方まで「イシターの復活」を遊び込むと云う日々を一ヶ月近く続けていたと思います。今となっては懐かしい思い出です。

最後に「イシターの復活」の最も優れている部分を記して置きます。
それはグラフィックの統一性です。当時ハードの表現力が格段に上がって行くと同時に、グラフィックセンスの崩壊が始まりました。無意味に描き込まれた背景、奇抜と云うよりは下品なデカキャラ、色数を使い過ぎたが為に意味を為さなくなったゲーム画面……などなど、それまでのゲームにはあったゲームとしての美しさが無視されるようになって行ったのです。
他社はもとより王者ナムコも例外ではありませんでした。「源平討魔伝」を見た時には全てが終わったと感じたほどです。
「イシターの復活」では画面内に存在する全てのものがゲーム画面に収まる事を想定してデザインされているように見えます。設定画に尽力する無意味を省いて、ゲーム画面に映えるトータルデザインを追求していると云っても良いでしょう。
当たり前のように思われるかも知れませんが、これが実際に完成されているゲームは現在までにも殆ど存在していません。これは主観の問題ではなく完成度の問題です。

また無駄だと思われる中間のグラフィックが用意されていないのも特記すべき部分だと考えます。具体的には敵にダメージを与えた絵(効果)、また敵を倒した絵などが用意されていません。全て効果音とソフト内の処理で賄われています。これは白黒はっきりした素晴らしい演出とも云えるでしょう。
作者である遠藤さんのポリシーを感じられます。

どちらかと云うと闇歴史に葬られている感のある「イシターの復活」ですが、斬新であったパスワードシステム以上に語られなければならない美点を持っている事実にも気付いて欲しいと思います。

遠藤さんは本作の制作中に独立して「ゲームスタジオ」を設立しました。これ以降氏のビデオゲームは作られていません。家庭用の受動的なハードシステムでは氏の独創性も発揮出来なかったようで、話題となるような作品も出現しませんでした。現在は携帯コンテンツやカードゲームの作成をなさっているそうですが、業界の誇る有能なセンスを小さな世界に閉じ込めている現状に憤りを感じてしまいます。ここら辺の問題もどうにか出来ないものなのでしょうか。

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嵐が丘 / ケイト・ブッシュ

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1978年ケイト・ブッシュが19歳の時に出したデビューシングルです。
同年に発表されたアルバム「天使と小悪魔 (洋題 : The Kick Inside)」に収録されています。

良く出来たポップチューンである本作は、彼女の独特な声と特異なキャラクターに依って本国イギリスでは瞬く間に大ヒットしました。
Eブロンテの同名小説から材を取った曲で、複雑な家庭環境と愛憎劇の中にある一瞬の心理を描くものとして作られています。
ケイト・ブッシュはピンクフロイドのDギルモアに見出されて音楽の道へと歩を進めた人なのですが、現在の女性シンガーソングライターの雛形ともなった閨秀作家と云えるでしょう。それ以前にも少数の女性シンガーソングライターは存在していましたが、どちらかと云うとキャロルキングなどのように地味な裏方の存在でした。
容姿と才能を兼ね備えて表舞台に打って出た最初の存在として有名なケイト・ブッシュは、現在で云う不思議少女の祖でもあります。

鼻から頭に抜けるようなハイトーンボイスはいま聴いても独特な新鮮を提供してくれますし、ライブパフォーマンスもパントマイムと激しい踊りを主とした奇妙な感覚を見る者に与えます。詩も他にはない独特な雰囲気を持っています。近親相姦を思わせる内容が多い事も特徴でしょうね。
それ以上に目つきが怪しいと思わせます。視線がどこにあるのか判然としません。それでいて自然なセックスアピールを感じさせる佇まいもデビュー当時から身に付けていました。

メロディメーカーとしての才能も非凡であり初期の2枚のアルバムでは、ハイトーンボイスに絡めた極上のメロディを作り上げて確固とした存在感を業界に残しました。これは007シリーズのタイトル曲を依頼されている事ででも知れます。しかし、予定調和的な曲作りをしたくないとして断っているのも彼女らしい逸話だと思えます。

地位と名声を獲得したケイト・ブッシュは、3枚目のアルバム「魔物語」でセルフプロデュースを務めるとそれまでの作風から逸脱して行きます。4枚目のアルバム「ドリーミング」では本格的に監修を行った事でそれまでのファンが全て離れて行ったと思わせるような狂気の世界へと進んでしまいました。甘いハイトーンボイスは影を潜め、オーバーダビングを多用し始めた事も原因です。当時のファンにとって「ドリーミング」はまさしく悪夢のようなアルバムだったと云えるでしょう。それ以降は現在までリスナーを限定する独自路線を歩み続けています。

ケイト・ブッシュは女性アーティストとして自らの進む道を全うしている初めての存在だとも云えると思います。日本では「嵐が丘」意外ほとんど知られていない彼女ですが、イギリスでは同じく女性アーティスト達から大きな尊敬を未だ集めています。近年、影響力の大きいアーテイストだけに贈られるクラシックポップス作曲賞なども受賞しています。

来年あたりに通算8枚目のオリジナルアルバムが発表されるらしいので、これを機に「ウーマンズワークス」たる彼女の生き様を勉強して見てはいかがでしょうか。ハイトーンボーカルに抵抗のない方でしたら初期の2枚は大変お奨めのアルバムになっています。ただ、それ以降のアルバムは絶対に購入しないで下さい。間違いなくケイト・ブッシュ嫌いになると思われます。
しかし順を追って聴いて行く事で彼女の毒が貴方を魅了して離れなくしてしまうかも知れませんが。

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ドラゴンバスター (2)

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1985年にナムコから発表されたビデオゲームです。

当時アクションRPGの代名詞としてヒットした本作ですが、現在に名作との冠を付けられて紹介される機会の少ない作品でもあります。
売上の面において劣っていたと思われる同社の「ドルアーガの搭」は現在に不朽の名作として語り継がれています。印象度としては全く引けを取らないと思われる「ドラゴンバスター」ですが、こうも評価されていない現状を見ると不遇の名作とでも云いたくなってしまいますね。

この差はどこから生じたものなのでしょうか。
先ずはゲーム内容を見て行く事にします。主人公の「クロービス」を4方向レバーで操り、攻撃ボタンを押す事で剣を一振りします。魔法ボタンは遠距離攻撃であるファイアボールの発射に使用されます。

レバーでジャンプするシステムが採用されているのですが、4方向レバーで斜めジャンプを行う為に操作性に大きな難があります。移動方向(横)、ジャンプ方向(上)と続けて入力しなければならないのです。入力受け付け時間もシビアなのでかなりの慣れが必要となります。
ゲームを攻略する為には「カブト割り」と云う技を常に出せるようにならなければなりません。具体的には、ジャンプ中にレバーを下に入れながら剣ボタンを押し続ける…で出せるのですが、殆どの場合は敵との間合いを詰めつつ攻撃出来る斜めジャンプ中の「カブト割り」を使用します。
しかし、これがなかなか出難いのです。使いこなせればテクニカルな技なのですが、思うように出せないと苛々してしまいます。

他にも苛立ちを募らせるシステムがあります。主人公が敵に攻撃を受けると、進行方向とは逆の位置へ空中に弾かれてしまいます。その際主人公の全ての判定が無効化され、攻撃も出来ないばかりか、登っている途中の蔦からも落ちてしまいます。ダメージ判定無効後にこちらの移動攻撃判定が復帰するので、連続してダメージを受けてしまうのです。これによって操作出来ない時間が増えてしまう事になっています。

主人公の攻撃については、剣ボタンを押す事でグラフィックと同調して上から下へと判定が移動して行きます。出始めは上に強く最後は下に強いと云う事になるのですが、大半の雑魚敵が当たり判定を下側に持っている為に、常にレバーを下に入れてしゃがみ攻撃をしなければならなくなっています。これは悪い部分とは云えないのでしょうが、レバーを進行方向に続けて2回倒す事でダッシュ移動出来る新システムに水を差している感がしないでもありません。

ゲームシステムは任意4方向スクロールで広いマップ内を移動して、中ボスであるルームガーターを倒しつつ出口を見付けると云うものになっています。ルームガーターは全部で4種類存在し、或る条件のもと乱数で配置決定されます。暗い部屋に入った瞬間ルームガーターが動き出し明るくなったと同時に雑魚敵が出現する演出はとても面白いですね。ルームガーターを倒すと全ての敵が消滅するのも同様です。

ルームガーターを倒す事で様々なアイテムを入手出来るところはRPG的な面白さを提供してくれます。攻撃力が2倍になる剣と防御力を高める盾を同時に持てないのがプレイヤーとしてジレンマを感じる部分ではあります。

ファイアーボールは緊急用の武器として無難に纏まっている印象です。対ドラゴン専用とも云えるスペシャルファイアーボールの出現数は絶妙とも思えます。

面スタート時の全体マップで進みたい方向を選択出来る点もRPG的な部分として新鮮な感を与えてくれていました。

システム的には良く出来ていると思わせる本作なのですが、操作性の問題から現在に通用するゲームだとは云い難い感がありますね。今の目で捉えると奥行きが浅いアクションゲームとしか見えません。「ドルアーガの搭」のような乱数要素も少ないので繰り返し遊びたいとも思わせてくれません。
結局は「カブト割り」さえ出せれば終わりと云うゲームに思えてしまいます。西洋ファンタジーだけが正義であった時代に発表された「ドラゴンバスター」の居場所は現在に用意されていなかったのでしょう。
それでも当時高級なPCを所持出来なかった者の劣等感を払拭してくれた青春の1ゲームとして、私は本作を名作だと信じて疑いません。今回これを書く為に久し振りで遊んで見たのですが意外と楽しめました。

プレイステーション用に発売されている「ナムコミュージアム2」収録のドラゴンバスターは、操作性の問題を解決する為に8方向レバー対応となっています。もし興味がおありの方はこちらで遊ばれる事を強くお奨めします。

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2004.11.03

ドラゴンバスター (1)

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1985年にナムコから発表されたビデオゲームです。

当時はゲーム雑誌を通じてRPGが国内で紹介され始めた時期でもありました。国産初のRPGとしては84年に「ブラックオニキス」がPCで発売されると人気を博し、翌85年にコンピューターRPGの元祖とも云える「ウルティマ」と「ウィザードリィ」が国産PCへと相次いで移植されました。
以後、PCソフトメーカーが競うようにしてRPGを発表して行く事で、国内でも不動の1ジャンルとして定着したのです。
「ドルアーガの搭」を参考にしたと思われるアクションRPG「ハイドライド」も84年後半に発売され空前絶後の大ヒット作品となりました。

このようにユーザーへの認知度が飛躍的に上がって行った RPGではあったのですが、実際にプレイして新たな面白さを享受出来たのは、高級なパソコンを所持する事の許された一部の人達だけだったと云えるでしょう。
それ以外のユーザーは巷で中毒者を続出させているRPGと云うものを、雑誌の記事や想像だけで追い求め、羨望の指をくわえているより他ありませんでした。

そのような時にナムコから発表されたのがRPGの風味を持った本作「ドラゴンバスター」でした。まさに飢餓している人が飛び付くかのように勢いで群がりヒット作品となったのです。
ナムコは前年にRPG要素の詰まった名作「ドルアーガの搭」を発表していますが、ゲームルールが特殊であったのと難度が高かった事から一般ゲーマーには支持されずにいました。
「ドラゴンバスター」はRPGの世界観をグラフィックで強く表現していましたが、基本はアクションゲームであったのでプレイするユーザーを選ばなかったと云えるでしょう。

剣や盾を装備すると主人公が強くなる。ファイアボールの魔法が使える。アイテムで体力の回復が行える。また体力の上限も増えて行く。王冠や杖と云った特定の場所で効果を発揮するアイテムがある。スケルトンには魔法が効かない…など。聞きかじった事のある知識が目の前で展開されて行く事に興奮を覚えて夢中になった方も多いと思います。

ゲームセンターの中では「ドラゴンバスター」が発表された事によってRPG元年を迎えたと云っても過言ではなかったのではないでしょうか。

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2004.11.02

チェルノブ

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1988年にデータイーストから発表されたビデオゲームです。

先ず怪しげなタイトルに目を奪われてしまう作品です。サブタイトルは「闘う人間発電所」と云うのも凄い衝撃を与えてくれます。時事ネタとしても風化されていない当時はもとより現在でも絶対に許されない作品名でしょうね。

ゲーム内容は強制横スクロールのアクションシューティング物です。PC版のロードランナーを思わせる滑らかな動作の主人公「チェルノブ」を8方向レバーで左右に操り、ショット、ジャンプ、方向転換の3ボタンを使用して、例の場所からニューヨークまで踏破するのが目的です。

方向転換ボタンのある事を利用して、レバーで主人公の向きに応じたショット方向を指示出来るところが考えられている部分と云えます。方向転換は道中での使用頻度があまり多くありませんが、ボス戦で駆使しなければならないので上手い具合にバランスが取られていると云えるでしょう。
ゲーム性も低くなく独特な感覚を提供してくれます。ふざけたタイトルとは裏腹に良く出来たアクションゲームの傑作と云えるのではないでしょうか。難易度も高くないので万人にお奨め出来る内容です。

データイーストは本作以外にも「カルノフ」「トリオ・ザ・パンチ」など不思議で理解し難い設定の良作を作り続けてユーザーの支持を集めていましたが、残念な事に近年倒産してしまいました。
その他に有名な作品では「ハンバーガー」「B-WING」「ロボコップ」「マジカルドロップ」などがあります。ビデオゲーム全盛期の一角を担っていたメーカーであるだけに本当に残念でなりません。過去の名作たちがただ埋もれて行かざるを得ない事にも悄然の感が募ります。
大人の諸事情から難しいとは思いますが、どうにか年度別から選択されたビデオゲームライブラリーのような物を作れないものでしょうか。


最後にひとつ。以前私が本作を遊んでいたところ、普段それほどゲームに興味のない妻が何かに惹かれたのか横で面白そうに鑑賞していました。そしてエンディングを迎えてスタッフロールが終わった後、例の展開を見て非常に驚き落ち込んでしまいました。確かに衝撃的な最後ではありますね……チェルノブ。

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2004.11.01

グロブダー

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1984年にナムコから発表されたビデオゲームです。

作者は遠藤雅伸さんで「ゼビウス」「ドルアーガの搭」に続く3本目の作品と云う事になります。
氏は低予算短時間と云う枷を自らに課して3ヶ月で制作したとも語られています。氏の作品の中では最もマイナーな本作ですが、とてもシステマティックな好ゲームに仕上がっていると思います。しかしユーザーの支持も得られず売上を稼げる作品とはなりませんでした。

ゲーム内容は固定画面のシューティング物となっており、自機戦車「グロブダー」を8方向に移動させて画面内の敵を全滅させると云うルールです。
移動の他にショットボタンとバリアーボタンを駆使して闘います。
移動は8方向なのですが、ショットは16方向に対応しています。これはドット単位の細かい操作が可能としたもので、レバーの操作が或る1方向へ一定値を越えない限りショットの方向として指示出来ると云うシステムです。デジタル入力にアナログ感覚を与えた素晴らしいアイディアだと思います。
そしてバリアーボタンを押す事で自機の周囲に防御膜が張られ無敵となります。自機に耐久力は設定されていませんので、これを活用しなければ1面クリアもおぼつきません。バリアーはエネルギー制を採用しています。敵の攻撃を受けたり、爆発に巻き込まれる、または自機が移動する事などに依りエネルギーの消費が高くなり、画面下にあるゲージが赤くなると効果も切れてしまいますが、時間を経る事で回復もします。

ゲームシステム自体は非常に完成度の高い本作なのですが、ユーザーの支持を得られなかった理由は難度の高さに起因したものだと考えられます。
先ず敵の弾の速度が異様に高いのです。目で見て避ける事は不可能な程です。しかし、これはバリアーを準拠としたシステム上作者からすると当然の仕様だと思います。自機の移動速度が遅いのもバリアーを使うゲームなのだよと云う作者からのメッセージでしょう。

ゲーム進行の流れからすると、面スタート時にショットを乱打して近隣の敵を撃破、バリアーを張りながら移動、安全な場所からショット方向を動かして残った敵を倒して行く……と云うのが本来の狙いだったのではないかと考えられます。
しかし、敵の攻撃が激し過ぎる為に、この攻略法が見え難くなっているのが本作の敗因だったのではないでしょうか。

あまりの難しさを物語る証拠としては、当時ナムコのゲームセンターでは100円3クレジットに設定されていた事ででも知れます。全99面もあるゲームなのですが、上にある写真の最終面はプレイヤーを絶望させるほどの難度としても有名でした。発売されてからかなりの年数を経た後にイージー設定での全面クリアが出たと云うのも伝説となっています。
しかし面セレクトが最初から付いているあたりに遠藤さんの計算が見えるような気もしますね。

本作の難度がもう少し低く設定されていたのなら、万人にも遊べる佳作としてヒットしていたのではないかと思います。せめてバリアーが自動的に張られるだけでも結果は違っていたのではないでしょうか。

余談になりますが、本作は米アタリ社の遺伝子を持った最後のゲームと云う印象があります。米ウィリアムズ社の名作「ディフェンダー」の雰囲気もありますね。作者である遠藤さんの海外ゲーム好きは有名なところですから自然とそのような味が出ているのではないかと思われます。

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