ゼビウス(3)
1983年にナムコから発表されたビデオゲームです。
本作のゲームシステムで最も優れていると思える部分が、敵地上物であるレーダー「ゾルバグ」の存在です。
ゾルバグはマップに配置してあるだけで攻撃もして来ない地上物なのですが、敵空中物の出現に大きく関与している重要な敵となっています。
本作に於ける敵空中物は出現テーブルによって管理されています。出現位置がマップ上で決まっていて、その場所に達すると5機程度から成る1編隊が飛来するのです。
①トーロイド
②トーロイド
③タルケン
④ジアラ
⑤ゾシー
例えば上のように設定されているとします。
①トーロイドが出現した後に、次の敵出現ポイントに達すると②トーロイドが出現。次の出現ポイントでは③のタルケンが出現すると云う仕組みです。
これだけでは全くのパターンゲームと同様のシステムとなるのですが、ゾルバグを破壊する事でこの出現テーブルを2つ前へ戻す事が出来るのです。
本来ならば④ジアラが出現するところを、その前にゾルバグを一個破壊する事で②トーロイドが出現すると云う具合です。
出現テーブルは後になるほど強い敵が現れるように設定されているので、如何にゾルバグを破壊して行くのかが大事な攻略法ともなるのです。
攻撃して来ない敵なのですが、破壊しなければ難度が高くなって行く……これは非常に考えられたシステムだと云えるでしょう。それだけでは害のないゾルバグを危険承知で破壊しなければならない、または現在の危険をやり過ごす為に将来の危険に備えなければならない。ゲームとしてのジレンマがシステムの中に含有されているのです。
そうして完全なパターンゲームとならない点が優れていますね。全てのゾルバグを破壊すれば良いのでしょうが、実際のプレイ時にはそうも行きません。
敵空中物の出現位置は、自機が画面真ん中から右に存在すれば左から。右に存在すれば左から出現するようになっている事もパターンを崩す一端となっています。また自機が画面真ん中に存在すると、敵出現後の移動によって左右からばらけて攻撃される事にもなってしまいます。
しかし慣れて来ると出現テーブルを覚えてしまうもので、次は⑮のブラグザカートだから⑬のトーロイドにしておかないとバキュラ地帯が難しくなるな……と計算して敵の出現を支配する事も可能となるのです。本当に良く出来たシステムだと云えますね。
本作は全16エリアで構成されていて、以後7エリアから16エリアのループゲームとなります。1面クリアと云う概念はなく、マップ上で森に覆われた地点まで来ると1エリアを踏破したと云う事になります。
面の途中70%に達するとミスをしても次のエリアに進めます。完全な攻略を必要とされていない点が初心者には優しくなっています。逆に上級者は残り30%を是が非でも攻略したいと思うでしょう。
発表当時ゼビウスはかなり難しいゲームだとされていましたが、間もなく「1000万点プレイヤー」が続々と現れました。この言葉もゼビウスから生まれたものの1つですね。
確かにパターン化の出来ない難しいゲームだとは思うのですが、エクステンド設定の調整が間違っていた為に上級者であれば延々と遊べるゲームとなってしまいました。通常エクステンドが7万設定となっていますが、ソルが2000点×2となっており、場所によっては4本ソル、8本ソルが存在しますので、かなり残機が溜まってしまうのです。スペシャルフラッグの存在も拍車を掛けていると云えます。本作の欠点らしい部分と云えばここだけだと思いますが。
ゼビウスに関しては語りたい事がそれこそ山ほどもあるのですが、長くなりそうなのでまたの機会にしたいと思います。
私はゼビウスの登場した時期に立ち会えて本当に幸運だったと感じています。あと数年でも遅く生まれていたらリアルタイムでゼビウスを見る事が出来なかったかも知れません。ゼビウスから受けた衝撃とはこれまでの何にも増して強かったと思います。作者である遠藤雅伸さんにも物を考える上での強い影響を受けました。これだけ素晴らしい作品を残していただいた事に幾ら感謝してもし足りない気持ちで一杯です。
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