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2004/11/12

ニンジャウォーリアーズ

ninjaw.png

1988年にタイトーから発表されたビデオゲームです。

以前紹介した「ダライアス」の3画面筐体を流用したアクションゲームとなっています。
ゲーム内容は主人公が忍者のスパルタンXタイプと云えばほぼ語り尽くしたも同様でしょう。8方向レバーで移動ジャンプ、近距離攻撃ボタンと遠距離攻撃の手裏剣ボタンを使用します。
多少のアイディアらしい部分は、近距離攻撃ボタンを押し続けていると敵の攻撃を防御出来る事と、同ボタンを押しながらジャンプすると着地するまでは無敵でいられる点でしょうか。
手裏剣は弾数制限がありますが、忍者系の敵を倒すと補充されて行きます。使用頻度はそれほど高くありません。

3画面筐体を使用した以外に語られる事の少ない本作ではありますが、独自のゲーム性が比較的高く仕上げられています。独創性とゲーム性は反比例しない事を地で説明してくれている作品だとも云えるでしょう。

システムは「スパルタンX」同様に左右から迫り来る敵を判断良く倒して行くと云う部分で一致しています。スパルタンはどちらかと云うと瞬時の決断を迫られる緊張感を持ったゲームですが、本作は3画面筐体を使用している都合上、敵が近付いて来るまでに結構な間を持っています。まだ倒せない敵を遠くから意識させられるのです。これが為に重々しいゲーム性が生じていると云えるでしょう。
スパルタンが敵を倒す際に爽快感を提供しているのに対して、本作は倒すべき敵を選んで倒していると云った制圧感を所持しているとも云えます。制作者の意図したものではないにしても「スパルタンX」のシステムを発展させたものになっているのです。

この上に独自のゲーム性を高めている要素の大なるところが音の演出です。
まず敵を倒した時の効果音が良く出来ています。「ドギュッ」と云う深くて歯切れの鋭い音が秀逸です。これと併せて敵が脱力して倒れて行くアニメーションが本作の面白さの大半を担っていると云っても過言ではありません。この効果音がなかったら本当の駄作になっていたと思えるほどです。

そしてタイトーの音楽チーム「ズンタタ」の作ったBGMが主力となり本作の印象を鮮やかに形作っています。和洋折衷をテーマとしたこのBGMがなくても本作は単調で印象の薄い駄作になってしまっていた事でしょう。

本作を遊ぶ度に「音」がゲームに取って大切な因子であると再確認させられます。ひとつの音がゲーム性までも支配してしまうのです。逆説的に考えれば「音」によって詰まらなくなってしまったゲームも存在します。この辺の考察は近い内にコナミの「サンダークロス」を例に取って説明したいと思っています。

「ニンジャウォーリアーズ」は一般にもゲーマーにも受け入れられず短命で終わったゲームでした。原因は単調でスローモーな展開と高い難度にあったと思います。
前者は遊んで行く事で味となる部分だとも云えますし、後者はゲーム前半がそう思わせているだけで、実際にはそれほど難しい訳でもありませんでした。しかし、不人気で終わったのはタイトーの開発チームの力不足に他ならないと考えます。プレイヤーに何かを訴えかける気概が見えないのです。
企画段階では名作「ダライアス」も駄作の域を出ない仕様だった筈です。3画面筐体と云う未知の炎で竈変したのは偶然に過ぎなかったと云えるでしょう。それは「ニンジャウォーリアーズ」を見て判然としています。既存の内容をただ3画面筐体に乗せ換えれば良いのだと云う安易な手法では、ゲーム性を形作る神は再び降臨してくれなかったのです。
本当の名作とはこれ以上ないと云う計算の上にあって初めて神秘的な力を宿す芸術の一形式であると思います。目を瞑って原石を拾い続ける事などは偶然であっても簡単には有り得ない稀有な確率です。
タイトーの安易なゲーム作りを目の当たりにした時に毎回こう感じてしまいます。

―とは云うものの私は当時本作を1コインクリア出来る程度にはやり込んでいたんですけどね。結局のところ芸術性とゲーム性も反比例するものなんだなと思われます。


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コメント

名作とはそういった事で生まれては来ません.
それが可能な場合が稀にあるのはADVやRPGだけです.
そしてニンジャウォーリアーズは間違いなく名作なのです.

このゲームは3画面システムの第2段として急遽短期間で制作されています.名作と呼ばれるゲームはかなりの割合で短期間,低予算,少人数で制作されたものが多く,詰めの甘さや調整しきれ無かった突如とした高難易度など,神が与えた偶然のバランスによってのみ名作が生まれるのです.

簡単すぎても難しすぎてもダメだし,適度な難易度であっても平坦であってはならないのです.難易度上昇に関してもなだらかなカーブで上昇しては面白くなく,上昇速度が予想できてはダメなのです.これにはプレイヤーの期待を裏切る事が必要なのです.丁寧に調整されたゲームは,なだらかなカーブで難易度が上がり単調です.そして常に上昇していくので息がつまります.
ここはしばらくの間非常に集中しなければならないとか,ここは一息入れられるなど,そう言ったリズムが名作を生むのです.
これは計算によってできることではありません.
現場の急な仕様変更や追い込みやその他の要因で偶然そうなった結果生まれてくるのです.
名作,名曲,名画など計算して作れるものではありません.
いくら丁寧に時間をかけて作っても面白くないものは面白くないのです.むしろそう言ったゲームは名作を生む要素がなく,佳作止まりが限界です.達成できたとしても傑作が限界です.つまり名作はまず生まれてきません.

投稿: | 2010/11/01 15:04

名無しの方にコメントを返す義務は認めていなのですが一応……

私の文章が悪いのか名無しさんが云っている事と、私が考えている事とは一致している部分も多いですよ。他のエントリーも併せて読んでいただけると分かると思います。

しかし名作の誕生と云う点に於いては決め付けが強すぎますね。ご自身の考えが正しいと思うのであれば、発表の場を自身と云う責任のもと行う方が良いのでは?

こんな辺鄙なブログでコメントするよりも生産性に富む意見なども聞かれると思いますしね。私自身は無形のもの(芸術や作品)に議論するを潔しとは思っていませんので、名無しさんのコメントに彩りを加える事は適いません。

投稿: バブシカ | 2010/11/02 05:12

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