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2004.12.03

エグゼドエグゼス

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1985年にカプコンから発表されたビデオゲームです。

前作「1942」の大ヒットで会社からの信用を得た岡本吉起さんが、同様なゼビウスの亜流作品として企画したのが本作となっています。カプコン側も随分と力を入れていたようで、中解像モニターを使った専用筐体でのみ販売を許していました。これは作品に余程の自信を持っていた証拠と云えるでしょうね。基板売りの数倍にもなる購入価格はオペレーターからすれば負担ともなりますが、当時実績を積み重ねていたカプコンと云う事で多くの出荷台数を記録しています。カプコンに期待する業界のスタンスが分かると云うものです。中規模以上のゲームセンターには必ず1台は設置されていたと思います。

初めて本作を見た時は感動させられました。それまでのゲームにはなかった細やかで美麗なグラフィック、ハードの力を見せ付ける背景の2重スクロールと画面を埋め尽くすほどの大小様々な敵キャラクター。ゼビウスを思わせる魅惑的なミニマムミュージック。シューティング物でありながら2人同時プレイ可能な仕様も斬新であったと云えます。

しかしカプコン側とオペレーターの予想に反して本作は大ヒットするまでには至りませんでした。
その原因のひとつは難易度の高さにあったと思われます。ほぼ全ての敵に耐久力が設定されており、かなり固いのです。当時のゲーム雑誌などでは「必勝法はショット連打あるのみ」みたいな事まで書かれていました。連射なくしては攻略出来ないゲームと云う印象が強く一部のマニアにしか受け入れられなかったのです。

難度の高い原因を作っているもうひとつには、雑魚キャラの強い事が上げられます。最初に登場する敵ですら2方向に広がる弾を撃って来るのです。序盤から現れる画面下から出現する雑魚まで3方向弾を放って来ます。自機の位置に向けて弾を放つのですが、2方向3方向に拡散する性格上、その間をかい潜るように避けなければならない事も高難度に拍車を掛けています。
昆虫系の雑魚だけは弾を出さないように設定されていたら随分と遊び易いゲームになっていたと思われます。

一般に受け入れられなかった二つ目の原因は、色々な要素を盛り込み過ぎたからではないでしょうか。
ゼビウスの亜流として制作されている都合上、完成されたシステムに雑多なアイディアを独創性とすべく加味しようとして失敗しているのです。
それまでのシューティング物にはなかった2人同時プレイを始めとして、3段階のショットパワーアップ、レバー入力によるショットの射程距離変化、ボーナスステージ、敵をフルーツにしてしまう逆転アイテム、敵砲台に隠されたボーナスキャラクター、敵の弾を瞬時消滅させるメガクラッシュ……などが本作に盛り込まれたアイディアの主立ったところなのですが、どうも上手く噛み合っていないような感があります。

企画段階では敵の弾をショット2発で相殺出来る仕様だったそうですが、難易度の設定からゲームバランスまで調整不足だったと云えるのではないでしょうか。
ゼビウスの亜流として同様の方向性を持ったコナミの「ツインビー」はベルを打ってパワーアップすると云うところに特化していた為に、難度が高いにも関わらず大ヒットしています。

「1942」が大ヒットした理由は、シューティングゲームとしての根本を感じさせる打つ爽快感がシンプルに纏まっていたからに他ならないでしょう。本作の敗因はここにあったと思います。
当時のゲームは何がなんでもアイテムや隠れキャラを導入しようと腐心していました。ユーザーも諸手を挙げ歓迎してはいたのですが、本作のアイテムは煩雑になり過ぎていた嫌いがあります。ゲーム性の高い事は認められるのですが、体系統一されていないアイテムやボーナスは入手した際の感覚を麻痺させてしまうものなのだと思います。理解し難いだけに喜びも半減するのだと云えるでしょう。

ただ当時は煩雑に思えた本作のシステムではあるのですが、現在の目で遊んで見ると丁度良い按配に感じられます。難度の高さを別にすれば十分に楽しめる内容と云えますね。早過ぎた名作と呼ぶには程遠い完成度ではありますが。

最後に本作にしか見出せない仕様がありますので紹介します。
ゼビウス以降の加熱したハイスコア争いはゲームセンターを新しいコミュニティースポットへと変化させました。マニアは個々のゲームを極めようと躍起になり他人との情報交換を密にし出した結果、多くのゲームサークルを誕生させたのです。その活動の最終地点はゲームスコアのカウンターストップに行き着いたと云えます。
ゲームにエンディングがなかった時代ですので7桁または8桁の点数を振り切ろうと云う努力が盛んに行われました。
これはスポーティックな熱い争いではあったのですが、1コインで何時間も遊ばれてしまう都合、オペレーターにとって好ましからざる現象であったとも云えたでしょう。カウンターストップしたからと云ってゲームが終了する訳でもなく、上手いプレイヤーであればそれこそ1日中遊び続ける事も出来たのです。
この問題を解決するべくカプコンが本作に導入した仕様がカウンターストップ即ゲームオーバーと云う仕様でした。
「10000000点おめでとう」と云うメッセージとともにゲームが終了するのです。これは当時を知るプレイヤーには未だに語り継がれられている斬新なアイディアですね。
これ以降のゲームはエンディングシステムが導入されて行った事で、カウンターストップの意味と価値も低くなってしまいます。本作のような終了システムに後継も現れませんでした。

アーケードゲームがマニアだけの為になって行く過程に発表された本作は、その最右翼とも云うべき存在のシューティングゲームだったと云えるのではないでしょうか。

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