ジェミニウイング
1987年にテクモから発表されたビデオゲームです。
強制縦スクロールのシューティング物で、8方向レバーと2ボタン(通常ショットと特殊攻撃)を使用します。
先ず当時のテクモらしい美しい色使いが目を惹きます。音響の面ではBGMよりも効果音に音量が多く割り振られており、シューティング物としての充実感を高めようとしている工夫がされています。
最も特徴的なのはパワーアップのシステムだと云えるでしょう。特定の敵を倒すかアイテムを引き連れて現れる敵を倒す事で、パワーアップ及び特殊武器を入手する事が出来ます。
入手したアイテムは自機の後方に数珠繋ぎに蓄積されて行き、特殊攻撃ボタンを押す事で順番にひとつずつ消費されて行くのです。
その殆どは自機の状況を有利にする特殊攻撃なのですが、スピードアップや1UPまでも本システムの中で運用されている為に、即効性を持たないようになっています。
特殊攻撃のみであれば面白いアイディアだと思うのですが、パワーアップだけは入手した瞬間に効果が現れた方が良かったのではないでしょうか。制作者の考えたような戦略性は確かに存在するのですが、プレイヤーからして見ると非常にもどかしい感だけが募ります。
シューティングゲームとしてのゲーム性にも多少の難があります。
自機ショットが貧弱なのです。連射能力が低くショット速度も遅い為に爽快感が欠如していると云えるでしょう。
自機が比較的大きな設定もプレイフィールドを狭めていて、ちまちまとした印象を与えます。
もうひとつゲーム性を低下させているのが効果音の問題です。BGMよりも効果音に音量が割かれていると書きましたが、これが逆の効果をもたらしていると云えます。
雑魚敵などを倒した瞬間の効果音は良く出来ていると思います。しかし耐久力のある敵にショットを打ち込んだ時の効果音が適正ではないのです。乾いた金属音がその効果音となっているのですが、音量の高い事と相俟ってダメージを与えていないのではないかと錯覚させられてしまうのです。
これは今迄にあったゲームとしての約束事を反古にしているからであるのと、人間の心理を無視したが為の失敗であると考えられます。
金属音=無敵と云う図式がゲーム世界では共通の認識であると云えるでしょう。
金属音をダメージ音とする場合はそれなりのエフェクトを掛けなければならないと思います。音量への配慮も必要ですね。この辺りは専門的な知識を要しますので省略します。良い例として参考にするならば「グラディウス」の基地へのダメージ音が研究に値するでしょう。
個人的には非常に好きなゲームだったのですが、シューティング物としての楽しさに欠如していた為か一般にはヒットしませんでした。面構成や演出などがよく考えられていてパワーアップシステムにも独創性を見出せる佳作だとは思います。ただゲーム的にはメリハリに欠け冗長に感じられる部分もあります。やり込む事を前提とする家庭用ゲームとしてなら評価されていたのではないかと思える隠れた名作と云えるのではないでしょうか。
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