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2004/12/21

オメガファイター

omegaf

1989年にUPLから発表されたビデオゲームです。

強制縦スクロールシューティング物なのですが、様々な新機軸を盛り込んだ意欲作となっています。
先ず舞台設定が一機の巨大戦艦上のみとなっていて、要所要所に設けられた核を破壊して行くと云う流れで進みます。これを全て破壊すると1周クリアです。当時はハードが高性能になり表現力も豊かになった事で、ゲーム内演出の幅も広がりました。個別の面を持つ作品であれば、それぞれに特色を持たせるべく独自な構成を考えるのが普通でしたし当然だったと云えるでしょう。本作はそれを逆手に取り巨大戦艦のみを舞台として統一性を計ったのだと思います。

操作は8方向レバーとショット、特殊攻撃の2ボタンで行います。
ショットのパワーアップシステムも変わっています。2種類の武器を選択する形が取られており、Wのアイテムを連続して取る事でショットの幅が広くなり、最終的には画面全体をカバー出来るようになります。
Oのアイテムを取るとショットの威力が上がって行きます。これも連続取得する事で威力が上がって行くのですが、その度にショットの射程距離が短くなってしまいます。最終的には自機の前1キャラ分ほどの射程しか持たない事になります。
かなり極端なパワーアップシステムだと云えますね。実際のゲームではWは威力が低い為に使えない武器となっていて、Oを好みに合わせて4つほど取得して進む事になります。

特殊攻撃ボタンはシールドのアイテムを所持している時にのみ使用出来ます。シールドは定期的に画面上部から出現し自機の左右に2個まで装備する事が出来て敵の攻撃を防いでくれます。
装備時にボタンを押す事で敵の動きを一定時間スローモーにする事が出来ます。これが本作の目玉フィーチャーであり以下に述べる得点システムと密接に関係しています。

本作では敵を自機の近くで倒せば倒すほど高得点が得られるようになっているのです。遠くから1倍~、近くでは10倍とかなりの差があります。
10倍の距離で敵を倒し続ける事で、画面内の敵を全滅させられる特殊シールドが入手出来たり、1UPボーナスを貰えたりと工夫されています。
また面クリア時には最も多く倒した敵の距離でその倍率のボーナスが入ります。

特殊攻撃で敵の動作を遅くして如何に近距離で倒しボーナスを稼ぐか……これが本作独特のゲーム性を導き出す部分であり最も新しいところと云えるでしょう。
非常に斬新なゲームでシステム的にも優れた作品ではあるのですが、その斬新が一般はおろかマニアにさえ理解されず短命で終わってしまった不運なゲームとも云えます。別の見方をすれば爽快感の求められるシューティング物には不向きのシステムであったのかも知れません。

本作の作者は藤沢勉さんと云う方で、UPL社の殆どのゲームを企画した名物デザイナーです。「忍者くん」「ぺんぎんくんウォーズ」「アトミックロボキッド」などが氏の代表作でしょう。かなり先鋭な作風を持った氏ですが「忍者くん」以外まともなヒット作には恵まれませんでした。そうしてUPLは倒産し、藤沢さん自身も若くして病気でお亡くなりになりました。
ゲーム制作者がまだ世間に認知されていない頃から実名でマスコミに登場し、作品が持つ責任を自らで請け負いゲーム業界を批判し続けていた氏は立派だったと思います。
個人的に大好きなゲームデザイナーであった氏ですのでいま改めてお悔やみを申し上げたい気分です。

  最近知ったのですが、本作品の企画はタイトーを退社されたばかりのMTJ氏だそうです。これは意外でした。

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