イメージファイト
1988年にアイレムから発表されたビデオゲームです。
「R-TYPE」の制作陣が開発した縦スクロールシューティング物の意欲作と云えます。
先ず舞台設定が独特で、1面から5面までが敵との戦闘を想定したシミュレーションと位置付けられていて、6面から8面が模擬を踏まえた上での実戦ステージと云う扱いになっています。
これは素晴らしいアイディアですね。ゲームの設定や物語はどちらかと云うと後から取って付けたような適当なものが多いと思いますが、本作のそれはゲームシステムにまで関連して組み込まれていると云えるでしょう。
シミュレーション面で赤点を取ると、地獄の補習ステージまであると云う厳密さです。
ゲーム内容もまた素晴らしい出来映えとなっています。
8方向レバーと2つのボタンを使用するのは通常のシューティング物と同様なのですが、ボタン1がショット、ボタン2は4段階のスピード変速に使われます。
平生は3速で進み、込み入った地形の時は1速にするなど使い分けられる仕組みです。またボタンを押した際に自機後方からジョット噴射がなされ攻撃判定が発生します。これを用いなければクリア不可能な場所も存在します。
自機の周囲に最高3つまで付ける事の出来るオプション「ポッド」の存在も秀逸です。
青いポッドは常に前方へと攻撃すると云う意味で普通なのですが、赤ポッドはレバー入力の反対方向への攻撃を可能としています。
これの意味するところは自機が後退しながらでも前方攻撃を可能としたシステムであると云う事です。
本作に限れば自機ショットは常に前方へと用意されているので、文章で書くと意味が希薄になると思われますが、要は斜め後方に移動しながらでも斜め前方にショットを打てる事になります。
赤ポッドによるショット方向の打ち分けを駆使しなければ前半の面さえもクリア出来ないほど重要な存在として本作で最も素晴らしいアイディアになっていると云えるでしょう。
(このシステムを上手く流用すればアクションシューティング物でも移動と攻撃方向の問題を解決出来るのではないかと思わせます)
2つのボタンを同時に押す事で、ポッドを前方へ射出する「ポッドシュート」と云う技が使えます。これも攻略には欠かせない重要な技なのですが、アイディアとしては多少の蛇足感がありますね。
このような自機性能を熟知また駆使して進む戦略的なシューティング物となっています。ステージ構成やグラフィックなどもかなり練り込まれた作品として「R-TYPE」以上の完成度を誇っていると云えるでしょう。
しかし大ヒットするまでには至りませんでした。
原因のひとつは高い難度にあったと思います。典型的なパターン暗記型ゲームとして単純に難しいのです。
「R-TYPE」も同様な暗記型ゲームではありましたが、大きな流れを作り操作すると云う点でダイナミズムがありました。本作はどちらかと云うと細ま細まとした暗記を要求される部分で複雑になり面白味に欠けていると云えます。
もうひとつ大きな欠点があります。ゲーム性が低いのです。
これには様々な要因があると思うのですが、敢えてひとつ挙げるとしたら効果音が適正でないからだと云えるでしょう。
もっと具体的に云えば音色が乾いているように聞こえるが為に起こったゲーム性の欠如であると云えます。
雑魚キャラの破壊音は「R-TYPE」と似たものになっていますが、比較しても随分と爽快感の足りない感を抱かせます。
敵にダメージを与えている時の効果も同様な音になっているのですが、物量を感じさせない乾いた物となってしまっています。
この事に対する理由を演繹する事は出来ますが、確証がないので気になる方はご自分で聞き較べてみて欲しいですね。「R-TYPE」の効果音に差し替えたならば、また違ったゲーム性が生じたのではないかと感じられる事と思います。
個人的には大好きなシューティングゲームなのですが、難度の高さからプレイヤーを選んでしまった残念な名作だと云う感があります。しかしゲームシステム的に見れば斬新でいて練り込まれたオリジナルとしての尊さを持った稀有な作品だと評価出来るでしょう。
ゲームの面白さと作品の完成度とは常に一致するとは限らない懸案として難しい問題を提起するものだと云えますね。
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