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2005/04/13

バーチャファイター(2)

vf

1993年にセガから発表されたビデオゲームです。

当初淡泊に思われた本作のゲーム性でしたが、ベクタースキャンや生ポリゴン好きな私の趣味と合致していた為にかなり遊び込む結果となりました。そうして当初受けた負の印象が在る程度計算された上での演出であると判然しました。
陳腐な世界観と安直なキャラクター……演出の乏しいグラフィック効果……格闘物としては新しい操作系統……点数のないゲーム……これらは全くの斬新とは云えない負の印象を与えたものの、理解する事でバーチャファイターと云う作品を形成する素晴らしい因子として成立されていたのですね。

はじめの頃はポリゴンキャラが提供する挙動のみを楽しんでいたに過ぎなかったのですが、操作に慣れた辺りから徐々にゲーム性が高くなって来る感覚を味わいました。
これはキャラクターの攻撃属性(上中下)が分かって来た為に与えられた脳と腕に伝わる快感だったとも取れます。また自分の使用するキャラクターが用いる技の性能も憶えて行く事で、それまで見えていなかったシステムが知識としてストックされて行きました。
これは1つのゲームを遣り込んだ際にだけプレイヤーに与えられる楽しさの最たる物だと云えますね。特に斬新な要素から新鮮なプレイ感覚を所持する本作でしたので、知的好奇心を満足させる事には長けていたのだと思います。
そして、それまで対戦格闘物に疎かったプレイヤーでも一からスタートする土壌を用意していたのです。

プレイ時にインストラクションカードには記入されていない技が暴発する瞬間が能くありました。
ウルフショルダーアタックジャイアントスイングなどが代表的なところで、これらの技の正確なコマンドを調査するのもプレイヤーの楽しみでした。
特にアキラ鉄山靠(当時は背中と呼ばれていた)は相手体力の8割方を失くす超必殺技として皆が躍起になってコマンドを探していました。ニフティサーブで殆どの技が解明されたのは半年ほど過ぎたあたりだったと思います。

この頃になるとプレイ人口が増えたお陰で対戦も盛り上がりを見せ始めます。もともとプロジェクターを使用した筐体から出荷された本作でしたので、仲間内での対戦が殆どだったのですが、時折見ず知らずの方が対戦を申し込んで来る事がありましたね。そのような事を繰り返しているうちにゲームセンター内で対戦コミュニティが発達して行ったのだと思います。地方に住む私の周辺でもこのような経緯を踏んでいるのですから、首都圏のそれはもっと拡充としたものだったのではないでしょうか。

個人的に考えるところではバーチャファイターは対戦が特に楽しいゲームではないと思います。キャラクター間のバランスは最悪と云えるほど均衡が取られていません。余程の上級者が扱うカゲパイでも初心者のジャッキーにまず勝てないのです。
それでも対戦プレイが類を見ないほど盛り上がったのはコミュニケーションのツールとして機能していたからだと云えるでしょう。
どちらかと云うとマニアではないヤングアダルト層に受け入れられた本作には、ストⅡの対戦時に猛威を振るったハメ行為やえげつない遣り方を好むプレイヤーが存在しなかったのです。ここにもスマートでドライな作品と云う特徴が見て取れますね。

バーチャファイターはそれまでのゲームセンターに存在した生粋のマニアではないライトユーザーをマニアに仕立て上げたと云う意味でも貴重な作品だったと云えるでしょう。

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