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2005/12/21

スペースハリアー セガMk.Ⅲ

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スペースハリアーの移植と云うと、このセガMk.Ⅲ版を思い浮かべる方が多いと思います。……年齢が30歳以上の方限定かも知れませんが。

セガMk.Ⅲは任天堂ファミコンへの対抗機種として後発された8ビットCPUの家庭用ゲーム機です。スプライトの同時発色数などグラフィック機能がファミコンより優れており、セガのアーケードゲームが唯一移植されるマシンとしてマニア予備軍の中高生に指示を得ていました。
しかし、スーパーマリオやドラクエと云ったキラータイトルを幾多擁するファミコンに立ち向かう術さえ持たず消えて行った幻のゲーム機とする事も出来るでしょう。

何らかの間違いか詰まらないポリシーでセガのゲーム機を購入してしまったユーザーの希望の星とも呼べるのが本作だったとも云えます。
当時セガユーザーでもあった私は、Mk.Ⅲでスペースハリアーが発売されるとの情報を知った時には狂喜乱舞するほど驚きました。そうして当然の如く即購入したスペースハリアーをプレイして再度それ以上の驚愕に身を震わせる事となったのです……。


結果的に云うと、Mk.Ⅲ版スペースハリアーは或る意味どのような方角からして見ても規格外の凄い移植だったと云えます。

良い方向から眺めれば、よくぞMk.Ⅲの貧弱なハードでここまで再現してくれた……とも取れます。
ファミコンより強力なグラフィック機能を搭載しているとは云え、オリジナルのスペースハリアーは最新鋭のハードを詰め込んだモンスター級の基板を持つ作品です。
それを再現し得たのはキャラクターをバックグラウンドに描画すると云う裏技を考えた開発陣の力量と云えるでしょう。上の画像を見ていただければスペースハリアーの持つ3D表現の迫力を感じられる事と思います。
実際グラフィックの再現度はかなりのものです。キャラクターの造形がそのままとは云えませんが、Mk.Ⅲ特有のメタリックな質感が素晴らしい表現となっています。


逆に悪い部分を語れば、キャラクターの動きがぎこちなくスピード感がないと云う部分ですね。
これは容量が少ない為にグラフィックパターンを多く用意出来なかった事と、CPUの非力さから来る仕方のないところだとも云えます。
Mk.Ⅲ版を貶めるような発言は全てこの中に要約されていると云ってもよいでしょう。
しかし実際にプレイして見れば慣れが克服してくれる些細な弱点だとも思います。私の個人的な感想なのですが、Mk.Ⅲ版スペースハリアーのグラフィック表現は、ゲームの歴史上稀に見る素晴らしいアートであると請け合えるほどの完成度だと思います。

Mk.Ⅲ版スペースハリアーが含有する本当の弱点とはプレイアビリティの低さです。
もう少し詳細に云えば自機ショットの当たり判定が曖昧なのです。これは背景に描画されているキャラクターのパターンが少ない為の弊害とも考えられます。
本作では自機であるハリアーとショットのみがスプライトで描かれているのですが、背景に描かれている敵キャラクターが移動するに際して書き換えられる瞬間、自機ショットが当たらなくなってしまうのです。見た目には倒している筈の敵キャラクターが死んでいないと云う瞬間に能く立ち会います。
敵キャラクター及び敵の発射する弾は、画面手前にしか存在し得ない自機ハリアーと平面で重なる処理がなされているので必ず衝突してしまいます。ここが理不尽な感を与えてプレイアビリティを低下させている原因と見て良いでしょう。

オリジナルのスペースハリアーが持つ力押しにも近い爽快感が移植の際に抜け落ちてしまったのです。この部分さえもう少し何とか考えられていれば、Mk.Ⅲ版は不朽の名作として語られ続けたのではないかと残念に思えてしまいます。
それでも当時本作を購入した私たちは夢中でプレイし続けました。TV画面の先にあるオリジナル版を想像しMk.Ⅲ版にはないものを脳で補完していたのかも知れません。若しくは期待し続けた末の反動を表へとしたくないが為の従順をセガに誓っていたのかも知れませんね。


今回スクリーンショットを撮る為に遊んで見たのですが、なんだかんだ云って充分楽しめました。有り得ない話として、もしMk.Ⅲ版がオリジナル作品だったら本作は疑うべくもなく名作であったと実感出来るほどの力作に仕上がっていると云えるでしょう。

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コメント

驚愕というか、セガユーザーである自分自身の誇りでさえあったかも。
当事は移植度とかも明確に意識しなかったし、後発のタイトルそのものに強烈な一撃を立て続けにクリーンヒットさせられた時代だった気がします。
大人の体になってする喧嘩のダメージではなく、親父のゲンコツの強烈さにも似ています。

投稿: eki | 2005/12/21 18:57

>親父のゲンコツ

云い得て妙な比喩ですね。
当時のセガゲームって確かにファミコンにはない良い作品も多かったと思います。
1Mカートリッジはかなり遊びました。
 
スペハリやファンタジーゾーンは誇りでさえあったなあ。何か卑屈な優越感のような気もするけど。

投稿: 管理人バブシカ | 2005/12/22 03:36

スペハリは確かに凄かった。当時、FCユーザーだったけど、いとこの家でスペハリをやって以来、FCを売り本体とセットでスペハリを買った程だった。それからは脇見することなくセガユーザーです。

投稿: y-shaku | 2006/03/09 02:18

はじめましてy-shakuさん。

アーケード版はもちろんマークⅢを含めてスペハリは本当に衝撃的なゲームでしたね。
まさしく心のベストゲームと呼ぶに相応しい作品だと思います。
最近のセガは内部のゴタゴタから保守的な作品しか発売しなくなったのが寂しいところです。

投稿: バブシカ | 2006/03/09 02:32

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