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2006.12.15

横山宏Ma.k.モデリングブック

Makbook

今月2日に発売されたプラモデル制作に特化した大型本です。
発売元はモデルグラフィックスでお馴染みの大日本絵画。定価は税抜きで¥3800となっています。

当初、近くの本屋で購入しようと思っていたのですが、通えども通えども入荷せず、遂には我慢出来ずアマゾンで注文してしまいました。品薄で発送までに2~5週間かかるとの事でしたが、まあ入手出来ないよりは良いだろうとして気長に待つ考えでいました。
しかし友人からの情報で、セブンアンドワイ(セブンイレブンの通販本屋)ならば即日発送していると教えてもらい、アマゾンをキャンセルし二日後に無事購入。
終業後帰宅途中に最寄りのセブンイレブンで受け取りを済ませて、帰宅後に速攻で読了しました。

これは素晴らしいハウツー本です。
私は基本を学び、忘れないと云う意味でハウツー本をよく購入するのですが、今迄にない種類の内容に満ち充ちたハウツー本として感動しました。

これまで模型のハウツー本としては、MAX渡辺さんの「パーフェクトモデリングマニュアル」上下巻が有名でした(下巻は絶版)。現在だとホビージャパンで連載中の記事を纏めた野本憲一モデリング研究所こと「ノモ研」が最も入手し易いハウツー本として存在しています。
両著とも初心者からを対象にした親切で分かり易い優しいハウツー本ですね。道具の種類扱い方から、パテなどの特殊マテリアルの紹介、ヤスリの研ぎ方まで詳細に教授してくれています。

これに比べるとMa.k.モデリングブックはかなり異質なハウツー本となっています。
基本的に初心者をフォローするような内容とはなっていません。対象は模型製作の基礎を押さえている中級者から上級者、またはプロに向けられていると云っても良いでしょう。
しかし、だからこそ模型を作った事もない人たちに読んでもらいたい内容ともなっています。

MAX渡辺さんや野本憲一さんの著書はハウツー本として大変優れているのですが、プラモデルを作るには「こうしなければならない」と云う暗黙の了解を知らしめる為の縛りを与える負を含有しているとも思えるのです。
本来が趣味である模型製作ですから、個人によって楽しみ方は千差万別存在する筈です。しかしハウツー本とは上手く作る為の手順を列挙する前提のもと編纂されているものとなっています。

模型製作と云う豊かな趣味の世界に足を踏み入れ、もっと上手になりたいとしてハウツー本を読んだ初心者は、その膨大な約束事にがんじがらめに捉えられる事でしょう。
いざその技術や行程を実践して見ようとしても巧く行えず、最後には楽しく思えなくなり模型と云う趣味を放擲してしまう……そんな可能性だって少なからず有り得るのではないでしょうか?

横山宏さんが提唱する模型製作のあり方は「なんでもあり」に近いとも感じます。
もちろん技術力の蓄積からなる模型製作ですから、Ma.k.モデリングブックにも様々な高等テクニックが紹介されています。しかし無理強いをしないのがマシーネンクリーガーの模型製作法ですし、今迄に知らなかった技術が知識と経験から導き出された上で紹介されているので、読者の知的好奇心をくすぐる事で「やってみたい」と確実に思わせてくれるのです。

特に横山宏さんは本業がイラストレーターですので、塗装に関しての記事はこれまでの模型誌では語られる事もなかった本物の技術に裏打ちされています。この部分だけでも¥3800を払って十二分にお釣りが出るほどの記述がなされています。
現在ではエアブラシのみで仕上げられた作例が善であるとする風潮に染まったプラモデル業界ですが、基本である筆塗りの素晴らしさも再確認出来ます。

ここで個人的な感想を書かせてもらいますが、筆塗りって本当に面白いんですよ。
エアブラシ塗装では絶対に味わえない充実感がありますし、何よりも簡単に扱えるのが良いところです。そうして筆の運びひとつひとつが個性となり模型を形作って行くのですから詰まらない理由が見当たりません。
誰でも行えるだけに難しい部分を含んでもいるのですが、失敗した時のリカバリーはエアブラシよりも簡単だったりします。Ma.k.モデリングブックにも書かれていますが、ヤスリで塗装面を削って整えたりしても悪とはなりません。
その上にまた色を重ねて行く事で深み出て正解に近付いて行く感覚を味わえると云えば良いでしょうか。

エアブラシ塗装は最初にお金をかけて道具を集めてしまえば、あとは無個性を表現する手段としか成り得ないとさえ考えます。
極論かとも思いますが、実際にエアブラシで個性を出しているモデラーの作品って殆ど見た事がないんですよね。まあクリスチャンラッセンとかが好きな方であれば文句はないのですが、あれを毎回見せられて感動する事はないのではないでしょうか。私は油彩画にある絵の具の凹凸で勃起する人間なので特にそう思います。


少し話が逸れてしまいましたが、Ma.kモデリングブックには高等テクニックではあるけれども無理なく実践出来る技術が目白押しと云えるほど記載されています。また今迄基本テクニックだと思っていた技術を考え直す切っ掛けともなるだろう実際を伴った使用方法も多く書かれており、目から何枚も鱗が落ちる感覚を味わいました。
特に道具を使い易いように改造してしまう事などは、当然のようで行って来なかった事だけに感動してしまいました。プラモは改造するのに通常使用している物を改良していないなんて……。

とにかくプラモデルを作っている方、少しでも興味のある方には是非とも読んで欲しいハウツー本です。特にガンプラしか作った事のない方にお奨めしたいと思います。作り方のフォーマットが確立してしまっているガンプラにも流用出来る技術が満載されていますし、新たな楽しみ方を入手出来る事を請け負います。

マシーネンクリーガーの新作メカが2体追加されているのも売りのひとつですね。
陸戦フリーゲとジレーネと云うシュトラール軍の無人ホバー戦車なのですが、そのジレーネの土台が実際の自動走行掃除機(夜中の通販で売っているアレです)となっていて、部屋の掃除までしてくれると云うのがまた横山さんらしい遊びだなあと感心してしまいます。
やっぱり趣味ですから楽しくなくっちゃあいけませんよね。

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Comments

こんにちは根生です。
 久しぶりに長文に読み入ってしまいました。

 私も筆塗りは大好きです。と言ってもエアブラシに比べると手間が相当かかるので大きな物はやはりエアブラシで塗装します。
そういう意味ではエアブラシは省力化の道具であり、表現はやはり筆ですよね。

 ラッセンの絵と油絵の対比はすごく良くわかりました。なぜ私がラッセンにまるで興味がわかないかが自分でも納得出来た気がします。人に言われないとわからないものなんですね。自分の好みって。

 ところでこの本、AFV模型にも役に立ちますか?なんたってチョイと高いですからね。といっても1/35の戦車模型位置1台分ですが。最近買いまくってるからな~

Posted by: 根生 | 2006.12.15 at 10:48 AM

根生さんお久し振りです。最近コメント書いていませんが毎日チェックしてます。
コーティングがティーガーⅠの頃と比べて驚くほど上達しているなと感心して見ていました。

ラッセンはあれで良いものなのかも知れませんが、皆が皆あんなタッチだと流石に飽きてしまいますね。特にガンプラがいまそんな状態なんですよ。
私の中でのガンプラってAFVそのものだったりするので、凄く詰まらないプラモになっちゃったなあと思っています。
AFVは10年周期くらいで流行の作風が変化して行くからなかなか面白いですよね。これから高石さんの作風以上のものが出て来るとは考え難いところもありますけど。

Ma.k.モデリングブックはAFVにこそ即戦力として活用出来る内容ですよ。特に塗装論は本当に勉強させてくれます。ドラゴンの戦車をひとつ買ったと思って是非購入してください。
詰まらなかったら私が払い戻し致します!

Posted by: バブシカ | 2006.12.16 at 02:22 AM

ここまで言っていただいて買わないわけにはいけませんね(笑)。
さっそくアマゾンでポチっとやってきました。ワンクリックは早いですね、30秒でお買い物終了です。
早くこないかな・・・ワクワク

Posted by: 根生 | 2006.12.16 at 08:59 PM

なんか無理に購入させてしまったようで申し訳ありません。
でも読んだだけで自分のスキルが上がったように感じる程の実用本だと思いますよ。

「塗膜は厚ければ厚いほど良い」や「Vカラーを下地に使う」「色の補色効果」など目から鱗が落ちること頻りです。
「ミドルストーンの謎」あたりにはティーガーⅠの色についても少しですが語られています。

買って損したとお思いになったら本当に払い戻ししますので遠慮なく報告お願いします。

Posted by: バブシカ | 2006.12.17 at 05:54 AM

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