G3ガンダム_05
今回のパーフェクトガンダムを作る際に定めた方向性は「重量感」となっています。
それを象徴付ける存在として盾を作成してみました。具体的に云うと、使い込まれた無塗装銀を塗装で表現してみようと思ったのです。
で、出来たのが下の画像となります。
なかなかリアルに仕上がったと思うのですが如何でしょうか?
無骨な巨大感を演出する事には成功したかなと自負しています。
通常だとシルバーを塗装する際は、ペーパー掛けなどの下地処理を念入りに行い塗装面を均一に整えます。
これはシルバー塗料の粒子が細かく分離している為、塗装面が荒れていると粒子が細かい隙間に入り込み、本来得られる筈の輝きが発揮出来なくなる為の前措置となっているからです。
しかし、今回はセオリーを無視して塗装面を故意に荒らす事でシルバーの輝きを表現する方法を考えました。
具体的なレシピは以下の通りとなります。
行程その1
パーツ全体に番手180の紙ヤスリをかけてヒケとめくりを消す。
以下、240、320、600番の紙ヤスリで塗装面を成形。この際、前面左右の角に向けてアールを描くようにペーパー掛けを行う。
分かるか分からない程度の曲線がシルバーを塗装した後に陰影と輝きを入手します。
行程その2
個人的な好みで弾痕を付ける。これは以前ザクF-2を作った時と同様なやり方で作成しました。
パーツに若干大きめの穴を開け、ゼリー状瞬間接着剤のアルミ箔を埋め込むと云う手法です。
その後、周囲に粗く溶いた田宮パテを指で塗布して成形。
パテのムラを作る為に指を使用しているので、綺麗に成形しない事を心掛けます。このムラも塗装後に陰影を入手する事を目的としています。
行程その3
サーフェーサーを吹く。
これは通常のやり方で行いますが、アルミ箔を使っているのでプライマー効果を持つ田宮サーフェーサーを使用。
生乾きくらいの状態になったら弾痕部分のサフを拭き取ります。
アルミ箔の輝きを失いたくない為の措置であるのと、本物のシルバーを隣に置きながら参考として塗装したいと思ったからです。
行程その4
筆でグロスの黒を塗装。
塗料はやや濃いめにして故意に筆ムラを残すようにします。場所によっては禁忌とされる返し筆を用い塗料面を荒らしています。これも最終的な陰影を入手する為の措置です。
弾痕部分は塗りません。
行程その5
ラッカーのクロームシルバーを厚めに塗布。
乾燥後に磨き込むので厚めに塗るのがポイントです。
行程その6
ラッカーのノーマルシルバーにホワイトを混色。ぼかし筆で全体をドライブラシ。
このドライブラシは塗料を筆に多く残したまま行います。下地のクロームシルバーが溶けない程度の塗料と云った感じです。
ドライブラシは細かい円運動で行います。円周1㎝くらいを強く細かく無心にと云えば良いでしょうか。
こうする事によって金属に特有の擦れ傷が再現出来ます。クロームシルバーの中に混色シルバーが埋め込まれて行く感覚とも云えます。
コツは塗料がなくなり色が着かなくなっても円運動を止めない事です。クロームシルバーがむけない程度に下地の黒が出て来れば良い案配ですね。
場合によっては円運動のみならず縦に擦っても良いと思います。全体に鈍い輝きで出て来たら完了とします。
行程その7
エナメル塗料で全体をウォッシング。
艶消し黒、プラス茶色、艶消し黒と計三回行いました。
行程その8
アトランダム的に2000番の紙ヤスリを掛けて下地を露出させます。
水研ぎをせずに行い、ペーパーの汚れた部分を使わないようにするのがコツです。
塗膜にムラがあるのでシルバーを削ってしまう事にもなるのですが、露出した黒には次の行程でドライブラシをかけます。
行程その9
エッジを中心にノーマルシルバーで通常ドライブラシ。
下地が露出した部分にもドライブラシを掛ける事で立体感が得られます。
行程その10
エナメル塗料でウォッシング。色が着くか着かない程度に薄めた艶消し黒で行いました。これで全体に統一感が得られます。
完成したアップ画像です。
実際には筆ムラによる凹凸があって微妙な立体感があるのですが、デジカメでは残念ながら写せませんでした。
盾の裏側はこんな感じに仕上げました。
これは個人的な好みでスターウォーズのプロップモデルっぽい雰囲気を出しています。
盾の持ち手は無駄にディティールアップ。完成すると殆ど見えない部分だと思うのですが、キットのままでは寂しいので金属パーツでデコレートしました。
塗装するとこんな感じになります。
追加した金属パーツには強い錆を表現。あとはシルバーでドライブラシ。エナメル塗料でウォッシングを施しています。
今回は久し振りに塗装を満喫しました。
盾の前面は試行錯誤しながらも新しい表現を入手出来ましたし、裏側はスターウォーズ風の仕上げを楽しんで行えました。手間はかかっているのですが、下地が出来てさえいれば一日で終わる作業でもあります。ガンダム自体をシルバーに塗り直そうかとの誘惑にも駆られてしまいました。
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