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2010/04/13

恋愛相談室 37

高校生ジュンイチ(17)の相談

 先ず貴方と貴方が片思いしていると云う女の子の間に透明な氷壁があると想定してください。これが貴方と彼女を他人たらしめている壁と云う事になります。
 お互いの距離がどれだけ近くにあったとしても、この氷壁が存在するうちはお互いに触れ合うまで接近する事は許されないのです。
 貴方は氷壁を溶かしたいが為に熱い吐息を吹きかけます。しかし、なかなか溶けそうもありません。もっと熱い吐息を吹きかけます。氷壁は徒に曇るばかりで溶ける気遣いも見せません。それどころか彼女の姿さえ見え難くしてしまいました。
 この氷壁は不思議にもマジックミラーのように出来ていて、彼女の側からは曇りが見えません。ただ貴方が吐息を吹きかけている様子が見えるのです。
 吐息を吹きかける貴方が真面目に見えるか間抜けに取られるかは彼女の判断に任せるより他ありません。
 氷壁は意外にも熱い吐息よりも平生の息遣いに溶け易い特性を持っているようです。内と外から行われる会話をする程度の常温が丁度良いとも思われます。
 一方的な吐息だけでは氷壁を曇らせるだけ曇らせて、のちにはそれがまた厚い壁へと変化してしまう結果を生み出します。

 貴方は苦労に反して溶ける素振りも見せない氷壁に苛立つ事でしょう。溶けないのだったら強引に叩き割ってしまえ。
 砕け散った破片は剣呑を提供してしまいます。彼女は身構えて貴方の進入をきっと拒む事でしょう。無理に進もうとすれば、貴方は破片を踏み抜く事で怪我をして動けなくなってしまいます。
 また氷壁を叩き割った瞬間に彼女は貴方の眼前から消滅する事を余儀なくされています。破片に閉じ込められた彼女は直きに溶けていなくなってしまいました……。

 恋の不成立とはこのようなものです。氷壁は意識せずとも溶ける事もあれば、努力の甲斐なく意固地にも溶けないどころか、知らずぶ厚くなってしまう事だって多くあり得るのです。
 若い貴方の事ですから、これから幾度となく氷の破片で自らを傷付けて行く事でしょう。ただ、これが悪い事だなどとは思わないでください。この繰り返しがあったればこそ貴方は本物の伴侶を見付ける事が出来るかも知れないのですから。

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