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2011/03/27

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 34

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●ワルキューレの冒険 時の鍵伝説
ナムコ 1986年8月1日発売

ナムコ発アクションRPGと云う事でかなり期待していたのですが、思い切り裏切られた記憶が残っています。
全く以て詰まらない作品とまで云う積もりはないものの、過去の名作RPGたちを研究していないかのようなゲーム性の低さには悄然とさせられました。

特にゲームプレイの大半を担うであろう戦闘が面白くありません。
ボタンを押す事で剣を出し、隣接する敵にダメージを与えるタイプのシステムなのですが、ボタンを押した後の硬直時間が長すぎます。これと剣を振るグラフィックスが相俟って非常にテンポの悪いゲームとなっています。効果音も硬質な音色であるところから、全く面白みのないゲーム性を提供してしまっています。

敵にダメージを与えると遠くまで吹き飛んでしまうのも旧態依然とした部分です。ここでまたテンポを悪くしています。敵アルゴリズムも盆踊りしてるんだかなんだか意味不明。

「ドルアーガの塔」「ゼルダの伝説」を意識して開発されたであろう本作は、そのどちらにも、どの部分でも勝る事なく完全敗北したと云えるでしょう。
当時、学校にも行かずゲームばかりしていた私ですので、本作も繰り返し何度かはクリアしています。しかし詰まらないゲームだとの認識は変わりませんでした。


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●北斗の拳
東映動画 1986年8月10日発売

当時、社会的ブームにまでなった大人気同名マンガ、アニメを原作としたゲーム化作品です。売上本数は150万本と大ヒット。これは現在に至るまでキャラクター版権物では歴代三位の記録となっています。

しかし、ゲーム内容がお粗末すぎます。「スパルタンX」タイプの横スクロール格闘アクション物なのですが、まともなゲームとして完成していない試作品のような佇まい。ビデオゲームを開発した事がない、または理解していない会社が作った作品としか思えません。
とは云うものの、敵を倒す部分のゲーム性は低くなく、当たり判定などは納得行くものとして遊べるレベルを維持していると云う不思議。

具体的に印象を悪くしているのは、グラフィックスとゲーム構成、細部の詰めの甘さと云う事になります。
ただ、原作の力を借りたとしても、この程度の内容で150万本売れてしまうと云う部分には納得行きませんね。

ファミコン版に先立ちセガ・マークIII版「北斗の拳」がこの一ヶ月前に発売されました。
こちらは真面目に開発された名作として現在にも語り継がれています。ゲーム雑誌では特集が組まれ、素晴らしい出来映えに多くの賛辞が贈られました。因みにプログラマは後の「ソニックシリーズ」や「ファンタシースター」でお馴染みの中裕司さんです。
普段ファミコン人気の陰で、精神的物質的にも虐げられて来たセガユーザーは、やっと溜飲の下がる思いを味わえたのでした。

しかし、マークIII版「北斗の拳」がファミコン版「北斗の拳」のプロモーションになっていたのではないかと云う疑いもあります。
大人気マンガ「北斗の拳」のゲームを遊びたいもののマークIII本体を持っていないファミコンユーザーが、丁度折良く発売された東映動画版「北斗の拳」に飛び付いた……このような図式を演繹してしまいます。
マークIII版の売上本数は資料がないので分からないのですが、健闘したとしても母数の問題でファミコン版よりかなり少ないでしょう。内容としてはマークIII版こそ150万本売れても不思議ではないほどの完成度を有しているのですが……人生上手く行かないものですね。

マークIII版の記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2006/01/strongstrong_6ae8.html

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2011/03/26

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 33

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●メトロイド
任天堂 1986年8月6日発売(FCD)

現在まで続くメトロイドシリーズの第一弾はディスクシステム専用ゲームでした。
任天堂作品では異質とも云える世界観を持ち、陰鬱としたSF舞台設定にちょっとした戸惑いを覚えました。また現在では名作の誉れ高い「1」ですが、当時はクソゲーに近い評価を受けていた事も特筆すべき部分でしょう。
「ディスクの読み込みが長い」「操作性が悪い」「ゲーム内容が単調」このような謗り受けていました。いま思えばロード時間が長い以外は謂われのない非難なのですが、もとから万人に支持された作品ではなかったのは事実です。

しかしゲーム内容と同様に、遊び込むほど自機サムスがパワーアップし行動範囲が広がって行く面白さに魅せられて、国内では売上本数104万本まで実績を伸ばして行きました。SF世界観を持つゲームの人気が高い海外ではトータル500万本の大ヒットを記録しています。

ゲーム開始時が貧弱装備で、徐々にパワーアップする事でゲーム性が高くなるタイプの作品だった事から、せっかちな日本人の嗜好には合わなかったのかも知れません。そうして、そのように面白くなるゲームだと教えてくれるメディアもなかったのです。ファミコン通信のクロスレビューもまだ始まっていませんでした(ファミ通レビュアーの好きなタイプでもなかったでしょうし)。

現在では「メトロイド」とは迷路探索パワーアップ型のゲームとして認知されている事から、腰を据えてゆっくりと安心して楽しめる作品となっています。
雑誌等メディアの役目とはゲームを楽しむ為の指標を明確に伝える事ではないのか……と改めて考えさせられます。全てのゲームが「スーパーマリオ」のように金太郎飴よろしくどこを切っても面白いと云う訳ではないのですから、その責任は重大ですし難しいものであるとも思います。

鑑賞眼の確かな批評家と云うものはどの分野でも極僅かしか存在していません。特に歴史の浅いビデオゲーム業界ですからレビュー方法も確立していないと云って良いでしょう。
ゲームに独創性が感じられなくなったと云われて久しい現在なのですが、そこにはマスコミメディアを含む批評家の悪も関係していない訳ではありません。
主観を勢いだけで押し付ける悪。レビューの点数を金とコネで買う悪。不勉強から出た結論を正義とする悪。無理に流行を作ろうとする悪。
私たちが独自に正しい鑑賞眼を入手しなければ真贋を見分けられないとするならば、マスメディアは必要ないと云う事になります。しかし、これは本来正しい道ではないのです。優れたマスメディアに誘掖されて彼岸へと導かれるのが本当の姿と云えるでしょう。
この雑誌ならば、この批評家の意見ならばと信頼出来るプロフェッショナルが多く出現する事を願って止みません。

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2011/03/23

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 32

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●バレーボール
任天堂 1986年7月21日発売(FCD)

ファミコン初のバレーボールを題材とした作品はディスクシステム専用ゲームでした。
当時バレーボールは人気が定着し絶頂を迎えようとしていた頃でした。スポーツの魅力としてよりもエース選手をアイドルとして捉える傾向が強かったと云えます。これは現在にまで続くバレーボール界が抱えて手放せない宿痾となっています。

そのような状況で発売された本作は売上本数198万本の大ヒットを記録。これ以降もバレーボール作品が殆ど出ていない為、未だ決定版の地位を守り続けていると云えるでしょう。

スポーツゲームとしても良く考えられており、かなり難しい内容ながら楽しめるものとなっています。しかし、本当に難しくてかなりの修練を積まないとまともな試合にならないほどです。

私は弟と一緒に随分と遊びましたが、いま遊ぶのだったらPCエンジンの「スーパーバレーボール(1990ビデオシステム)」の方がお手軽で楽しめそうですね。


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●涙の倉庫番スペシャル
アスキー 1986年7月30日発売(FCD)

原作は1982年に国産PCで発売された「倉庫番」となっています。PCゲーム黎明期に生まれたアイディア重視の優れたパズル作品と云えるでしょう。国産PC全機種はもとより以降ほとんどのコンシューマ機、海外でも多くのプラットホームに移植されています。

「押すことは出来るが引く事は出来ない」このルール一つでこれだけ奥深くて面白いゲームが作れる事に驚きを禁じ得ません。コンピュータゲームの大発明の一つとしても大袈裟ではないでしょう。

しかし、ファミコン版は時既に遅し4年後の移植でした。誰も見向きもしないと分かっていたからか、凡そ倉庫番には似付かわしくない「アイテム」要素まで盛り込まれています。これは倉庫番の究極完成されたゲームシステムを汚す蛇足としか云えませんね。オリジナルモードもあるので無視すれば良いのでしょうが、世間に迎合を打つ制作の態度には辟易させられます。

「倉庫番」自体は現在にプレイしても十分に楽しめる作品ですので、純粋なパズルゲームがお好きな方にでしたらお奨めしたいところです。


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●ソロモンの鍵
テクモ 1986年7月30日発売

原作は同年に発表されているアーケード版となるのですが、ほぼ同時に開発されている事から単純な移植作と云うよりは姉妹作と見做されています。

本作もアクションパズルゲーム希代の傑作です。アクションとパズルの構成比は5対5と云ったところでしょうか。難易度のバランスも整えられており、極端にアクション物が苦手な方でなければ現在でも夢中になれる作品となっています。

アーケード版の記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2004/10/post_4.html

FC版とAC版は基本的にほぼ同じ内容なのですが、ステージの順番構成が違う、ボーナス面の有無など若干の差異があります。
その中でも大きいのがAC版にはFC版で削除された敵キャラ「スライム」と「マジシャン」が存在する事ですね。

両キャラとも乱数で動くアルゴリズムを有しており、ゲームをパターン化させない役割を担わせられています。特にスライムは強敵で半ブロック分のジャンプ力と、ブロックの隙間を通り抜けられる特性を持っています。また面によっては特定の敵をファイヤーボールで倒し続けると、色の違う反応速度が上がったスライムが何段階かに分けて出現します。点数稼ぎをしない限り出現しないだろうハイパースライムなのですが、大量発生するところは一見の価値があります。

マジシャンは自機ダーナと同様な性能を持っており、ブロック作成削除ジャンプを繰り返す強敵です。但しバグを誘発させるキャラでもあり、彼の存在するステージは鍵なしでもクリア出来てしまう裏技を可能としてしまいました。

ファミコン版が好きだった方には是非ともAC版もプレイして頂きたいですね。グラフィックス、サウンド、操作性、高いゲーム性、没入感……全てがFC版を凌駕していますので、新たな感動のもと遊び込める作品となる事を請け合います。

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2011/03/22

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 31

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●スーパーチャイニーズ
ナムコ 1986年6月20日発売

原作は1984年に日本ゲーム(現カルチャーブレーン)から発表されたAC版「チャイニーズヒーロー」となっています。ファミコン版はマイクロアカデミー制作。

ファミコン版はかなりアレンジされた内容となっており、ゲーム性も相違したものとなっています。
AC版はジャンプ(キック)に回数制限があり敵を倒す事で補充されるシステムでした。基本はパンチで敵を倒し、ジャンプは特定の敵への攻撃と緊急回避としての役割を担っています。これはこれで敵との位置取りが重要になるシステムとして上手く機能しており、楽しいゲーム内容となっています。

かたやファミコン版はジャンプが無制限になった事で、パンチの役割はほぼ失くなっています。常にジャンプで戦うアクロバチックなゲーム内容に変更された訳です。どちらが優れていると云うものではないのですが、ファミコン向けの良いアレンジだと思います。

その他にもブロックを叩くと様々なアイテムが出現したり、ボーナス面があったりと「スーパーマリオ」を意識させるゲーム内容となりました。火の玉を撃つ際の効果音までそっくりです。
ゲームシステムは全体として曖昧になってしまった嫌いもあるものの、ゲーム性が高くなり万人にも楽しめる作品になったと云えるでしょう。
ナムコ側が任天堂に支払うロイヤリティ特権を利用した、¥3900と云う低価格も魅力でした。二人同時プレイも可能ですし現在に遊んでもなかなか楽しめますよ。


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●スクーン
アイレム 1986年6月26日発売

強制横スクロールのシューティングゲーム。制作はホームデータ(現・魔法)。
はっきり云ってゲームになっていない未完成品です。シューティングとしての面白さも皆無。アイディアも消化不良。技術力も感じられず……何一つ語るべきところを持たない駄作です。
但しゲーム開発者を目指す方がいらしたら、このような駄ゲーを材料として、どの部分を改善すれば面白くなるのかを考えるのは後学の為になると思います。


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●バベルの塔
ナムコ 1986年7月18日発売

古今東西アクションパズルゲーム傑作の一つであると思います。
パズル要素が高い作品なのですが、面によってはアクション性もあり、リアルタイムでパズルを攻略しなければ解けない箇所も存在します。難易度は低くないものの全体として非常にバランスが整えられています。

自機インディがブロックを持ち上げたり下ろす部分にも、絵的なゲーム性が隠されています。ここは他に類を見ない例なので研究に値するかも知れません。特にブロックを持って移動するだけでも小さなゲーム性を感じられる事には注目すべきでしょう。

ゲーム内容とグラフィックスから生ずる地味な印象は否めないものの、無駄がないからこそ時を超えて現在でも通用する普遍性を所持していると感じます。

表64面はアイテムにより手数が回復させられるので頑張ればクリア出来るレベル。
裏64面は決められた手数でクリアしなければならない上級者向け……と云うのも良く考えられています。今から遊び始めても遅くないと思わせる数少ない作品です。


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●がんばれゴエモン!からくり道中
コナミ 1986年7月30日発売

ファミコン初の2メガビットROMを搭載した作品として有名です。本作の登場によりディスクシステムの優位性が大きく揺らいでしまいました。
本作に先立ち同年5月にAC版「Mr.五右衛門 」が発表されていますが、原作と云うよりは世界観とキャラクターを共有した別作品として良いでしょうね。

初のメガ超え大容量ROMが頻りと宣伝されていた本作ですが、ゲーム内容としては単調な凡作の域を出ていません。
コナミ側としては自社発の「スーパーマリオ」を目指していたのでしょうが、足許にも及んでいないとするのが正直なところ。詰まらなくはないけれど面白くもない作品の筆頭ですね。大きく打ち上げた広報宣伝で幼い、または知識のないファミコンユーザーを洗脳した程度のものでしょう。
個人的な印象で云わせてもらえば、良く出来た「東海道五十三次(サン電子1986年7月3日発売)」ぐらいなものです。失礼すぎますかね?

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2011/03/21

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 30

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●魔界村
カプコン 1986年6月13日発売

原作は1985年に発表されたアーケード版となっています。AC版の大ヒットによりカプコンは新しい社屋を建てたとも云われるほどのメガタイトルだったのです。

アーケード版の記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2004/12/post_14.html

ビデオゲーム新時代の扉を開いた本作なのですが、その人気も覚めやらぬ内に発売されたファミコンへの移植版も当然の如く大ヒット。カプコンの公式データを参考にすると売上本数164万本を記録しています。

しかし移植度と云う点では納得が行くものとはなっておらず、AC版が持っていた驚くほど高いゲーム性が抜け落ちてしまっています。
これは今迄のファミコン移植版と同様に、グラフィックス再現に重きを置いてしまった為かゲーム性その他を蔑ろにしているとも受け取れます。
または当時のカプコン移植担当者はグラフィックスとサウンドを移植すれば「ゲーム性」も付いて来ると思っていたのではないかとも考えられます。

ファミコン版「魔界村」の欠陥は「プレイアビリティ」が低いの一言で表現出来ます。もっと具体的にすれば「当たり判定」がお座成りなのです。
自機アーサーの当たり判定が大きい、武器ショットの当たり判定が小さい……これが為にAC版以上の難しさと理不尽さを提供するものとなっています。

AC版も高難度のゲームとして有名ですが、自機ショットの当たり判定がかなり大きく取られており、敵キャラとの横軸さえ大体一致していれば撃ち漏らしがないように出来ています。これに武器ショット効果音、敵やられ効果音+グラフィックスが合わさる事で極上のゲーム性を形成しているのです。難度の高さはファミコン版とは別のところにあるとして良いでしょう。

結局ファミコン版「魔界村」は物語性のある高難度のジャンプアクション物と云う認識しか持たれていないのではないかと思います。
もしファミコン版のみでAC版をプレイした事がない方がいらしたら、Wiiのバーチャルコンソールでタウンロード販売していますので購入してみる事をお奨めします。
本物の「魔界村」が所持するゲーム性の高さは現在でも色褪せていないと保証致しますよ。

余談ですが……当時の深夜ラジオ内で時のアイドル小泉今日子さんが本作をプレイして、そのあまりの難しさに発狂していたのを思い出します。このラジオ番組は「オールナイトニッポン(水曜日)」でゲームフリークの田尻智さんがファミコンソフトを紹介し、小泉さんに遊ばせると云うコーナーでした。田尻さんはSっ気が強い方なのか、1面のゾンビ地帯でミスしまくり怒り心頭の小泉さんを、冷徹な笑いを伴って長時間放置プレイしていました。また、未成年だった小泉さんが喫煙している事を喋ってしまい怒られていましたが、これも今となっては懐かしい思い出ですね。

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2011/03/20

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 29

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●B-WING
データイースト 1986年6月3日発売

原作は1984年に発表されたアーケード版となっています。AC版の記事は以下です。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2005/04/bwing.html

ファミコン版はかなりアレンジされたゲーム内容と云えます。ゲームシステムの根幹部分はそのままなのですが、全体的に細々と調整されており、ゲーム性が別物と思えるほど異なっています。
但し、これは改悪ではなくファミコン向けに良い方向へと傾いた変更と云えるでしょう。

AC版はゼビウスの亜流でありながらも、随分と趣の変わったシューティング物となっています。非常に良く出来た作品だったもののプレイヤーを選ぶ「クセ」のあるゲームでした。「B-WING」に似たゲームは「B-WING」しかないと云うほど独特な風味を漂わせていました。
ファミコン版はその「毒」を抜いた事で万人にもお勧め出来る良作となっています。個人的には歴代ファミコン・シューティングゲームのベスト3に入る作品だと位置付けています。
現在に遊んでも色褪せていないゲーム性は、是非とも多くの方に親しんでもらいたいものとしてお奨め致します。


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●スーパーマリオブラザーズ2
任天堂 1986年6月3日(FCD)

ディスクシステム専用で発売された「スーパーマリオブラザーズ」の上級者向け作品です。
本当に難しいゲームでジャンプアクション物が苦手な私は、中途で全面クリアするのを諦めてしまいました。

スーパーマリオのファンとしたら前作と同様なシステム上で、新たなステージを楽しめると云うだけでも嬉しかったのですが、如何せんあまりにも難し過ぎた……。それでも魅力的な作品だった事には相違なく、ディスクシステム専用ゲームとして最高の売上本数265万本を記録しています。

現在にプレイするならば、遣り尽くされた「1」よりも本作からの方が「スーパーマリオ」と云うゲームの本質が見出だし易いと云えるかも知れません。


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●スターソルジャー
ハドソン 1986年6月13日発売

ハドソンが発売したファミコン版「スターフォース」の実質的続編と云えます。正式ではないのですが、当時はそのような印象を以て宣伝販売されていました。
ゲームシステムも単一ショットで空中地上物を破壊出来ると云う点で一致していますが、ゲーム性はと云えばかなり相違しているものとなっています。

確かな技術力のもと手堅く作られたファミコン・シューティングゲームの名作と呼べるでしょう。
しかしシューティング物として考えると、地形の下に移動出来るシステムが邪魔をして、爽快感と納得度を相殺していると思います。これは技術力を衒うアイディアとしか受け取れませんね。
自機スピードが速すぎる事と自機ショット多方向攻撃、敵アルゴリズム、横画面モニターが相俟って、フィールドが狭く感じる部分もバランス的に微妙。

売上本数100万本を記録しているものの(ハドソン発表なので少し色が着いている?)、狭いユーザー層にしか受け入れられなかった作品となっています。但し確実な良作には違いなくシューティング好きならば現在にプレイしても楽しめます。

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2011/03/19

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 28

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●ドラゴンクエスト
エニックス 1986年5月27日発売

ファミコンを含め家庭用ゲーム機、初の非リアルタイムRPGとして時代を切り開いた意欲作です。既に国産PCで人気を博していた本格RPGを、一般ユーザーに向けて分かり易く敷衍した功績は量り知れません。

地形フィールドMAPを「ウルティマ(Apple II 1980~)」シリーズ。
コマンド選択式戦闘システムは「ウィザードリィ(Apple II 1981~)」シリーズ。

当世二大コンピュータRPGを上手く組み合わせる事に成功した堀井雄二さんの手腕は見事と云う他ありませんね。または当時よく指摘されていましたが、国産PC・RPG「夢幻の心臓(1984~)」シリーズを参考にしたとする方が正確かも知れません。

本作が成功した第一の要因は「鳥山明」さんの起用によるものとしても良いでしょう。
家庭用ゲーム機に於いて未知のジャンルであった非リアルタイムRPGに、氏の明快なキャラクターデザインが息吹を与えたものと見ます。私たちに馴染みのなかった西洋モンスター群も、氏が描く事でオリジナルの愛着を植え付けられたかのようでした。
箱絵でしか見る事の出来ない主人公キャラクターの詳細も、それだけで世界観を構築しており、プレイヤーが持つゲームの印象を補完してくれました。

そうした鳥山ワールドと堀井氏が書き下ろしたシナリオとキャラクターの台詞が、相性よく合致した結果「ドラゴンクエスト」世界が完成したと云えます。また既存のゲーム作曲家ではない「すぎやまこういち」さんの起用も慧眼としか云いようがありませんね。プログラムは天才と呼ばれていたチュンソフト代表の中村光一さん。
これほど幸福な結び付きって先ず有り得ないと云うほどの奇跡だと思います。コンピュータゲーム業界がまだまだミニマムで現在のように確立されていなかった証拠でもあるでしょう。

発売前の「ドラゴンクエスト」は雑誌等に或る程度の話題を提供していたものの、それほど期待されていたタイトルではなかったと思います。発売日にデパートのファミコン売場へ開店と同時にダッシュしたのは私一人のみでした。
続編である「Ⅱ」が発売される前の売上本数が50万本強。現在までの累計が150万本となっています。

ゲームの完成度はかなり高いところで結実しています。現在の目で見るとRPGとしては厳しいバランス設定に思えるかも知れませんが、海外国産PCの同ジャンル作品と比較すれば親切で分かり易い内容でした。また、難易度やバランス構成をアクションゲームとして考えて見ると、これが絶妙としか云えないほどの「匠」を提供してくれています。

非リアルタイムのゲームでありながら、グラフィックスとサウンドを絡めたゲーム性も抜群。シナリオは最低限でありながら冒険の機微を節々に感じさせる極上の出来映えでした。煩雑になり易い情報はウインドウを重ねて行く事で解決するシステムも見事と云う他ありません。

コンピュータゲームがアクション一辺倒だった為に楽しめなかった人たちが、「スーパーマリオブラザーズ」の次に遊びたいと思い楽しめたのが「ドラゴンクエスト」だったのではないでしょうか。
普段ゲームを遊んでいない人でもドラクエの続編が発売されると返り咲きますよね。ここにはオピニオンリーダーの責任とクリエイティブな仕事への制限が内包されています。この呪縛は「Ⅳ」以降現在にまで続き堀井雄二さんを悩ませ続ける原罪となるのです。

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2011/03/18

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 27

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●グラディウス
コナミ 1986年4月25日発売

原作は1985年に発表されたアーケード版となっています。
ビデオゲーム界ひとつの大発明であり不朽の名作であるAC版の登場から、丁度1年後に移植されたのがファミコン版と云う事になります。
AC版は初動から大ヒットした訳ではなく、その斬新すぎたゲーム内容と高難度により徐々に支持されて行った経緯を持ちます。AC版発表より1年後と云うこの時期は「グラディウス」人気がピークを迎えていた頃であり、かなりの期待を以て発売されたのがファミコン版と云う事になります。

初の移植たるファミコン版をユーザーはどのような態度で以て迎えたのでしょうか。大別すると以下の二通りであったと思います。

AC版を知らないが期待して待っていたファミコンユーザー……初めて体験するオプションの挙動と強力なレーザー、地形を這うミサイル、今迄のシューティングゲームでは見る事のなかったバリアシステムに感動。高いゲーム性と豊富なステージに夢中になる。

AC版を或る一定以上遊び込んでいたアーケードゲーマー……半数に減らされたオプションと細切れレーザーに愕然。小さい全身バリアに困惑。あまりにも平凡に纏まり過ぎたゲーム性に消沈。大きくないビッグコアに苦笑。省略された構成に諦念。地形ボーナス、ワープシステムにそっぽを向く。

――こんな感じではなかったかと思います。アーケードゲーマーからするとファミコン版「グラディウス」は別物としたかったと云うのが正直なところです。見た目は頑張って移植していると認めるものの、ことゲーム性に関しては全く違うものに仕上がっていたからです。
それでもファミコン版は別物とすれば間違いなく良く出来た作品であると云う部分では多くの人が一致していたと思います。コナミの高い技術力とぎりぎりの努力で開発されたのだろう事に疑いを持ちません。家庭で「グラディウス」が遊べるのですからこれ以上を望むのは酷と云うものでしょう。

コナミ側もかなりの期待と自信を以て世に送り出したものと見えて、需要されている以上のパッケージを供給してしまいました。結果ファミコン版「グラディウス」は一週間ののちワゴンセールの中¥980で投げ売りされる事となりました……。

アーケード版の記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2004/10/post_16.html


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●セクロス
日本物産 1986年5月15日発売

原作は1984年に「セクターゾーン」として発表されたアーケード版となっています。
また地味でマイナーな作品を移植したなあと云うのが第一印象。ゲームセンターで見た事はあるけど遊んだ記憶のないゲームでした。

詰まらなくはないけど面白くもないと云うゲーム内容で特筆すべき部分もありません。
現在ではインターネットスラングとして別の意味で使用されていますが、マイナーな本作に取っては、過去に忘却されていないだけ幸せであると云えるかも知れませんね。

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2011/03/17

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 26

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●影の伝説
タイトー 1986年4月18日発売

原作は1985年に発表されたアーケード版となっています。
AC版は忍者物であり適当に操作していても動きが大きいアクションゲームとして、比較的低年齢層のユーザーに人気を博していました。デモ画面で自機を操作出来る隠しサービスがあり、お金を入れずに遊べる事も大きかったと思います。

ゲーム性は比較的低い部類なのですが、手裏剣8方向撃ち分け、近距離の刀攻撃などテクニカルな要素も含まれています。ただジャンプ力が高すぎて軌道も一定なところから大味な印象を抱かせます。この部分を上手く解消したのがアイレムから後日発表される「最後の忍道(AC1988)」と云えますね。

ファミコン版はアイテム、隠しキャラを追加していますが、内容としては原作に忠実なものとなっています。ゲーム性も大差ありませんね。
真面目にやり込もうとするよりはガチャプレイで気分転換を図るに適した作品だと思います。


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●マイティボンジャック
テクモ 1986年4月24日発売

テクモ(旧テーカン)参入第一弾ソフト。原作は1984年発表のAC版「ボンジャック」なのですが、固定画面のアクション物から任意スクロール型アクションにグレードアップしています。

発売前から雑誌で特集が組まれるなど「スーパーマリオの次はこれだ」的な期待を以て迎えられたタイトルでした。が、蓋を開けてみれば足許にも及ばず「ゲームセンターCX」で取り上げられるまで歴史の闇に葬られていた感のある作品となっていました。

斬新で良好な操作性。変化に富んだステージ構成。美しいグラフィックス。また、良いものを作ろうとする意欲も感じられる作品ではあります。
しかし、ゲーム進行に関わる根幹部分を理不尽とも云える「隠し要素」に組み込んでしまったのは大きな失敗だったと云えるでしょう。

それ以上の過失は敵キャラクターの性質ですね。
原作からの性質をそのまま引き継いだ敵キャラクター達は、一定時間経つ事で別のキャラクターへと変身して行きます。これ自体が悪い事ではないのですが、大概が空中移動可能な性質を持っている為に、自機に安全地帯を作らせないと云う特徴を有してしまいました。

私はリアルタイムのアクションゲームに於いても、自機が敵に攻撃されない安全地帯が絶対必要だと思っています。それは指と頭を休める為の意味がありますし、次の行動へ移る為のクッション材、若しくは演出の「溜め」になると考えるからです。

安全地帯とは云っても永久パターンを誘発するような意味合いではなく、ただ敵が出現しない場所、敵が攻めて来られない場所であれば良いのです。
例えば「スーパーマリオ」で土管を挟んで存在していたノコノコが、急にゲッソーに変身して攻めて来るアルゴリズムを持っていたとしたらどうでしょう? 忙しなさすぎやしませんか。しかも、そのゲッソーは踏ん付けて倒す事が出来ず、触れただけで即ミスとなってしまうのです。
マイティボンジャックとは正しくそのようなゲームとなってしまっているのです。

ゲーム内容がステージに多く配置してある宝箱を空けながら進むプロセスを余儀なくしているのに、アイテム入手と云う楽しささえも感じさせない忙しさで敵が攻めて来ると云うのは厳しすぎると感じます。
この部分さえもう少し考慮されていたならば、スーパーマリオを凌ぐ事は無理だったにせよ、一太刀浴びせられる程度の好作品になったのではないかと残念に思えてしまいます。

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2011/03/16

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 25

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●謎の村雨城
任天堂 1986年4月14日発売(FCD)

ディスクシステムのオリジナル作品第二弾。第一弾「ゼルダの伝説」から一ヶ月も遅れての発売なのですが、これは開発が遅れた所為だったのでしょうか。凄く待たされた記憶が残っています。

ゲームシステムはゼルダと類似しています。フィールドは1画面の切り替えスクロール方式で、道中は入り口から出口へ向かう形式からほぼ一方通行に近く、城内は迷路タイプ。
謎らしい謎はなく純粋なアクションゲームと云っても良いでしょう。

敵を倒す部分のゲーム性はなかなか高いのですが、自機の移動と攻撃は4方向なので、自由に動き回る敵とのギャップに若干苛々させられる部分もあります。

当時の印象は理不尽な難度を持つアクション物だったのですが、現在に遊んで見るとそれほどでもないかなと思いました。それでも自機攻撃方向の狭さから苛々させられる事は多いですね。
ゼルダほどの完成度は持っていませんが、今からでも遊んでみたい衝動に駆られました。ディスクシステムならではの美しい音色のサウンドも素晴らしいですよ。


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●ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境
バンダイ 1986年4月17日発売

当初はクソゲー扱いされていたのですが、ゲーム性が高い事と繰り返し遊びたくなる不思議な魅力を持っています。

大して意味のない全体MAP移動、滑るような変な操作性、理不尽な当たり判定、避け難い敵の攻撃……様々な負があるものの、自機ノーマルショットの速射連射性能、前方に対する無類の強さが全ての負を消しているようにも感じます。敵を倒す部分のゲーム性がずば抜けて高いのです。それだからこそ次のプレイを促されてしまう感があります。加えて変な操作性もゲーム性を高める事に連関しているかも知れません。
制作側が狙って作ったゲーム性ではないのでしょうが、研究に値する何かを持っている作品となっています。

原作アニメが放映中だった事もあり、売上本数125万本の大ヒットを記録しています。


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●アーガス
ジャレコ 1986年4月17日発売

原作は同年にジャレコ(制作NMK)から発表されたアーケード版となっています。
これはお座成り移植作品のひとつです。「エグゼドエグゼス」と同様な販売元と制作側の意識の低さを感じさせられます。

原作であるAC版は粗や無駄があるものの何か新しい作品を作りたいとする気概が見えましたが、ファミコン版にはそのような若い力が全く見られないばかりか、幼いユーザーに迎合を打つかのような「ロボットに変身」フィーチャーまで盛り込まれています。最大の売りであるセンス良い美しいグラフィックスも霧散。

ジャレコと云うメーカーがユーザーに支持されなかった理由が良く分かる移植作品と云えるでしょう。

アーケード版の記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2004/12/post_22.html


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●アトランチスの謎
サン電子 1987年4月17日発売

「スーパーマリオブラザーズ」フォロワーとして開発された作品だと思うのですが、救いようのないクソゲーとなっています。
旧態依然とした陳腐なゲームシステム。どこを楽しめば良いのか分からない低いゲーム性。ジャンプ制御も出来ない操作性の悪さ。履き違えた謎要素。ステージ数やアイテム数だけを誇ろうとする馬鹿さ加減……全く以て美点を見出だせません。制作側の低能をしか想起させない貧弱な作品。これ以上語るのも馬鹿馬鹿しくなる程です。

友人の妹が親にねだって買ってもらった初めてのソフトで、遊べども遊べども1面すらクリア出来なかったと云う記憶があります。それでも彼女は面白くなるはずだと一生懸命プレイしていました……悲しくなる思い出です。


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●ディグダグⅡ
ナムコ 1986年4月19日発売

原作は1985年に発表されたアーケード版となっています。
80年代初頭のゲームセンターを彩った名作の続編なのですが、AC版も一部マニアがハイスコア狙いでプレイしていたのみでヒットするまでには至りませんでした。しかも全面クリアする前にカウンターストップしてしまうと云う詰めの甘さまで露呈。スコアラーが離れたあとは誰もプレイしていませんでした。

ファミコンへの移植版は原作を邪魔しないちょっとした付加サービスを施してあり評価は出来るものの、やや操作性の悪さを感じさせるものでした。グラフィックスも若干品のない印象に仕上がっています。

もともとのゲームシステムが複雑な仕掛けを作って敵を誘導しまとめて倒す……と云う難しい手順を踏まなければ面白くならないゲームであるので、多くの人に支持される事はないだろう作品でした。個人的には大好きな続編で、他では味わえないゲーム性を所持しているのですが、他人様にはお勧めし難いタイプのゲームかなとも感じます。

但しコンティニューで面数セレクト出来るのは親切で良いところですね。アクションパズル物と捉えるならば遊ぶ価値は大いにあると思います。

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2011/03/15

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 24

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●ジャイロダイン
タイトー 1986年3月13日

原作は1984年に発表されたアーケード版となっています。
ゼビウスの亜流作品としては細々と手の入ったゲームシステムを持った作品と云えます。悪い出来ではないのですが、消化不良、若しくは練り込み不足を感じさせるものとなっています。

縦画面のゲームを横画面モニターへと移植する際には、それ相応のバランス調整を行わなくてはいけないのですが、ファミコン版はAC版の画面を半分にぶった切っただけと云う印象のものとなっています。
その為に敵が唐突に出現するようにも見えますし、自機ショット左右への振りが小さく感じられます。ショットの連射性能が高いシステムが取られているので、ゲーム性と云う点では良く出来ているものの、ゲームとしての完成度は著しく低く感じられます。

併せて「ゼビウスの系譜」もご覧下さい。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2006/02/strongstrong_880a.html


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●ハイドライド・スペシャル
東芝EMI 1986年3月18日発売

原作は1984年にT&Eソフトから発売された国産PC版で、PC-8001シリーズから始まりほぼ全ての国産PC及びMSXに移植されています。
日本国内では本作の登場特大ヒットによりRPG元年を迎えたとしても良いでしょう。リアルタイムアクションゲームとRPGがこれほど相性の良いものだとは……と業界に知らしめた記念碑的作品としても重要な存在ですね。

ファミコン版は原作から2年後と云う期間を隔てて発売されています。この間「アクションRPG(アクティブRPG)」は他社からも様々な作品が発表された事で、不動の人気ジャンルとして定着していました。
ファミコンへの移植に際しては登場したばかりの続編「ハイドライドⅡ(PC1985.12.13)」から「魔法システム」の要素が追加されました。が、機を逸した移植であるのは明らかでした。
既に「ゼルダの伝説」を遊んでいたファミコンユーザーが、地味な経験値稼ぎをゲームの拠り所とする「ハイドライド」を楽しめる訳がなかったのです。
同じくトップビュー視点のゲームとしても「ハイドライド・スペシャル」はあまりにも不出来過ぎました。シャープX1版のように美しいグラフィック、スクロール画面が用意されていたのだったら未だしも、MSX版をケバケバしく下品にしたかのようなグラフィックスには興醒めさせられました。

しかしゲームとしての完成度、面白さは折紙付きであるので、ちまちました経験値稼ぎを楽しいと思える方でしたら遊ぶ価値はあったと思います。事実PC版をクリアしていた私も改めてファミコン版を楽しめました。ただ現在に楽しめる作品ではなくなっているのは確かなところです。


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●マグマックス
日本物産 1986年3月19日発売

ニチブツ参入第一弾ソフト。原作は1985年に発表されたアーケード版となっています。
グラフィックスがやや小汚くなっていますが、ゲーム内容とゲーム性が忠実に再現された移植作品と云えます。

サイドビューを疑似3D表示する表現以外には特筆すべき内容を特に持たない作品ではあるものの、ゲームとしては手堅く纏められておりなかなか楽しめます。
とは云っても、これは美しいグラフィックスを持つAC版に限った話で、ファミコン版は唯一の美点を奪われた作品として平凡以上の何物も提供してくれません。


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●バルトロン
東映動画 1986年3月19日発売

東映動画参入第一弾ソフトは既存のキャラクター物ではなくオリジナル作品でした。
オリジナルとは云い条、ゲーム内容は米ウイリアムズ社から1980年に発表された不朽の名作「ディフェンダー」と酷似しています。

アーケード版「ディフェンダー」の記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2005/02/post_1.html

正直云ってしまうと原作の劣化コピーですね。まともな技術力で真面目に作っているのは分かるのですが、「ディフェンダー」の良い部分が出涸らしの如く薄くしか感じられません。原作を知らない世代にはクリア条件も曖昧で分かり難かったのではないかと思います。
複雑な操作系統を上手く十字キーに割り当ててあるし、悪い作品ではないのだけれども……制作者の勉強不足が露呈しているなと云う印象です。


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●タッグチームプロレスリング
ナムコ 1986年4月2日発売

原作は1983年にデータイースト(開発テクノスジャパン)から発表されたアーケード版となっています。
AC版はビデオゲーム初のプロレスを題材とした作品として人気を博しました。
システマチックで洗練された操作系統は以後の同ジャンル作品の雛形となり、現在まで脈々と受け継がれて来ました。

相手と組んでからボタンを押した回数で技が変化すると云うシステムで、連打する事で大技が決まるのが熱くなれるところです。
ファミコン版は原作とは画面構成が違い、技名も表示されないのですが、ゲームの面白さは忠実に移植されています。

しかし、何故この時代にナムコからこのゲームが……と云う怪訝を提供されました。ナムコ伝説が傾きかけているのを意識し始めた作品としても心に残っています。

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2011/03/11

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 23

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●グーニーズ
コナミ 1986年2月21日発売

同社アクションゲーム傑作のひとつ。美しいグラフィックスと良好な操作性。まろやかなゲーム性と適度な難易度。素晴らしいサウンドと原作映画ヒットの相乗効果。
旧態依然としたゲームシステムが残っているものの、これぞ家庭用ゲームと云える面白さに充ち満ちていました。
しかし、不思議な事にあまり語るべき部分を持たない作品でもあります。優等生ならではの毒や穴がないところがそうさせているのかも知れません。


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●忍者ハットリくん
ハドソン 1986年3月5日発売

ハドソン最大のヒット作品で、マンガやアニメを題材とするキャラクター物としても頭ひとつ抜き出た売上本数150万本を記録。いつものようにコロコロコミックとの連動記事も凄かったと記憶しています。

旧態依然としたゲーム文法が残っているものの、パワーアップなどのシステム面で工夫が窺える良く出来た作品です。
ただ売上本数とゲームの面白さが正比例しているかと問われれば正直微妙なところ。その理由を簡単に説明するならば一言「ゲーム性が薄い」からに他なりません。

「ゲーム性」とはなんでしょう? 語る人により定義は変わって来ると思うのですが、私の考えではゲーム内で返って来る「リアクション」だと受け取っています。

例えばビデオゲームの命題とも云える敵を倒した際のゲーム性に特化して考えて見ます。
攻撃ボタンを押し、敵を倒すと、それ用のグラフィックスとサウンドがリアクションとして返って来ます。ここに生じるのがプレイヤーが感じるゲーム性とします。

この際のゲーム性とは7割方サウンドに依存していると云えるでしょう。敵が死ぬ際のグラフィックスは意外と重要ではなく、サウンドとの相乗効果でのみその存在が上下するものと考えます。グラフィックス2割、残りの1割は具象性を顕わとしない「当たり判定」あたりに割り振られていると云うのが私の持論です。

この理論を分かり易くする実験としては、先ず音を消してゲームで遊んで見ると良いでしょう。どんなゲームでも悉く詰まらなく感じてしまうはずです。

次は映像を見ないで音だけでプレイして見ます。攻撃ボタンを押して見ましょう。
敵を倒した効果音が流れます。そうしますと映像がなくても「ゲーム性」を感じる事が出来るのです。
要は楽器を演奏しているのと似た感覚だとすれば分かり易いでしょうか。
映像は平面処理されているに過ぎませんが、音は縦の連なりで表現されている事に起因しているとも云えます。脳に直接的な感覚を提供するのがサウンド効果となります。

ゲームと云うところで考えると、平面処理されたグラフィックスの或る部分(敵が死んだ場所など)に縦に連なったサウンドが重なる……これがビデオゲームが入手したここだけの「ゲーム性」と云えやしないかと考える訳です。

映像を軽視した発言に取られたかも知れませんが、まったく逆で映像×音が即ち「ゲーム性」の大なるところだと思っています。

映画の世界では「対位法(コントラプンクト。元来は音楽用語)」と呼ばれる技法があります。
これは或る映像に一見似付かわしくない或る音楽を重ねる事で、別の表現を表したり、または狙った表現を大きく膨らますと云う効果があるものです。技法としては未成熟で確立された法則は今のところ発見されていません。単なるBGMとは一線を画すもので色々と制約があるのですが、ここでの説明は割愛します。

実はこの「対位法」ビデオゲームの世界では黎明期の頃から知ってか知らずか使用されている技法なのです。逆に云えば黎明期の頃だからこそ使われていた事になります。
ハード性能が低かった事から、現実世界では考えられない効果音がビデオゲームには付けられて来ました。
例えばスーパーマリオ。カメを踏ん付けた時の「コケッ」と云う効果音。ファイヤーボールを撃った際の「プリップリッ」、コインを取った際の「コイン、コイ~ン」など。これってリアルな効果音と云う意味ではかなり変ですよね。有り得ない音なのです。
それでもゲーム世界の中では不自然に感じられませんし、それどころかこの効果音だからこそ面白く感じられるように出来ています。これこそがビデオゲームの「対位法」と云えるのではないでしょうか。

またゲーム世界ならではの悪い効果音も存在します。金属音がそれです。
耐久力のある敵などにダメージを与えた際金属音を使うと、破壊出来ない対象に思えてしまいます。
これは現実世界での鉄→固い→壊れない……と云う固定観念が私たちに植え付けられている為です。これは「対位法」になっていない代表例であると云えます。

ゲーム性の話は機会があれば追々書いて行く予定なのですが、長くなったので「忍者ハットリくん」に話を戻して続けます。

本作では敵を倒すと云う部分に於いて「映像×音」のゲーム性がかなり低いと云わざるを得ません。それでもこれだけの大ヒット作品となり、実際プレイしていて楽しめるものとなっているのです。
これはゲーム性の大本命である「敵を倒す」と云う以外に別のゲーム性が隠されているからに他ならないと考えるのが順当ですね。

ビデオゲームの歴史もはや40年を過ぎ成熟して来たかのように思えるものの、肝心要のゲームの面白さ「ゲーム性」についての研究が行われていないのはどう云う事なのでしょうか。ゲームシステムについての研究や著名作家による講演などは耳目を掠める事もあります。それは数学的な研究に値するもので当然必要なものだと思います。しかし、不定形な感覚を喜ばす文学的な研究も同時に為されなければいけないのです。
これを説明出来る作家、研究する人がいない現状を見るにつけ、ビデオゲームはまだまだ本当の芸術文化とは云えないなと考えてしまう次第です。

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2011/03/10

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 22

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●ゼルダの伝説
任天堂 1986年2月21日発売(FCD)

ファミリーコンピュータ ディスクシステム第一弾ソフト。
全世界で651万本。日本国内だけでも169万本の販売本数を誇る不朽の名作です。

ディスクシステムが起動して本作のオープニング曲が流れた時の感動は今でも忘れられません。あれから25年も経っているのに思い出すだけで心が震えて来るようです。
そうして名前を入力するだけのシンプルなキャラクターメイキングすらも新鮮でした。

老人にソードを貰った瞬間の感動。
ソードからビームが出る効果音の重厚感
雑魚であるオクタロックに弾かれたダメージ表現。
敵を倒した際の蒸発するような効果音の充実感。
画面切り替えスクロールする際の期待感。
ゾーラが遠距離から放つビームへの焦燥感。
初めてのダンジョンに降りて行く時の緊張感。
無機質なダンジョンで覚える孤立感。
バクダンで壁に穴が開いた時の驚き。
ボスを倒したご褒美にもらえるハートの器。
トライフォースを手にした時の安堵感。

ゲーム序盤で味わえる感動だけでも挙げて行ったら切りがないほどですね。とにかく全てが新鮮で何もかもが面白かった。
RPGの形態を借りながら経験値を廃したゲームシステムも潔く、これが為にアクションゲームとしての高い完成度を有していました。慣れると三時間ほどでエンディングに辿り着けるので毎日一回はクリアしなければ気持ちが収まらなかったほどです。
現在にプレイするとかなりシンプルなゲームに思えます。次世代機以降のシリーズのようにミニゲームなどの寄り道も一切ありません。しかし、だからこそゲームとして直接的な面白さを提供してくれます。それこそ一つの目的に向かって犀の角が如く進むのみです。
ハードの性能で表現出来ない事も多くあった時代。でもそれはゲームとして考えれば負ではなかったんですよね。無駄を許容しない為の制限だとしたら、一つの作品にはそこでしか味わえないゲーム性が宿るはずなのですから。

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2011/03/09

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 21

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●エグゼドエグゼス
徳間書店 1985年12月21日発売

徳間書店参入第一弾ソフト。原作は同年にカプコン社が発表したアーケード版となっています。

これも大いに期待を裏切られた移植作です。AC版はゲームとして欠点はあるものの、当時の最先端を行くグラフィックスでマニアの間では人気となっていました。私も大好きな作品で入荷したゲームセンターまで遠路自転車で30分かけて遊びに行っていた程です。

発売元が当時の花形誌「ファミリーコンピュータMagazine」の徳間書店だったので、雑誌を挙げての広告連動記事に期待感を煽られたものの、いざ発売されて見ればトホホな酷い移植にがっかりさせられました。
同じく移植失敗作と見做されるカプコン社「1942」には、まだ出来る限り忠実に移植したいと云う気持ちが見えましたが、本作にはそれさえも皆無。お座成り感ありありの最低移植と読んでも差し支えない程でした。

これは有名な話ですが、キャラクターオーバーで画面がちらつく不備を、説明書には「敵のフラッシュ攻撃」と書いてあります。このような詭弁で子供を騙そうとするのも言語道断ですね。

しかしこれ以降「ファミコンは儲かる」と云う認識のみで新規参入した心ないメーカーが、救いようもないクソゲーを垂れ流して行く事になります。

アーケード版の記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2004/12/post_2.html
併せて「ゼビウスの系譜」もご覧下さい。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2006/02/post_e05f.html


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●ロットロット
徳間書店 1985年12月21日発売

「エグゼドエグゼス」と同時発売なので本作も徳間書店参入第一弾ソフトと云えます。
原作はテクノポリス誌への投稿プログラムで、それを元にアイレムがAC版へとリメイクしたものの移植となっています。

風変わりなアクションパズル物なのですが、アイディア性に優れている上ゲームとしても良く出来ています。
ゲーム内容は以下の通りで、赤いマーカーを動かすと3秒遅れで青いマーカーが釣られて移動します。ボタンを押す事で互いのマーカーが置いてある位置のボックスを交換。ボールを最下段に落とすと点数が入ります。左最下段のボックスにボールがあると下からカニが出て来て、糸を切られるとミスと云うルール。

簡単に云うとパニック系のアクションパズルですね。同タイプの物としては日本物産「フリスキートム(AC1981)」コナミ「ガッタンゴットン(AC1982)」BPS「パイプドリーム(SFC1992)」などがあります。

AC版の美しいグラフィックスに較べると小汚い感じになっていますが、現在に遊んでも十分楽しめる作品に仕上がっていますよ。お奨めです。


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●ぺんぎんくんWARS
アスキー 1985年12月25日発売

原作はUPL社が同年に発表したアーケード版となっています。
可愛らしいキャラクターと乗りの良いBGM(当時のアイドル歌手、石川秀美の「もっと接近しましょ」)で楽しそうなゲームなのですが、実際に遊んで見るといまいちな作品と云えるでしょう。

それぞれの敵キャラクターには個性付けがされており、その対処法が分かると面白くなるタイプのゲームではあります。しかし、そこに気付けないまま放擲してしまったユーザーが多かったはずです。
作者の藤沢勉さんも「ユーザーに面白さが伝わらなかった」と愚痴をこぼしていましたが、それを伝えるだけの努力と施策が足りないだけではないかとも思います。また一対一で闘う内容にした時点でゲームシステムが決まってしまったのでしょうから、これは題材が悪かったと云っても良いのかも知れません。個人的には好きな作品なのですが。


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●ツインビー
コナミ 1986年1月4日発売

原作は1985年に発表されたアーケード版となっています。
ファミコンのシューティングゲーム十指に数えても差し支えない作品だと考えます。

AC版は話題にこそなりましたが実質それほどの人気作とはなり得ませんでした。本作のポップな世界観とゲーム内容はファミコンに移植された事で評価を得たのだと考えます。それまでシューティングゲームに興味のなかった、または難しくて手が出せなかった女の子でも遊んで見たいと思わせるに十分なキャッチーさを持っていたと云えるでしょう。

AC版の「ツインビー」は未完成の佇まいを残した作品で、ゲームバランス的にかなり歪な印象を抱かせます。練り込み不足の不安定感とでも云いましょうか。個人的にはそこが一番の魅力だとも思っています。

それに対してファミコン版「ツインビー」はシューティングゲームとしての体裁が上手く纏められています。悪く云えば平凡に近付いてしまった感があるとも云えるでしょう。
ただ、これが為にミリオン級のヒット作になったのは疑いを持たないところだと思います。

アーケード版の記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2004/12/post_9.html
併せて「ゼビウスの系譜」もご覧下さい。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2006/02/strongstrong_bd44.html


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●ソンソン
カプコン 1986年2月8日発売

原作は1984年に発表されたアーケード版となっています。
キャラクターのみで云えば「ツインビー」にも劣らない可愛らしさを持っており、同様に女の子受けしても良さそうな作品にも見えるのですが……。そうならなかったのは、移動制限のあるフィールドで敵が四方八方から攻めて来る難度の高さが原因でしょうね。
ゲームとしては画面全体を把握して、次に倒すべき敵を効率よく片付けて行く……と云う流れで進んで行きます。こういうのって女の子が最も苦手とする作業だと思うのですが如何でしょう。

本作は「ツインビー」と違って元から女性に向けたゲームではないので、この話自体がナンセンスではあります。ただキャッチーなキャラクターが勿体ないなと思っただけで書いてしまいました。

原作を忠実に移植しようとしているファミコン版ではありますが、AC版よりも難度が高く感じるのは頂けない部分ですね。これは自機ショットの出が悪い事に起因しています。「1942」同様グラフィックスの再現に力を入れ過ぎた為にゲーム内の処理が追い着いていないのです。連射していれば倒せるはずの敵が倒せていないと云う状況によく陥ります。これは理不尽以外の何物でもありませんね。ファミコン向けの作品だと思うだけに残念でなりません。

アーケード版の記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2004/11/post_4.html

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2011/03/08

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 20

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●テグザー
スクウェア 1985年12月19日発売

原作は同年に発売されたゲームアーツ社の国産PC版で、当初はNECの新機種であるPC-8801SR専用と謳われていました。以後殆どの国産PC、MSX、海外のPC用ソフトとしても販売(バンドル版も)されています。

スクウェアのファミコン参入第一弾ソフトとなっています。これも期待を裏切られた移植の最右翼です。
原作の売りは大きいキャラクターのアニメーションと七色に輝くレーザービームだったのですが、ファミコン版ではいずれも再現されていませんでした。これはファミコンの性能では表現出来ない部分だったので仕方がないと諦めも付きましたが、全16面が全4面へと減らされていたり、画面上に出現する敵キャラが少ない割に難度が高かったりと残念なところばかりが目立ちました。

それでもスプライトで動くキャラクターは小さいものの滑らかでしたし、十字キーでの操作はキーボードで行うPC版よりも快適でした。ゲームの方も慣れたら慣れたで十分に楽しめるものだと思いました。

PC版の記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2005/03/post_4.html

上の記事で秒間60フレームのテグザーを遊んで見たいと書いたのですが、先年PSPにて本作のリメイク版がダウンロード販売されました。
グラフィックスやサウンドを刷新した現代版とも云える内容となっており、ゲーム内容や地形MAPなども原作準拠として制作されています。……が、色々と現代風にし過ぎた嫌いがあり、古いゲーム内容とのバランスが破綻しているように感じられました。特に効果音サウンド関係が邪魔となっていて、本作独特のゲーム性を相殺してしまっています。

新規タイトルとして「テグザー」を欲している人は少ないでしょう。とするならば原作のファンしか触手が動かないはずです。アレンジ版はそれで良いと思うのですが、どうせなら完全なオリジナル版も収録して置いて欲しかったところです。
この手のリメイク版が発売される度に思うのですが、メーカーは誰の為に過去の遺産を引っ張り出して来たのかを、もう少し考えなければならないのではないでしょうか。
中途半端なアレンジ仕様で新規客を開拓出来るはずもないのですから、少ないパイを満足させる事でメーカーの評価を上げる事に腐心すべきではと考えます。
だってこの手の単発リメイク物で業績が上昇するとは考えられないでしょう?

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2011/03/07

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 19

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●ボコスカウォーズ
アスキー 1985年12月14日発売

原作は国産PCのシャープX1版で以後MSXを含め国内のPCに多く移植されています。

PC版に較べるとプレイフィールドが狭く、画面内に表示されているキャラクター数も減っているのですが、本作ならではのゲーム性は再現されていると思います。

遊んだ事のない方にはゲーム内容が分かり難いタイプの作品でしょうね。要は味方を引き連れて600メートル(600キャラ分)先にいる敵ボスを倒しに行くと云うものです。
道中にいる敵は相性の良い味方で倒して行く訳ですが、その相性も絶対的と云えるほどのものでもなく、半ば運で勝敗が決まるきらいがあります。ボスと自機の一騎打ちにしても50%の確立で雌雄を決すると云う潔いシステムとなっています。

半分は「運ゲー」なのですが、ゲームとしてはシステマチックでかなり面白く出来ており、ついつい遊んでしまう麻薬的な要素を秘めています。
もう少しシステムに整合性を持たせ、運要素を低くすれば現在でも楽しめる作品に変化しそうですね。それとファミコン版は操作性が悪く苛々する事も多いかな。


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●頭脳戦艦ガル
デービーソフト 1985年12月14日発売

タイトルだけが一人歩きして有名になっているゲームのひとつですね。内容は何の変哲もない強制縦スクロール・シューティング物なのですが、当時は「ロールプレイングゲーム(RPG)」として宣伝販売されていました。

この頃まだ日本では舶来品である「RPG」が本来どのようなものであるのか定義されていなかったのです。
安直に云えば「アイテムを入手したり敵を倒してパワーアップ」するゲームがRPGであるとされていた節があります。その意味で云えば本作は正しく「RPG」であると云えるでしょう。敵を倒せば倒すほど自機のショットはパワーアップして行きますし、全面クリアする為には100個の規定アイテムを集めなくてはなりません。道中には分岐点も設けられていて一筋縄ではいきません。これはもうRPG以外の何物でもありませんね。

シューティングゲームとしての体裁は整っているものの、「RPG」を履き違えた販売戦略、単調な作業を余儀なくさせるゲーム内容から「クソゲー」扱いされる事も多い本作なのですが、開発元が目指していた作品が元来このような物だったのだと思います。あとは我々ユーザーがどう受け取るかの問題なんですよね。
個人的な感想を一言で表せば「詰まらないゲーム」で終わってしまうのですが。


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●オバケのQ太郎 ワンワンパニック
バンダイ 1985年12月16日発売

前時代的な横スクロール・ジャンプアクション物となっています。やや新しいのはジャンプボタンを押し続ける事で空中移動(エネルギー制)出来る点くらいですね。
オバQのキャラクターゲームを買う年齢層を考えると難度が高すぎると感じます。バンダイの作品にありがちな理不尽な難度設定であるとも云えます。

もともとがアクションゲームに向かない題材だと思います。敵である犬が「ワン」と云う飛び道具を使って来るところからして無理がありますね。それに対してオバQは「ガウ」と云う飛び道具で対抗します。う~む、泣けて来ます。

古典的とも云えずゲーム性も低いこの手のキャラクター人気頼みの作品は、いち早く歴史の闇に消え行く運命にあるでしょう。


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●バイナリィランド
ハドソン 1985年12月19日発売

原作は1983年に発売された国産PC版で以後MSX、ファミコンと移植されています。

これはアイディア性に富んだ素晴らしい作品ですね。左右対称に移動する二つのキャラクターを操作して同時にゴール地点まで辿り着かなくてはなりません。頭がこんがらがりそうになるアクションパズル物となっています。

ポップなグラフィックスと愛らしいキャラクターで取っ付きは良いものの、なかなか難しいゲーム内容と云えます。ゲーム性自体は淡白なので、パズル部分に面白さを見出だせないと飽きが早いかも知れません。個人的には大好きな作品です。


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●ボンバーマン
ハドソン 1985年12月19日発売

原作は1983年に発売された国産PC版で以後MSX、ファミコンと移植されています。
「バイナリィランド」と同様な経緯でファミコン版へとリメイクされた作品なのですが、こちらの方がかなりアレンジの度合いが激しく仕上がっています。特にグラフィックスの構成色が変わっただけで全く別のゲームになってしまった感がありますね(PC版は黒背景に赤煉瓦)。

ファミコンゲーム屈指の名作と呼べるでしょうね。初プレイ時はなんて地味なゲームなんだと思いましたが、徐々にパワーアップして行く過程が非常に素晴らしいバランスとなっています。その上での爽快感は類を見ないほどです。初期段階の非力さがあるからこそのギャップとも云えるでしょう。
ちくちくとパワーアップして行く工程と最強状態の没入感……これこそが「ガル」的なRPGと云えなくもありませんね。

ファミコン版は売上本数80万本のヒット作品となり、以後現在に至るまで様々なシリーズ作品を生み出しましたが、本作に勝る爽快感を作り出せずにいます。シンプルな内容と無駄のないグラフィックスだからこそ入手し得るものがあると云う事を学ぶべきでしょう。

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2011/03/06

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 18

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●1942
カプコン 1985年12月11日発売

カプコン参入第一弾ソフト。原作は1984年に発表されたアーケード版となっています。

これは期待していたものの残念な移植でした。とにかく動作が遅いのです。カプコンの初期ファミコンソフトは全てそうなのですが、ゲーム性よりもグラフィックスの再現に命をかけていたように見えます。描き込まなくても良いところまでドット単位で描き込み、結果ゲームの動作が重くなっている……みたいな印象がありました。それに加えてキャラクターオーバーによる画面のちらつきが尋常じゃないと云うのも特徴でしたね。

当時アーケードビデオゲーム業界に新参メーカーとして登場したカプコンは、それこそ破竹の勢いでヒット作を連発して行きました。
「1942('84)」「エグゼドエグゼス('85)」「戦場の狼('85)」「魔界村('85)」「ガンスモーク('85)」といずれもがゲーム業界に新風を吹き込むような作風を持ち、マニアたちはナムコ信者からの鞍替えを行いつつあったのです。

私はと云えば無宗教ではありましたが、どちらかと問われればナムコ信者寄りにいたのは確かです。カプコンの連発する作品に現代の息吹を見てはいたものの、有り物のゲームシステムを借りてグラフィックスを今風に刷新すると云うやり方に関西人のえげつなさを感じていました。アイテムを大盤振る舞いしてゲーム性を安直に稼ぐ手法にも怪訝を呈していたと云えるでしょう。それでも高難度で緊張感があり、アイテムを入手する事でパワーアップするカプコン作品を楽しんでプレイしていました。

カプコン最初の大ヒット作品がAC版「1942」なのですが、当時のマニアたちは「絵が綺麗なだけの二番煎じ」と評したものです。縦スクロール・シューティング物の雛形が「ゼビウス('83)」であり唯一の正解だった事に起因する発言でした。それでもマニア的批評を無視するかのように「1942」は三年近くもの間ロングヒットを記録します。

しかしカプコン側にも「グラフィックス」のみと云う負い目があったとするのは乱暴でしょうか。だからこそ自らの矜持を保つ為にファミコンの性能を度外視してまで、テンポの良いゲーム性を無視してまでAC版のグラフィックス再現に拘った……と私は演繹します。
今だからこそカプコンが示すこの姿勢にプロフェッショナルを感じて止みません。移植物としては失敗作であった「1942」ですが、若き日のカプコンが現在に見せつける……そして忘れて久しいであろうポリシーなのですから。

アーケード版の記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2004/10/1942.html
併せて「ゼビウスの系譜」もご覧下さい。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2006/02/strongstrong_13b2.html

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2011/03/05

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 17

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●カラテカ
ソフトプロ 1985年12月5日発売

米ブローダーバンド社が1984年に発売したApple II版が原作となってます。
本作も日本国内では「クソゲー」の大本命として語り継がれて来ました。しかし、これは移植版が異様にチープだっただけで、本家Apple II版はとても素晴らしい作品に仕上がっています。

Apple IIの記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2006/01/strongstrong_d9b4.html


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●ルナーボール
ポニーキャニオン 1985年12月5日発売

原作は同年に発売された国産PC、PC-8801版で以後ファミコンとMSXに移植されています。制作は後日「ぷよぷよ」「ザナック」を開発する事になる「コンパイル」社です。

ゲーム内容は、様々な形の台がある創作ビリヤードとでも云うべきものとなっています。
どちらかと云えばマイナー作品に分類されてしまうだろう本作ですが、これが非常に良く出来ています。ボールの挙動はなかなかリアルですし、操作性も及第点以上、お洒落な佇まいを有している事もポイントが高いですね。なによりゲームとして面白い作品に仕上がっています。
根を詰めて遊ぶタイプではないでしょうが、激しいアクションゲームの合間にプレイするのに適したテーブルゲームと云った感じです。現在に遊んでも古臭さを認められない稀少な作品とも云えるでしょうね。


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●スターラスター
ナムコ 1985年12月6日発売

ナムコット初の完全オリジナル作品にして最高の完成度を誇るストラテジー・シューティング物です。ひいてはファミコン史上に残る不朽の名作だと個人的に思っています。

平面MAPによる知的戦略パートと3Dシューティング部分が見事に融合して楽しませてくれます。これにランダム要素が加わっている事で全く飽和感を覚えないように仕上がっているのです。難易度も絶妙で遊び込む事で俄然楽しくなるタイプの作品だとも云えますね。

26年後の現在に見ても埃をかぶっていないゲーム内容。いまから遊び始めても遅くないと思える稀有な作品です。

以前書いた記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2004/11/post_5.html


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●スペランカー
アイレム 1985年12月7日発売

原作はATARI400-800で1983年に発売されていますが、有名なのは翌'84年にブローダーバンド社から発売されたコモドール64版と云う事になるでしょう。

本作も当時からクソゲーの最右翼として扱われていましたが、どうも最近ではクソゲーたりえた部分が味わいかのように受け取られている感がありますね。私もこの風潮には首肯する立場におり大好きな作品となっています。

当時クソゲーとされたのは、そのミス判定のシビアさによるものでした。特にジャンプなどの落下ミスの部分ですね。自機の身長と同程度の高さから落ちただけでミスとなるのは理不尽な感を受けました。
しかし、ゲーム全体のMAP構成や個々トラップの配置などを考えるに極端なシビアさではないように思えます。原作は身長の三倍距離を落下する事でミスとなるのですが、ファミコン版はファミコン版で独特な良バランスの上で成り立っているように感じます。

当時クソゲーとされたのは「スーパーマリオブラザーズ」ブームの渦中にあったからだと考えます。全てのジャンプアクション物はスーパーマリオを基準として考えられてしまった為、ジャンプ→落下死亡が嘘のように多発する「スペランカー」はゲームとして信じ難いものと写ってしまったのではないでしょうか。
根本ゲームシステムと狙うゲーム性が異なるのであれば、ジャンプの性能やミス判定も違って当然であるはずです。しかしスーパーマリオの影響下に全ファミコンゲームがあった時代、その当然が異質として受け入れられなかったと見ます。

現在に本作が再評価されているのは、スーパーマリオの呪縛から私たちがやっと解き放たれつつある証拠と云えるのかも知れません。

アーケード版の記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2004/10/post_17.html


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●超時空要塞マクロス
バンダイ 1985年12月10日発売

販売はバンダイなのですが制作がナムコと云う変わったタイトルです。当時バンダイ内では開発体制が整っておらず、外注と云う形でナムコが制作を請け負った……みたいな感じだと思います。

ナムコが作っているので安心して楽しめる小品となっています。特にマクロスである必要も認められませんが、それなりの雰囲気を味わえる強制横スクロール・シューティング物ですね。操作性は良好で難易度は比較的低めに設定されておりストレスなく遊べるものの、これと云って特徴のない作品と取る事も出来ます。当時のナムコでしたら手を抜いたとしてもこの程度の作品ならば量産出来たでしょうね。

追記2011.4.2……版権問題でゴタゴタがあったそうで、ナムコからのリリースが許可されずバンダイからの発売となったとの事です。

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2011/03/03

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 16

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●ポートピア連続殺人事件
エニックス 1985年11月29日発売

原作は1983年に発売された国産PC版で、NECのPC-8801を始め、シャープX1、富士通FM-7、MSXと主要なところ全てに移植されています。
「ドラゴンクエスト」シリーズ作者、堀井雄二さんの初メジャー作品と云って良いでしょう。

ファミコン初の本格アドベンチャーゲーム(AVG)であり、最初で最後のヒット作品となっています。

国産PCゲーム市場では確固たる1ジャンルとして成立していたAVGでしたが、その寿命は案外短くて'82から始まり'85年あたりでほぼ寿命が尽きていたと云えます。とどめを刺したのは新ジャンルであるロールプレイングゲーム(RPG)の台頭なのですが、AVGの根本システムである言葉探しにゲームとしての限界があったのだと思います。

もともとが米国発祥のAVGでありますから、コマンドも英単語で探し入力するものでした。当初の移植版ならび国産AVGも英単語入力だったものの、当然の要望からローカライズされる事で日本語入力が基本となって行きます。
しかし、英語ほど簡単明瞭でない日本語は「言葉探し」と云うシステムに甚だ相性の悪いものと云わざるを得ませんでした。
英語では「OPEN DOOR」で済むとします。日本語だと「ドア アケル」「ドア ヒラク」のように言葉の選択肢が増えてしまいます。大抵答えはひとつなので一言一句正確な入力をしなければ先へ進めないのです。これではAVG本来の姿であった「物語を楽しむ」事は適わないでしょう。意地悪にも「ドア ケヤブル」が正解だったとしたら尚更です。

当時AVGは1作品クリアするのに半年から一年かかるものだとされていました。ボリュームとしては20~50場面程度のものでそれだけかかってしまうほど難解だったのです。PCゲームを嗜んでいたのがマニアだけだったとは云え、これではより人を選ぶゲームとして先が見えていました。

ゲームメーカー側もこのような傾向を危惧しており考えられたのが、ファミコン版「ポートピア連続殺人事件」にも採用されている「コマンド選択式」のAVGでした。
これは予め決められた幾つかのコマンドが用意されており、適宜そのコマンドを選択して謎を解いて行くと云うシステムになっています。

この「コマンド選択式」AVGを最初に採択したのがPC版「オホーツクに消ゆ(1984)」で、作者はこちらも堀井雄二さんとなっています。
新しいAVGの形として概ね好評だった「コマンド選択式」でしたので、もともと「コマンド入力方式」が取られていた「ポートピア連続殺人事件」をファミコンへ移植する際に採用した事になりますね。のちの堀井雄二さんのユーザーフレンドリーな作風から云うと、キーボードの有無よりもゲームとして物語を楽しんでもらう……と云う意味での改変だったのだと思います。

これが奏功してかファミコン版「ポートピア連続殺人事件」は売上本数60万本前後のヒット作品となりました。家庭用では未発ジャンルだった本格推理AVGと云う事で話題にも事欠きませんでしたね。推理物としてはタブーである結末に文句を云う人もいましたが、私はゲームとしてあれで良かったと思います。衝撃度で云えば初の推理小説ポーの「モルグ街の殺人」には及ばないものの、意表をつくオチとしてなかなか驚かされました。

これ以降もファミコンでは良質な「コマンド選択式」AVGが幾つか発売されているものの、どうしてもゲームとしての面白さに欠けていますし、猶且つストーリーと云う点でも文学作品には敵いません。またグラフィックスも中途半端でアニメーション作品に分があると云えるでしょう。
のちにサウンドノベルとして復活するAVGジャンルなのですが、ゲームとして根本的な問題は解決されていないと感じます。その結果がギャルゲーやエロゲーの入れ物として機能している事実を良しとするかどうなのか……もう少し考えて見る必要がありそうです。

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2011/03/02

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 15

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●キン肉マン マッスルタッグマッチ
バンダイ 1985年11月8日発売

バンダイ参入第一弾ソフト。当時原作であるマンガ「キン肉マン」が週刊連載中であり、TVアニメも放映され大人気でした。キン肉マン消しゴム、所謂「キン消し」ブームの真っ直中にもあり、本ソフトも105万本の大ヒットを記録しています。

ゲーム内容はAC版「アッポー(セガ 1984)」を参考にしたと思われる体裁で作られています。シンプルな格闘物ではありますが、良好な操作性とそれなりの駆け引きを伴うシステムで良く出来ています。アイテムを入手した際のパワーアップは単調になりがちな内容に素晴らしいスパイスとして効果を発揮していると云えるでしょう。

「アッポー」と異なる点は対戦が出来る事ですね。これだけで本作は当時の少年たちを夢中にさせたと云って良いほどです。自分か好きな超人を使って友人らと対戦……これは燃えました。放課後は決まってリーグ戦をして盛り上がった記憶が蘇ります。当時を知る方でしたら現在でも楽しめそうですね。


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●スカイデストロイヤー
タイトー 1985年11月14日発売

原作は同年に発表されているアーケード版なのですが、私はこれも見た記憶がありません。タイトー系列の店舗に通っていたにも関わらずですので、出荷台数がかなり少なかったのかな。

ゲーム内容は何の変哲もない3Dシューティング物となっていて、単調で爽快感も認められない凡作となっています。これ以上語るところも持ちません。


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●忍者じゃじゃ丸くん
ジャレコ 1985年11月15日発売

「忍者くん 魔城の冒険」の続編と云うよりはスピンオフ作品となる存在です。じゃじゃ丸くんは忍者くんの弟と云う設定だそうです。
これは原作であるAC版「忍者くん」のファンからすると微妙な作品ですね。当時は続編扱いされていたので特にそう感じます。

原作開発者のひとり藤沢勉さんがゲーメスト誌で語っていた弁によれば、開発元UPLの社長が「忍者くん」の版権を勝手にジャレコへ売ってしまったとの事でした。当時の私はこれを聞いて大人の汚い遣り口に憤慨したものですが、現在に考えると何ら不当性も感じられません。忍者くんのキャラクターは藤沢さんがデザインしたものだそうですが、会社員である氏に断りを入れる類のものでもないでしょう。
まあ、これは今に思う話であって、当時は「じゃじゃ丸くん」が鬼子に見えた事には違いありません。

ゲームとしては原作との関連性がないとすれば良く出来ている方だと思います。ゲームとしての文法も特に破綻していませんし、キャラクターも豊富でアイテムの効果なども考えられています。巨大カエル「ガマパックン」のインパクトも忘れられません。ただあまりにも完成していた原作と較べてしまうとなあ……と云うファン視点の偏向が残るのみです。


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●パックランド
ナムコ 1985年11月21日発売

原作は1984年に発表されたアーケード版となっています。
かなり期待していたものの裏切られた形の移植作品であるひとつです。

原作は「スーパーマリオブラザーズ」の雛形となった横スクロールジャンプアクション物の傑作なのですが、その片鱗も感じられない程こぢんまりとした移植になってしまいました。
先ずキャラクターが小さすぎますね。チビマリオ程度しかありません。原作はスーパーマリオと同等の大きさを持っているのに……。まあ、これはファミコンの性能上仕方がないとして諦められるのですが、小さいキャラであるのにジャンプの軌道大きさがAC版とあまり変わらないと云う不自然なバランスになっているんですよねえ。
これは結局のところ、大きいキャラは表示出来ないから、プレイ感覚だけでも原作に近付けようとした工夫ではあるのでしょうが、どうも遊び続けてもしっくり来なかった部分ではあります。

原作を知らなければ小さくて可愛いパックマンが活躍するアクションゲームに見えたのかも知れません。実際ゲームとしては良く出来ていて十分に楽しませてもらいました。
まだケチを付けるのであれば原作よりも難度が高い部分ですね。キャラが小さい事の弊害として、利用するべき障害物なども小さい事からアスレチック面が異様に難しいと云う問題を抱えてしまっています。敵キャラクターも移動する手段として利用する本作では致命的な欠点とも考えます。

まともな「パックランド」をプレイするにはここから四年後のPCエンジン版まで待たなければなりませんでした。

アーケード版の記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2004/11/post_17.html


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●マッハライダー
任天堂 1985年11月21日発売

映画「マッドマックス2(1981)」の世界観をそのままゲームに持ち込んだ世紀末暴走族伝説とでも云うべき雰囲気となっています。開発はHAL研究所。

個人的に大好きな作品です。当時これだけスピード感のあるゲームは存在していなかったと思います。荒々しいグラフィックスの野外コースがぐにゃぐにゃと曲がりくねる感覚が斬新でした。

自機バイクにはマシンガンが搭載されておりシューティングの要素もあるのですが、これは微妙なシステム。敵車に体当たりし弾き倒す事が出来るので不要であったかも知れません。若しくはもっと連射性能を高めて障害物を一掃出来るようにした方が良かったと思います。

ギアが4段変速となっているのは複雑で珍しい部分です。きついカーブが多かったり、早く走るだけが目的ではない内容なので必要と云えば必要だったのかも知れません。2段変速にしてアクセルワークだけでも対応出来たのではとも思いますが。

バックミラーがあり常時後方確認出来るのも当時としては珍しいシステムでした。後方から超スピードのパープルバイクが現れた時の恐怖感も素晴らしい演出となっています。

惜しむらくは家庭用ゲームとしては難度が高すぎるところですね。コース内に障害物が多すぎるのもマイナス部分で、素晴らしいスピード感を味わい難くしています。コース脇に障害物が多いのでコースアウト=ミスとなるのも厳しいですね。しかし、ユーザーフレンドリーじゃないだけにシビアなゲーム性となっていて、そこが面白いと思わせる魅力を持っています。トゲトゲの世界観同様にMっ気のある方には痺れるゲームと云えるかも。


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●バーガータイム
ナムコ 1985年11月27日発売

原作は1982年にデータイーストが発表したアーケード版「ハンバーガー」となっています。
AC版が発表された当時はシステマチックなアクションパズル物として大ヒットしていましたが、ビデオゲーム変革期を挟んだ3年後の移植版に歓迎の意を表す人は少なかったと思います。
個人的にも好きな作品でしたので多く遊んでいたものの、今更遊ぶゲームではないなと思ってしまいました。その主な原因は自機移動速度の遅さから生じる操作性の重さに他ありませんでした。併せてゲーム展開の緩慢さと云っても良いでしょう。

ゲームシステムとしては、ハンバーガーの具材を連鎖させて下に落とす為の仕込みと、敵を巻き込む事で大連鎖となる素晴らしいパズル内容を誇っています。グラフィックスの納得度もかなり高いものに仕上がっていると云えます。

でもゲーム全体のスピード感がなく物足りないですね。これは現在にプレイして見ても同じ感想を持ってしまいます。内容はナムコの黄金期にも等しい光るものを感じるんですけどね。


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●いっき
サン電子 1985年11月28日発売

原作は同年に発表されたアーケード版となっています。
「クソゲー」として有名な作品ですが、云われているほど酷いものではないと思います。ただ幾つかゲームシステムに破綻しているところが見受けられます。

問題があると思われるのは以下の二点です。

1、自機ショットである「鎌」はボタンを押す事で、敵の方向へ自動射出(或る種のホーミング弾)されるのですが、その精度が適当すぎて当たり難い。

2、自機の移動に合わせて全方向任意スクロールするのですが、スクロール開始位置が画面の端に近すぎる。その為に画面外から出現した敵にぶつかり易い。

上記二つの不備によってかなり理不尽を感じさせられるゲームになってしまいました。
これだけで「KING OF クソゲー」扱いされているのは可哀想だとも思うのですが、やはり「一揆」と云うテーマ、及び世界観をふざけた表現を用いて描いた事に問題があったが為の必然だとも思う訳です。

ゲームとしてのクソゲー度で云えばAC版の方が勝っています。二つの問題点はそのままに、キャラが大きく描かれている為プレイフィールドが狭いのです。これの意味するところは、状況の把握が出来ないままにミスし易くなっていると云う事です。
しかしながら幕間のデモが「一揆」を完全なパロディとして扱っていて、作品の方向性を明確にしています。
このデモがあったのならファミコン版は今ほどクソゲー扱いされなかったのではないでしょうか。

「いっき」と云う日本人にとってナーバスな題名。何の説明もないまま悪ふざけとしか受け取れない絵的表現。忍者や幽霊、腰元と云った間違った歴史的認識。理不尽なゲーム内容……これらが渾然とした結果が「クソゲー」と云うレッテルを欲しいままにしてしまった原因だと考えます。
近年制作元のサンソフトは本作の「クソゲー」扱いをネタとして取り扱っていますが、世間に迎合を打つ見苦しい自虐として反吐を催されます。
まあ、「クソゲー、クソゲー」と云って喜んでいるのは、大方ゲームセンターCXなんかを見て知ったかぶりしているゲーム業界の裏道や路地も見た事のない一般ゲーマーくらいなものでしょうがね。

折り畳んだ先にAC版「いっき」の幕間デモその他スクリーンショットを載せて置きます。興味がおありでしたらご覧下さいませ。

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2011/03/01

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 14

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●プーヤン
ハドソン 1985年9月20日発売

原作は1983年にコナミが発表したアーケード作品となっています。
ビデオゲームが黎明期から発展期にかかろうかと云う時期の作品と云う印象です。ゲームシステムに古い文法を残しつつも、ゲーム性がゲームらしい豊かさに満ちて行った時代とも云えるでしょう。

ハドソンが移植したファミコン版は時代に即した小さなアレンジが施されており(主に隠し要素)、アーケード版よりも遊び易くなっています。現在に遊んでもなかなか楽しめますよ。

アーケード版の記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2006/01/strongstrong_7cfa.html


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●ハイパースポーツ
コナミ 1985年9月27日発売

原作は1984年にアーケード版が発表された「ハイパーオリンピック'84」となっています。
ファミコン版は前作「ハイパーオリンピック」同様、競技が4種目に減らされていますが、移植度はかなり高いものとなっていて、家庭で楽しむには十分だとも云えるでしょう。

前作のようなボタン連打ありきのゲーム内容から、タイミングを重視する競技が中心となっているのが特徴です。これはオペレーターから苦情要望があっての路線変更と見て良いでしょうね。まあ、あれだけ筐体のコントロールパネルが傷付いてしまうゲーム内容では仕方ないですね。また、ボタンは闇雲に連打するよりもRUNボタンを交互にタイミングよく押す方がスピードパワーが上昇するようになっています。

ゲーム内容と競技の選択から地味な作品になってしまった感は否めません。アーケード版も前作ほどのヒット作品とはなりませんでした。
しかし家庭用と云う事を考えると、じっくり腰を落ち着けて楽しめるゲームとして良く出来ています。


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●シティコネクション
ジャレコ 1985年9月27日発売

原作はほぼ同時期に発表されたアーケード版となっていますので、社内で同時開発されていたものだと思われます。

「ヘッドオン(セガ 1979)」を祖にして「パックマン(ナムコ 1980)」に代表されるドットイートタイプのアクション物なのですが、全ての床を塗り潰すルールから、亜流である「クラッシュローラー(アルファ電子 1981)」に近いと云えますね。

横スクロールのジャンプアクションにドットイートのルールを採用したのは面白いのですが、ゲームとしては楽しくない作品に仕上がっています。
ドットイート物のルールとして、1ドットでも食べ残し(塗り残し)があるとクリア出来ない事から、自機に慣性が働くジャンプアクションとの相性はあまり良くないと思われます。

フィールドの端だけドットイートを免除させ、ジャンプ中は地面に触れていなくても通過すればイートしている事にするだけでも随分と印象が変わったのではないでしょうか。
ドットイートタイプのアクションが衰退して行った理由を研究していないが為の不親切であると云えるでしょうね。

BGMがチャイコフスキーのピアノ曲アレンジとなっています。ビデオゲーム黎明期からクラシック音楽や童謡が当たり前のように無断で使われて来ましたが、これはビデオゲームが芸術として認められていなかった事と、商業として小さかったが故の放置恩恵でした。
世界的なファミコンブーム以降は著作権問題を回避する為に、今までのような無断拝借はなくなって行きます。それに伴いゲーム音楽を生業とする作曲家が育って行く事にもなったのです。


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●ルート16ターボ
サン電子 1985年10月4日発売

原作は1981年にアーケード版が発表された「ルート16」となっています。
「ラリーX(ナムコ 1980)」のフォロワー的作品で、レーダーを兼ねた全体マップとキャラクターが大きく描かれたゲーム画面が共通している部分です。

「ラリーX」は1画面内に全体マップとプレイ画面が並列されているのですが、「ルート16」は小部屋に入るとキャラの大きなメイズ画面となり、小部屋を出ると全体マップとアイテムの場所が表示されたレーダー画面へと切り替わります。
これは「ラリーX」のように別画面を同時に表示するプログラム技術がなかったが故の苦肉の策だと感じます。「ラリーX」がファミコンに移植されなかったのも同じ理由だと聞きました。

ファミコン版「ルート16ターボ」はグラフィックスを書き直しただけのアレンジ版と云った印象です。詰まらなくはないものの今更感の漂うゲームであると云えるでしょう。
レーダー画面とメイズ画面の切り替えがもう少しスムーズだったら良かったなと思います。


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●チャレンジャー
ハドソン 1985年10月15日発売

元はMSXのゲームらしいのですが殆ど内容が変わっているので、ファミコンのオリジナル作品と見て良いでしょうね。

この作品もコロコロコミックでの煽り記事が凄まじかった記憶があります。既に免疫が付いていたので騙される気遣いはなかったのですが、横スクロールのジャンプアクション面、全100画面の俯瞰フィールドマップ、洞窟内でのキーワード集め……などなかなか面白そうな内容に思われました。
実際にプレイして見ても「チャレンジャー」と云うタイトル通り冒険に満ち充ちた素晴らしいゲーム内容。コロコロ世代のハートをガッチリ掴む事に成功した好例ですね。

「スーパーマリオブラザーズ」発表以前に開発されていたゲームなので、ジャンプアクション面は旧態依然としていて、現在の基準で見ると少し辛いかなと思います。が、俯瞰フィールドの敵をナイフで倒す効果音は素晴らしい出来映えです。サウンドとゲーム性の関係を研究するには良いテキストになるとも考えます。

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