My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 18
●1942
カプコン 1985年12月11日発売
カプコン参入第一弾ソフト。原作は1984年に発表されたアーケード版となっています。
これは期待していたものの残念な移植でした。とにかく動作が遅いのです。カプコンの初期ファミコンソフトは全てそうなのですが、ゲーム性よりもグラフィックスの再現に命をかけていたように見えます。描き込まなくても良いところまでドット単位で描き込み、結果ゲームの動作が重くなっている……みたいな印象がありました。それに加えてキャラクターオーバーによる画面のちらつきが尋常じゃないと云うのも特徴でしたね。
当時アーケードビデオゲーム業界に新参メーカーとして登場したカプコンは、それこそ破竹の勢いでヒット作を連発して行きました。
「1942('84)」「エグゼドエグゼス('85)」「戦場の狼('85)」「魔界村('85)」「ガンスモーク('85)」といずれもがゲーム業界に新風を吹き込むような作風を持ち、マニアたちはナムコ信者からの鞍替えを行いつつあったのです。
私はと云えば無宗教ではありましたが、どちらかと問われればナムコ信者寄りにいたのは確かです。カプコンの連発する作品に現代の息吹を見てはいたものの、有り物のゲームシステムを借りてグラフィックスを今風に刷新すると云うやり方に関西人のえげつなさを感じていました。アイテムを大盤振る舞いしてゲーム性を安直に稼ぐ手法にも怪訝を呈していたと云えるでしょう。それでも高難度で緊張感があり、アイテムを入手する事でパワーアップするカプコン作品を楽しんでプレイしていました。
カプコン最初の大ヒット作品がAC版「1942」なのですが、当時のマニアたちは「絵が綺麗なだけの二番煎じ」と評したものです。縦スクロール・シューティング物の雛形が「ゼビウス('83)」であり唯一の正解だった事に起因する発言でした。それでもマニア的批評を無視するかのように「1942」は三年近くもの間ロングヒットを記録します。
しかしカプコン側にも「グラフィックス」のみと云う負い目があったとするのは乱暴でしょうか。だからこそ自らの矜持を保つ為にファミコンの性能を度外視してまで、テンポの良いゲーム性を無視してまでAC版のグラフィックス再現に拘った……と私は演繹します。
今だからこそカプコンが示すこの姿勢にプロフェッショナルを感じて止みません。移植物としては失敗作であった「1942」ですが、若き日のカプコンが現在に見せつける……そして忘れて久しいであろうポリシーなのですから。
アーケード版の記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2004/10/1942.html
併せて「ゼビウスの系譜」もご覧下さい。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2006/02/strongstrong_13b2.html
| 固定リンク
コメント