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2011.04.11

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 40

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●ザナック
ポニーキャニオン 1986年11月28日発売(FCD)

原作は同年に発売されたMSX版でファミコン版はその豪華アレンジ・バージョンとなっています。両者とも開発はコンパイル。

ファミコン・シューティングゲームの最高傑作であり、延いてはビデオゲーム・シューティングの頂点と云っても過言ではないほどの完成度を誇っています。
その完成度は計算されて作られた類のものではなく、突然変異的に生まれたと見るのが妥当だと思われます。

MSX版で完成していたゲームシステムに、ファミコンのスプライト機能を限界まで使い切ろうと大量の敵キャラクターを表示させて見た……ここに制作側が意図していなかったゲーム性が生じたのではないでしょうか。
このように考えた理由は幾つかあるのですが、最もそう思わせるところとしてゲームバランスが余りにも神懸かっているのです。

敵の放つ弾を相殺出来るシステムと自動難易度調整のAIを搭載しているにも関わらず、絶妙な難易度を全面に渡り維持し続けている事実には、人智を越えた何かを感じさせて止みません。

オリジナルであるMSX版も良く出来た作品ではあるものの、素人臭さの残る風変わりなシューティングゲームの域を出ていません。
ファミコン版も基本ゲームシステムが同様でありながら、別次元の面白さを入手してしまったと見るのが自然だと思います。
その証拠には以後「ザナック」のゲームシステムを踏襲した続編やその流れを汲む作品が同社から多くリリースされていますが、同等以上の面白さを持つ作品すら作られていない事実でも説明が付きます。

以前にも書きましたが、私はビデオゲームと陶磁器の制作過程は類似していると考えています。
粘土を捏ねて形にしている段階がゲームで云う企画段階。竈で焼く行為がプログラム作成と云えるでしょう。
粘土で形作る原型は陶工の手で納得するまで行えるものとして、かたや竈の中では炎と灰、薪や土、また置き場所と並べ方でも器物に様々な色の変化をもたらします。
企画書の上ではこのようなゲームとしていても、プログラムに組まれる事で偶発的にゲーム性が変化する……私はこれを「ビデオゲーム窯変説」と呼んでいます。

ビデオゲームに限らず芸術の分野に於いて「脳の中身」を寸分違わず現実に形として作り出せる人間は稀有な存在です。
特にビデオゲームは未だ歴史も浅く、ゲーム性の研究さえ行われていない未熟な芸術と云えます。その中で抽象的なゲーム性と云う核心を100%計算して作る事の出来る制作者は皆無だとしても云い過ぎではありません。
多かれ少なかれビデオゲームは制作の過程で「窯変」しているのです。問題はそれがどの程度に於いて良い方向へ偶発したかと云う事実です。

この点で「ザナック」はこれ以上ないと云うほどの素晴らしい「景色」を呈しているのです。

陶芸の世界では長い歴史の中で不確実な窯変ですら、ある程度に於いて操舵出来る技術が生まれています。ビデオゲームの世界でもゲーム性を勘所で計算して作れる制作者は存在しています。しかし、それでもまだ不確実な「何か」である事に留まっているのが現状です。
他の芸術分野を見回しても、その「何か」が解明されている事実は提供されていません。しかし解明出来ないものであったとしても芸術である以上は歩みを止める事は許されないのです。歩みを止めた停滞の先にあるのは斜陽から訪れる零落のみです。

ビデオゲームはその成立上、没落する手前でハード革新に救われて来た歴史を持っています。これからも当分はこの螺旋構造に助けられて行く事でしょう。だからと云って螺旋の芯に当たる「ゲーム性」の研究を怠ってはいけません。
現在行われているゲーム制作は、企画書と云うにはお粗末な仕様書と、見様見真似が許されたソースを元に、平均的な能力をしか発揮出来ないサラリーマンが開発室にたむろっているだけのように感じられます。

名のあるクリエーターはプロデューサーと云う立場に収まり踏ん反り返るばかりで、「ゲーム性」とは何かを考える機会さえも自らに与えていない事でしょう。
大手メーカーは商業を第一に据える必要から、商品と云う小品を垂れ流すプログラムピクチャーとしての役割しか担っていません。または海外から商品を買い付けするだけの目の効かないブローカーと化しています。

これからを担う若手クリエーターたちの意識も低く、中身も分からずに「ハリウッド映画が目標」と臆面もなく云い放っています。ハリウッド映画が世間迎合型の商品工場だと気付いてもいないのでしょうね。

話が逸れてしまいましたが、ビデオゲームは間違いなく芸術の一分野である側面を持っているのです。次世代機の登場以降、実質的に蔑ろにされているこの部分に意識を集中しなければなりません。事実、国内ゲーム作品の質が下がり続けているのは、ゲームの核心である「何か」を軽視してしまった弊害であるのは確実なのですから。

ビデオゲームファン並びに制作者の方々は、MSX版「ザナック」とファミコン版「ザナック」の相違点を今一度研究して見ては如何でしょうか?

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2011.04.10

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 39

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●迷宮組曲
ハドソン 1986年11月13日発売

良質なジャンプアクション物でパズルとアドベンチャー風味の味付けがなされています。
可愛らしい世界観とレスポンスの優れた操作性が素晴らしいと思わせます。自機ミロンの飛び道具である「泡」の軌道も考えられており、敵に攻撃を当て難いと云うストレスを感じさせません。連射時の爽快感もなかなかのものです。全体のゲームバランスも整頓されている事で万人にお勧め出来る作品と云えますね。

しかしハドソン作品の伝統と云うか癖で、効果音のボリュームが低い為かゲーム性がやや低く感じられます。強いて云えばと云う程度の問題なので、これは作品の価値を貶めるものではないでしょう。

本作で最も優れているのは音楽の構成ですね。
楽器箱を入手する事でボーナス面となるのですが、一つのボーナス面を熟す事でBGMの楽器パートが一種類ずつ増えて行くのです。全7種類のボーナス面を消化すると素晴らしいオーケストレーションが完成します。
ゲームの構成とは別にBGMが熟成して行く過程はドラマチックな展開を伴っていると云えるでしょう。独創性に富んでいてシステマティックなアイディアとして感嘆を催されます。

私はリアルタイムでは殆ど遊ばなかったのですが、今からでも始めてみたいと思い続けている作品の一つとなっています。


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●もえろツインビー シナモン博士を救え!
コナミ 1986年11月21日発売(FCD)

ファミコン版「ツインビー」の続編にあたり3人同時プレイが可能となっています。
同社の大ヒット作「沙羅曼蛇 AC1986」に倣い、横スクロール面と縦スクロール面が交互に(5面は例外で縦スクロール)展開して行きます。

なかなか面白いゲームなのですが、横スクロール面とベル取得パワーアップ・システムが上手く噛み合っていません。その為に最初の1面でパワーアップし難いのが欠点と云えるでしょう。この欠点(ベルの挙動)は後日「パロディウス MSX1988」で修正される事となります。

縦スクロール面は前作と同様のシステムとなっている事から、新鮮みはないものの不可もなく楽しめるように出来ています。

新アイテムやフィーチャーがかなり詰め込まれていて雑然としているのですが、シューティングゲームがお好きな方であれば現在にプレイしても楽しめる作品と云えるでしょう。


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●マッピーランド
ナムコ 1986年11月26日発売

マッピーのキャラクターとゲームシステムを使ったスピンオフ的な作品となっています。
一言で表すならば「しょぼいマッピー」としか言い様がありません。
前作にあったポップなグラフィックスは幼稚に、素晴らしいサウンドは素人臭く、ゲームシステムはバッタ物っぽくなってしまいました。
ゲームとしては楽しめない事もないのですが、前作の完成度を知っている側からすると「残念」な出来映えにしか見えません。

但し本作のターゲットが小学校低学年、またはゲーム慣れしていない女の子などのローエンド・ユーザーであったのだとすれば、評価が変わるかも知れません可能性を秘めています。

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●怒
SNK 1986年11月26日発売

原作は同年に発表されたアーケード版となっています。AC版の記事は以下でどうぞ。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2005/02/_ikari.html

ループレバーで操作する事を前提に作られた作品を、ファミコンへと移植する事の無理を教えてくれています。特殊インターフェースをボタンの少ないファミコンコントローラーで再現するのは、これ以降も答えを見付ける事の難しい課題でした。

しかし本作はそれ以上にゲームとしての体裁が整っていません。ループレバーなんや以前の問題でゲームになっていないと云えるでしょう。これぞSNKのファミコンゲームと思えるほどの駄作に仕上がっています。まさしく「怒」の込み上げて来るタイトル通りの作品です。

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2011.04.06

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 38

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●テラクレスタ
日本物産 1986年9月27日発売

原作は1985年に発表されたアーケード版となっています。
ニチブツのファミコンソフトは話題になる事が少なく売上本数も多くなかったと思うのですが、実際のところ真面目な態度で丁寧に作られた作品が多いと云う特徴を持っています。

本作もその一つでAC版の忠実な移植作となっています。画面縦横比率の違いから完全なものとは云えませんが、SNKの「ASO」とは違い制作側の生真面目さと努力が伝わって来る思いです。

ファミコンならではの追加要素として、自機が全て合体した後のフォーメーションをエディット出来る機能が付いています。これは原作を汚さない最低限でありながらも遊び心を込めた良心的なアレンジと云えますね。

ゲームとしてもファミコンのシューティング物として良く出来ており、現在に遊んでも楽しめる内容となっていますよ。

アーケード版の記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2005/03/post_20.html


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●プロレス
任天堂 1986年10月21日発売(FCD)

今となっては何の変哲もないプロレスゲームですが、当時はキャラクターが大きい事に驚き喜びを覚えました。
相手と組み合ってから十字キー方向とボタン連打で技を仕掛けるゲームシステムです。任天堂作品としては独創性に欠ける作品でもあり、当時AC版で人気のあった「エキサイティング・アワー 1985テクノスジャパン」を参考に作られていると思われます。

それでも子供たちから絶大な支持を受けて売上本数142万本の大ヒットを記録しています。対戦プレイが面白いゲームなのですが、単調な展開とテンポが悪い事から現在に遊ぶには少々厳しい作品ではあります。


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●うる星やつら ラムのウエディングベル
ジャレコ 1986年10月23日発売

原作は同年に発表されたAC版「モモコ120%」となっています。
ゲーム内容はほぼ忠実な移植物で、主人公及び敵キャラクターを変更しただけのもの。「高橋名人の冒険島」と同様な仕様と云えるでしょう。
もともとAC版のBGMが「ラムのラブソング」を使用(無断?)していた事から、このような版権物に変化したのだと思います。

ゲーム自体は旧態依然とした貧相なジャンプアクション物で、語るべきところを全く持ち合わせない駄作となっています。AC版が出た際には「この時代にこのゲームはないだろう」と心底思ったほどです。それに加えて当時の二次元ロリコン・マニアに媚びを売るようなキャラクターにも反吐を催されました。


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●ミシシッピー殺人事件
ジャレコ 1986年10月31日発売

原作は同年に米アクティビジョン社から発売されたコモドール64版となっています。
キャラクターをリアルタイムで自在に操れる方式が新しいアドベンチャーゲームです。

プレイし始めて先ず落とし穴にはまり死亡。ナイフが飛んで来て死亡。殺人事件が起こる前に主人公が何度も殺されるゲームって……。
会話を一度しか聞けない為メモして置かないとはまるのもちょっと……。

購入前はなかなか面白そうな作品だと思っていたのですが、結局クリアする前にストレスが溜まり放擲してしまいました。
アドベンチャーゲームに一発死とかは必要ないのではないかと云う感想のみです。


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●スーパースターフォース
テクモ 1986年11月11日発売

「スターフォース」の続編にあたる本作はオリジナルを制作したテクモが開発販売する事になりました。
続編とは云い条、シューティングゲームとアクションRPGを組み合わせた歪な作品となってしまいました。ゲームとしても中途半端な出来映えで、シューティングとRPGの両パートとも全く面白くありません。

先ずシューティング面が単調で楽しめません。ゲーム性も角の摩耗した石像のように曖昧で前作の面影すら見出だせず。RPG面は旧態依然としていて何を目指していたのかも判然しません。

スターフォースとゼルダの伝説が合体したらさぞ面白かろうと云う企画意図だったのでしょうが、制作側の無能ぶりからどっちつかずの駄作となった……と云うところでしょう。
テクモは個人的に大好きなメーカーなのですが、本作には褒めるべき部分一つすらありません。

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2011.04.05

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 37

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●スーパーゼビウス ガンプの謎
ナムコ 1986年9月19日発売

ファミコン版「ゼビウス」のスピンオフ的な作品です。
全22エリア。個々の面クリアの条件が謎となっていて、その条件を満たさない限りループし続ける(5回まで)ゲームシステムが取られています。

アイディア的には悪くないと思いますし、時代の流れと云う点でも納得出来るのですが、ゲームとして面白くない作品となっています。
クリア条件さえ発見してしまえばシューティング部分は単調以外の何物も提供してくれません。ゲーム性は低く、ゼビウスとは思えない敵アルゴリズムに苛々。下品なグラフィックデザインなど良い部分が見当たりませんね。

面クリア謎システムは良いとしても、もう少しシューティングパートに爽快感があれば……と云う残念な作品に仕上がっています。


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●悪魔城ドラキュラ
コナミ 1986年9月26日発売(FCD)

ディスクシステム専用アクションゲーム傑作の一つですね。
本作はコナミ版「魔界村」として作られたのではないかと思います。おどろおどろしい世界観、「スパルタンX」の発展型ゲームシステム、武器アイテムの使い分け、凶悪な難易度……など直接的ではないにしても雰囲気の共通性が認められます。とは云えオリジナル作品の気高さを失っていません。

難度の高い事でも有名ですが、アクション性が高いと云うよりは、ダメージを受けた際に後方へ弾かれてしまうシステムがそう思わせている部分ですね。これにより穴に落ちて一発死にが頻発してしまいます。
問題があるとすればもう一つ、通常武器である「鞭」の当たり判定がやや小さい事でしょうか。射程距離の短い攻撃ですから届く範囲では強力なものとしても問題がない筈です。
この二つを改善したたならばもっと幅広い層に受け入れられた作品となった事でしょう。

しかし、ファミコン性能の限界とも思われる美しいグラフィックス、素晴らしいサウンド、メリハリのあるゲーム展開、絶妙なゲーム性……アクションゲームの傑作である事に異論を差し挟む余地は見当たりません。現在に遊んでも十分に楽しめる事でしょう。


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●戦場の狼
カプコン 1986年9月27日発売

原作は1985年に発表されたアーケード版となっています。
AC版は一時代を切り開いた時の名作ではあったのですが、その寿命はファミコン版が発売される1年後には尽きていたと云えるでしょう。

グラフィックスとサウンドから生まれるゲーム性はかなり高いところで結実しているものの、展開の単調さ、難易度の高さ、ゲームシステム仕様の矛盾、その他、永久パターンの存在……などが短命の理由でした。

アーケード版の記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2004/11/post_9.html

ファミコンへの移植は基本AC版から忠実に行われているのですが、単調さを補う為に隠し要素が追加されています。特定の敵、場所を破壊した際に現れる地下室がそれです。
しかし、これがまたお座成りで単調なフィーチャーであるばかりか、テンポの悪さまで提供してしまっています。

他にも問題があり、スプライト表示数の限界から画面ちらつきが激しすぎる事と、それに伴い敵キャラクターが消滅する不具合までそのまま放置されています。
一度入った地下室の入口が何度でも出現しますし(アイテムを入手した後の何もない地下室)、ミス再スタート時の場所が穴の近くで即死亡したりと明らかに練り込みが不足しています。テストプレイやデバッグで分かってはいたものの無視して発売したと云うのが見え見えですね。
それでもカプコンの公式データによれば売上本数114万本もの売上を記録しています。これって本当なんですかねえ。発売時にはそれほど話題にもなっていなかったと記憶しているのですが……。

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2011.04.04

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 36

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●ASO
SNK 1986年9月3日発売

SNK参入第一弾ソフト。原作は1985年に発表されたアーケード版となっています。
ゼビウスの亜流作品としては「B-WING」と肩を並べるほどの独自性を持ち、猶且つ新たなゲーム性の入手に成功したシューティングゲームの傑作です。

アーケード版の記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2006/02/strongstrong10_a755.html

ファミコン版はかなりやる気のない作品となっています。はなから忠実な移植を放棄したかのような内容と云っても良いでしょう。
もともとのゲーム内容は家庭で腰を落ち着けて楽しむに適した作品である事から、非常に残念としか云えませんね。SNKと云うゲームメーカーの核心を見る思いです。


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●スーパーピットフォール
ポニーキャニオン 1983年9月5日発売

原作は米アクティビジョン社が1982年Atari 2600用に発売した大ヒットアクションゲームです。
固定画面内の様々なトラップをジャンプアクションでかいくぐり、画面の端まで行き着くと切り替えスクロールすると云うシステムが取られています。現在に見ると旧態依然とした作品に映るかも知れませんが、ビデオゲームの面白さを世間に遍く知らしめた大傑作と云えるでしょう。

しかし「スーパーピットフォール」はスーパーマリオの二番煎じとして企画された糞にも等しい駄作となっています。世界中で愛され続けた傑作をここまで汚す行為は許されるものではありませんね。遊ぶ価値も皆無。その存在すら抹殺されて然るべきでしょう。金儲けの臭いにだけ釣られて参入して来たポニーキャニオンのようなメーカーがファミコンを駄目にして行きます。


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●高橋名人の冒険島
ハドソン 1986年9月12日発売

原作は同年にセガから発表されたAC版「ワンダーボーイ」(開発は現ウエストン)となっています。
スーパーマリオのフォロワーとして最も丁寧に作られており、且つバランスが良く整えられた作品と云えるでしょう。

ファミコンへの移植版となる本作も隠しキャラ隠しフィーチャーの追加要素があるものの、ゲームの基本部分はきちんと作られていて好感を与えてくれます。
原作の弱点であったキャラクター性の低さは「高橋名人」を起用する事で克服。売上本数105万本のミリオンヒットとなりました。

スーパーマリオのように壊せる対象物(ブロックなど)が殆どない事から、シンプルなジャンプアクションとして完成しているのですが、敵を飛び道具で倒す部分のゲーム性はテンポの良さと相俟って高く仕上がっています。

但し流れるようなゲーム展開と即死し易いゲームシステムと難易度が上手く噛み合っていない嫌いがあり、繰り返し遊びたいと思えるゲームにはなっていないと思います。
自機キャラクターの移動慣性も少し強すぎると感じます。この事からコースレイアウトと敵配置を暗記しなければ進めないゲームとなり、スーパーマリオのユーザー層とギャップが生じてしまいました。また敵の配置場所が若干ずれている事でAC版よりも難しくなっていますね。

しかし良く出来た作品に相違なく、スーパーマリオの呪縛が解けた現在ではオリジナル作として十分に楽しめるのではないでしょうか。


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●キングスナイト
スクウェア 1986年9月18日発売

発売当時はRPGとして宣伝されていましたが、実際は強制縦スクロールのシューティングアクション物となっています。
1面……戦士
2面……魔法使い
3面……モンスター
4面……盗賊

と各面で違う自機キャラクターを操作して最終面となる5面で隊列を組んだ全キャラクターを操作する事になります。
自機キャラが死ぬとその面は終了し、別のキャラで次の面が始まるのですが、最終面は全キャラが揃っていないとクリア出来ません。当時は理不尽だと不評を買ってしまったシステムなのですが、個人的にはシステマチックな方式として考えられた良いものだと思います。

ゲームとしては地味に面白く地味に詰まらない作品と云う印象。
地形などの障害物をボタン連射で壊しまくりアイテムを探す……ゲーム性は殆どここに集約されていて、システムとしては幼稚低俗の域を出ていません。
「心に残らない歴史上あるにはあった」と云うところが正当な評価だと思います。

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2011.04.01

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 35

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●スカイキッド
ナムコ 1986年8月22日発売

原作は1985年に発表されたアーケード版となっています。当時のACゲームに比較するとグラフィックス、内容ともにかなり物足りない作品でした。
業務用ハード性能が爆発的に向上して行った時代。ファミコンへ移植出来るネタがなくなって来た事で、無理をせずに移植可能な作品を低スペック基板でリリースしたのではないか……と穿った見方をしていました。
実際の基板性能は「パックランド '84」「バラデューク '85」「メトロクロス '85」あたりと同等です。どちらかと云うとスプライト表示の問題を克服する為に、キャラクターを小さく描く事が重要だったのかも知れません。

実際の事実関係は分からないものの、「スカイキッド」はファミコン向けの作品として良く出来た移植物となっています。
省略された部分もありますが基本的なゲーム内容、最も重要なゲーム性に関しては素晴らしい出来映えを誇っています。
当時は旧態依然としたゲームに見えた本作も、風評を拭われた25年後の現在にプレイして見ればなかなか楽しめる佳作と感じられます。ナムコ初の二人同時プレイ可能作品としても良く考えられていますよ。

アーケード版の記事はこちらです。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2004/12/post_15.html


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●機動戦士Ζガンダム・ホットスクランブル

バンダイ 1986年8月28日発売

ファミコン初のガンダム版権物でゲームデザインが遠藤雅伸さん。発売前から期待に胸を踊らせていました。しかし残念ながら過度な期待は裏切られる結果に……。

遠藤雅伸さんは「ゼビウス AC1983」「ドルアーガの塔 AC1984」「グロブダー AC1984」「イシターの復活 AC1986」を手掛けたゲームデザイナーであり、日本で初めて表舞台に姿を現したゲーム制作者でした。
NHKのテレビ番組などにも出演し「新人類」の旗手としても取り扱われていました。
雑誌インタビューも多くこなしており、コンピュータゲーム総合誌「Beep」では氏の特集号まで編纂されたほどです。この号は氏のレベルデザインや思想を知るには第一級の史料(当時または表向き)となっており、私は雑誌が刷り切れるまで読み耽りました。

私の考えるところだと、氏は一級のシステマイザーであり、超一流のグラフィックデザイナーであります。
斬新な企画とゲームシステムを構築する術に長けており、他の追随を許さないほどハイセンスな美術をビデオゲーム内で作り上げていたと云えるでしょう。
当時の私は映画の勉強を始めた頃で、同じく斬新な企画と完成された美術を構築する「黒澤明」監督と「遠藤雅伸」氏を同列の「先人」として尊敬していました。

「機動戦士Ζガンダム・ホットスクランブル」は遠藤氏が初めて手掛けた家庭用作品と云う事で、どのようなゲームになるのか非常に興味があり、同時に本気で期待していたものです。発売前に雑誌で紹介されていた3Dシューティング時のスクリーンショットは、なかなか素晴らしい出来映えに見えて期待を膨らませるのに十分でした。

しかし実際に発売された作品は中途半端な3Dシューティング面と旧態依然とした2D迷路面が組み合わされた駄作を過ぎず。
ゲーム内容よりも迷路面のグラフィックスがあまりにも酷すぎる事から、これは遠藤氏の作品ではないのではないかと疑惑が生まれました。これまでの氏の作品からすると迷路面のグラフィックスは有り得ないのです。先ずセンスが悪い。これに尽きるのですが、氏の作品から感じられる美の法則性が見られないのが一番の理由となります。
ほどなくして雑誌で迷路面はあとから付け足したと云う記事を読み納得はしたものの、そうすると今度はゲームシステムが氏の構築したものだとは思えなくなりました。
3D面2D面ともに曖昧な印象が付き纏うそれは、決してシステマイザーたる遠藤氏の手に成るものには見えません。

これは後日インタビューで明らかとなったのですが、製品版の前に作られた「Zガンダム」があったと云う事です。
それは3Dシューティング面に特化した作品で、かなり高度な三次元空間で織り成される一人称視点のゲームであったとの事。
しかしバンダイの用意した小学生のテストプレイヤーからの不評を理由に、現在残されている形に改変し発売されるに至った……。それでも本作は売上本数40万本のスマッシュヒットを記録してはいます。

これ以降も遠藤氏は家庭用の作品を作り続けて行きますが、業務用アーケードゲームの頃に見られた斬新さと云う名の切れ味と、当世一流のグラフィックセンスを発揮し得なくなってしまいました。
ハードの性能、家庭用ゲームとしての制作方法の違い、氏の思想の変化など色々理由はあると思うのですが本当に残念でなりません。氏のような天才肌の作家は最前線にいてこそ真価を発揮するものと思われます。氏が現在行っている携帯コンテンツの仕事はそれはそれで最前線であるのでしょうが、発想を具現化するには縛りが多すぎる土俵と云えるでしょう。その場だけで消費され忘れ去られて行く作品よりも、ゲーム史に永遠に残る仕事を続けて欲しかった。ゲーム制作会社社長及びプロデューサーではなく、一ゲームデザイナーの立場を貫き通して欲しかった。そうして氏の作り出して行く芸術作品の変遷を追いたかった……。
これが遠藤雅伸ファンである私の個人的な願望であり叶わない夢でもあったのです。

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