2007.11.03

「告白」

Yasuyuki

10月下旬から始まった岡村靖幸さんのライブツアーのタイトルとなっています。
今年3月に「AP BANG! 東京環境会議 vol.1」で出所後の復活を遂げた氏は、シングルCD「はっきりもっと勇敢になって」を発表し、以後フジテレビの音楽番組やTBSのニュース23などに出演。精力的な活動を行っています。

今月一日にはZepp Sendaiでライブが行われました。
私は残念ながら仕事と金銭の都合上参加出来なかったのですが、隣で働いている事を利用して、開演前の並んでいるお客さんの様子などを観察していました。
その感じで云うと1000人に満たない程度の客入りだったようで、満員御礼とまでは行かなかったのではないかと思います。
しかし、以後ネットで情報を集めて見ると、アットホームな雰囲気のもとかなり満足の行く盛り上がりを見せたとの事でした。無理をしてでも参加すれば良かったと後悔頻りの現在を過ごしています。

そうして予想もしていなかった事には、ライブ後、国分町のクラブSHAFTに岡村靖幸さんがDJをするため来店していたのだそうです。それほど大きな店ではないので居合わせた人に取っては身近に氏を感じる僥倖が与えられた事でしょう。

このまま活動が続いて新アルバムが発表されたならば完全復活したと受け取れますね。
あとは2004年頃から不備が感じられる喉の調子を整えて欲しいと思います。しかし最近のライブ映像や音声を聞くと、こちらの完全復活は難しいのかなとも感じます。高音部分が潰れて発声出来ないようになってしまっているんですよねえ。
簡単に云うと、喉風邪を引いている時のように潤いがなく、常に痰がからんでいる状態が続いているように見受けられます。同時に肺活量もかなり落ち込んでいますね。

曲作りの確かさとエンジニアとしての腕は上昇しているも、一般に最もアピールするところの声の不調だけは本当にどうにか治して欲しいと思います。
私の妻も岡村ちゃんファンなのですが、2004年の「Me-imi」以降の曲は悲しくなるからと聴かないようにしているほどです。
この部分さえなんとか出来れば新規のファンを大多数獲得し得るポテンシャルを未だに秘め続けている個性派アーティストなのですが……。

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2007.02.13

家庭教師

Yasuyuki

1990年に発表された岡村靖幸さんの4thアルバムです(画像は次作「禁じられた生きがい」のジャケットとなっています)。

岡村靖幸さんは一般的にメジャーな存在ではないと思うのですが、一部のファンと現役ミュージシャンたちから絶大な支持を受けているアーティストだと云えます。

1984年に若干19歳で作曲家としてデビューした氏は、渡辺美里さんを中心に楽曲を提供し実績を重ね、1987年にアルバム「yellow」でソロデビューを果たします。
そして翌年に2ndアルバム「DATE」をリリース。シングル「イケナイコトカイ」の有線リクエストと、アニメ「シティハンター2」のエンディング曲を提供した事で世間に認知される事となります。

しかし和製プリンスを地で行く風貌と淫靡な内容の詩が多い事から、メディアへの露出は多くありませんでした。

1989年に発表された3rdアルバム「靖幸」からはホンダアルトのCM曲となった「だいすき」がヒットしたものの、メジャー路線に乗せられないキャラクターとして、知る人ぞ知る……と云う位置に甘んじていたと云えるでしょう。真っピンクのアルバムジャケットは斬新と気色悪さを演出していました。

1990年に発表された「家庭教師」は現在にも氏の最高傑作と謳われる名盤として輝きを失っていません。
極上のポップスとダンスミュージックの軽快さにファンクが味付けされていて、飽くことなく聞き続けられる内容となっています。
全9曲41分、捨て曲もなく纏められています。構成としてはシングル曲の寄せ集めにも思えるのですが、不思議なトータルバランスを有しています。これは氏のアルバム全般に云える事ですね。
作詞作曲アレンジ、演奏までも全て一人でこなしてしまう氏だからこそ出来る奇跡の構成術とも考えられます。
特に現在の耳にも新しいアレンジ面での才能は刮目に値しますね。若干25歳の若者が手掛けた作品とは思えないほどの完成度を有しています。
デビュー直前のミスチル桜井さんが大きな衝撃を受けた事にも納得が行きます。

本アルバムからは「カルアミルク」と「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」のシングルヒットが生まれています。

しかし、ここから岡村靖幸さんは長い冬眠に入ってしまいました。
5thアルバム「禁じられた生きがい」が発表される1995年まで5年を要してしまいます。
定期的にシングルは発表されるもののアルバム発売は幾度となく延期を繰り返します。アルバムと同名の全国ツアーが行われてもいたのですが……。

この間氏に何があったのかは判然としません。親友であった尾崎豊の死も無関係ではなかったと思われるのですが、実際は去年の事件へと連綿と続く問題を抱えていたのではないかと考えてしまいます。

2005年冬、最悪のニュースが耳に飛び込んで来ました。
「岡村靖幸、覚醒剤取締法違反で逮捕される」
1990年以降、ファンの間で噂となっていた懸案が明白となった瞬間でした。
そうして、最も最悪なニュースだったのが、2003年にも氏が同罪で逮捕されており、懲役2年、執行猶予3年を経過していない事実です。これにより今回の逮捕で実刑を免れないと悟らされました。

現在、岡村靖幸さんは服役中の身上です。
刑期を全うして出所したとしても芸能界に復帰出来るかどうか分かりません。
覚醒剤が自他ともに与える危険を知る以上悪い事には相違ないでしょう。
しかし公判で見せた涙は純粋な岡村靖幸を知る私たちファンにとって、決して嘘とは受け取れないのです。
いつまでも「家庭教師」をも超える名盤を届けてくれる筈だと心待ちに期待し続けています。

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2006.07.21

ハルモニオデオン

Harmoni_1

1989年に発表された遊佐未森さんの3rdアルバムです。

前年に1stアルバム「瞳水晶」でデビューした彼女は、同年に続けて2ndアルバム「空耳の丘」をリリースします。
1stではまだ独特な歌声を持つ不思議アイドル的な扱いであったと思うのですが、2ndから叙情的な世界観を確立し以降の作風へと続いて行きます。

そして発表された3rdアルバム「ハルモニオデオン」は初期の遊佐未森が持つ郷愁感を前面に掲げた名作となりました。

私は邦楽を殆ど聞かない質なのですが、本作だけは購入以後十数年間ずっと飽かずに聞き続けています。
邦楽を聞かない理由はその歌詞にあります。私たちが日常必然として耳に入れ口にしている日本語ですから、その意味が頭に入り過ぎてしまうのです。
私が音楽CDを掛けるのは曲が聞きたいのであって歌詞を知りたいからではありません。素晴らしい詩を感じたいのであれば梶井基次郎や三好達治を読めば良いと思います。良い曲を感じたいのであればクラシックを聞けば事足ります。

曲に乗せなければならない歌詞には制限から来る限界が付随して消えません。そうであるならば定型句の羅列と化した邦楽の歌詞を楽しめる理由は見あたらなくなってしまいます。

その点洋楽は私が無学である事から漠然とした内容しか把握出来ない為、或る程度純粋に曲を聴く事が出来る訳です。もちろん洋楽にも歌詞が乗っている以上は定型句が耳障りに感じる事もあります。しかし判然と意味の理解出来ない負がメロディとして受け流してもくれます。
また現在の邦楽はビートルズ以降のポップスを参考として成立している為に、メロと日本語の相性が甚だ悪い事も聴き難い要因となっていると思います。8ビート16ビートに日本語は上手く乗らないものと認識しててるからです。

しかし曲と詩が一体となった時、1+1が通常の答え2ではなく、3や5や10に変化する事実も認めています。
ハルモニオデオンはまさしくそれを地で行く邦楽アルバムだと思います。
遊佐未森さんの優しい歌声と外間隆史氏の諦念を伴った切ない曲調、工藤順子さんの懐かしさを感じさせる日本語、これが三位一体となり完成した稀有な名作となっています。あまり評価される事はありませんが編曲アレンジ面の完成度もかなり高いと云えます。

能く云われるように宮沢賢治の世界観を持った邦楽だと思っていただければ分かり易いかも知れません(実際はちょっと違いのですが)。または矢野顕子のファンタジー版とも呼べるでしょうか。ケイトブッシュの影響もボーカルスタイルやコーラスに現れていると思います。
人によっては鼻にかかった高音ボーカルとファルセットに嫌悪感を抱くかも知れませんが、郷愁感を煽る癒し系音楽を求める方や、心に平静をもたらしたいと考える忙しい現代人に強くお奨めしたい作品となっていますよ。


遊佐未森さんは仙台の出身で地元アーケード街のテーマソングも歌っておられます。中央通りを歩いている時にその曲が流れると何だかそれだけで幸せな気分に浸れてしまいます。
余談ですが氏のお父さんは地元高校の先生で、その高校に通っていた私の同級生は無理矢理デビューシングルを買わされたそうです。

友人に誘われてコンサートを見に行った事でファンになった口なのですが、コンサート、ライブ嫌いの私が三回も足を運ぶほど凝った演出で楽しませてもらいました。ただ「0の丘と∞の空」演奏時一斉に席を立ち踊り出すオタクっぽいファンが凄く怖かった……。
90年以降彼女の作風が変わって行った事でアルバムを購入しなくなってしまったのですが、良い機会だから今一度アーティストとしての遊佐未森を追いかけて見ようかな。

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2005.12.07

Aerial / Kate Bush

aerial

12年振りに発表されたケイト・ブッシュの新譜です。
前々作センシュアルワールド(’89)でひとつの頂点を極めたケイトは、次作レッドシューズ(’93)で作品的過ちを犯し商業的にも失敗した事で、子育てに徹すると云う理由のもと隠遁生活に入ってしまいました。

今回の復帰は息子バーティが成長し手間の掛からなくなった事と、ケイトが音楽家として創作活動を渇望し続けて来た結果と見る事が出来るのではないでしょうか。

長いブランクを経て生み出されたエアリアルは紛れもなくケイトのアルバムだと感じられます。
購入直後に聞いた正直な感想は「毒がなくなったな」と云うものだったのですが、繰り返し聞いている内に耳に馴染んで来ました。
センシュアルワールドのような過激さが影を潜めて、平凡にこそ尊さを求めるケイトの姿が確認出来ます。

2枚組アルバムなのですが、1枚目の最初はシングルカットされたKing of Mountain(お山の大将)から始まり、数字の美しさを再確認させる円周率の歌、息子バーティへの母性愛に彩られた歌、切ない日常にある洗濯機の歌、透明人間になる方法……と続いて行きます。或る意味ケイトワールド全開ですね。

上にある画像のジャケットも凝っています。
声紋を象った島が上下対象に伸びているのは2枚組のアルバムを意識させているのでしょう。なかなか洒落たデザインだと思います。

ケイトのファン以外の方が聞いて良いアルバムだとは云い難いのですが、12年の間を埋めてくれるアイテムとして私は最近ずっと聴き続けています。激しい曲を脳が受け付けなくなった所為か平凡単調に心の落ち着きを見出しているからなのかも知れません。

ただ残念なのはケイトの歌声に妖艶な伸びがなくなった事実です。これはブランクによる喉の経験不足か耳の悪くなった証拠とも取れます。しかし許容出来る範囲のものなので次回作での完全復活を期待したいところですね。

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2004.12.16

グウェン・ステファニ

gwen

スカパンクダンス・バンド「ノーダウト」の女性ボーカルである彼女がソロアルバムを発表しました。
「Love Angel Music Baby」と云うタイトルですが、これはちょっとダサいかも知れません。しかし内容はポップス好きには堪らない佳曲がぎっしりと詰め込まれた優れたものとなっています。

参加している作曲家プロデューサー陣が超豪華で、現在のアメリカでトップに君臨している人たちが軒並み揃っていると云えるでしょう。
曲は’80年代を想起させるようなものが多く、グウェンが尊敬していると思われるマドンナの印象が強く残ります。他には先行シングル発売されたリンダペリー(最近だとPinkの作曲家)の手になるダンスナンバーや、エミネムを見出したDr.ドレの曲でイヴをフューチャリングしてみたり、ジャム&ルイスがふざけて作ったと思われる「原宿ガールズ」なんてものも収録されています。逆にノーダウトをイメージさせる曲は少ないですね。

本国ではロックセレブとして確固たる地位を築いているグウェンですが、日本ではノーダウト自体が殆ど知られていないのではないでしょうか。
シングルカットされた曲はキャッチーなものが殆どで日本人の若者が好みそうなのですけどねえ。これは多分プロモーションの仕方に問題があったのだと思います。
以前紹介した「ディクシーチックス」にしてもそうなのですが、もともとのジャンルがカントリーやスカパンクなんかであったりすると、先入観で聴いて貰えない、売れないとする印象がレコード会社にはあって広告し難くなっているのでしょう。
逆に云えばダンス系やR&B出身の歌手は広告し易く実際に売れていると云う状況になっていますね。本国では既に落ち目のブリトニーやデスティニーチャイルド、またエミネムのアルバムは随分と売れているようですし。

今回のグウェンのソロアルバムは普段洋楽を聴かない若い女性にお奨め出来るものだと思います。特に秀でた個性を持たないグウェンの歌唱法ですが、声量がある為かジャンルレスに活躍していますし、爽やかな色気があって嫌味を感じさせません。詩も平凡なものが多く彼女が持つ等身大のセレブと云う印象が受け入れられるのではないでしょうか。どちらかと云うと私も彼女のキャラでアルバムを買っている方です。勿論アルバム自体も良く出来ていますしね。

若い彼女をお持ちの御仁はクリスマスプレゼントとして贈ってみるなんてのも有りだと思われます。

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2004.12.08

ジョン・レノン

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今日は元ビートルズの実質的リーダー、ジョンレノンの命日です。1980年に狂信的なファンの凶弾に倒れてから24年が経ったと云う事になります。当時まだ子供だった私なのですが、連日大きな報道がなされていた事とダゴタアパートの前で泣き叫ぶファンの映像が記憶に焼き付いています。
神に愛された人は夭逝すると云いますが、ジョンもその一人であり亡くなるにはまだ早過ぎる40歳の若さでした。
主夫生活を経て5年振りに発表したアルバム「ダブルファンタジー」は、過半数がオノヨーコの奇妙な曲で占められていますが、ジョンの曲に限って云えば素敵なものが多数収録されています。ビートルズ時代の「ロックンロールスター」、ソロ時代の「愛と平和の戦士」を経て辿り着いた彼の新境地だったと思われます。
「スターティングオーバー」「ウーマン」「ビーティフルボーイ」などは今でも耳にする機会の多い爽やかな名曲ですね。
それだけにアルバム発売後すぐに亡くなってしまった事が残念でなりません。もし彼が生きていたら以後どれだけの名曲を創造していただろうと考えるのは、1ファンとして当然の権利だと思います。

もしソロ以降のジョンレノンを聴いた事のない方にアルバムを1つお薦めするとしたら、やはり「イマジン」になるかと思われます。最も有名なタイトル曲の他に、最も他アーティストにカヴァーされている「ジェラスガイ」、最も美しいバラード「オーマイラヴ」、最も意地悪(ポールに対して)な曲「眠れるかい?」などが収録されています。

タイトル曲である「イマジン」は現在でもジョンの代表作として耳にする機会は多いと云えますね。ただ、それが為に飽和感を覚えてしまう事もあると思います。ビートルズの曲であれば「レットイットビー」や「ヘイ・ジュード」「イエスタデイ」などが同様な感じを与えます。
でも良い曲はやっぱり良い曲なんですよね。「イマジン」はシンプルなメロディが特徴的な曲だと云えますが、それ以上に歌詞が本当に素敵です。

「想像してごらん。戦争のない世の中を……」
「想像してごらん。世界中の人々が平和に過ごしている事を……」
「想像してごらん。ここが天国だったらって……」

仏教思想的なジョンの祈りとも云える詩は、いつ聴いても切なくなってしまいます。それが現在にも未来にも有り得ない事だと思うほど、美しさを増して行くような美しくも悲しい詩であると思います。

私は以前それほど「イマジン」を好きではなかったのですが、年齢を重ねる毎に良い曲だと思い始めました。ジョンの命日に独りヘッドフォンで彼の囁くような歌声を聞いていると、何故だか涙が止め処なく流れて来るのです。
曲の中で自らを「夢想家」だと認めつつも、世間に対して平和を語りかけるジョンの声は悲しいほどに非力さを感じさせます。「愛と平和の戦士」を装っていた彼の真実がここにあるような気がしてなりません。こんな時代だからこそ、これからの未来も、ジョンの理想した平和が世界に訪れない限り「イマジン」は永遠の名曲として輝き続ける運命にあるのだと思います。

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2004.11.29

ジョージ・ハリスン

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本日11月29日は元ビートルズのリード・ギター、ジョージハリスンの命日で3回忌となっています。つい先日の事のような印象があるのですが早いものですね。光陰矢の如しとは能く云ったものです。
ジョージは素敵な4人の中では最も地味な存在で一般への認知度もかなり低いのではないでしょうか。しかしビートルズ解散後に一早く花開き、且つ長く活動し続けたのもジョージ本人に他なりません。
ジョンとポールがソロになってから停滞し始めたのとは対照的に、ジョージはソングライティング術に磨きをかけてコンポーザーとしても経験を積んで佳作アルバムを量産して行きました。後進の育成にも留意して、恵まれない人の為にはバングラデシュ救済コンサートなども開催しています。
シニカルで銭ゲバの印象で語られる事の多いジョージですが、本当は心の優しい人だったのかも知れませんね。私の個人的な印象はナイナイの矢部さんと重なっていたりもするのですが。

ジョージのアルバムを聴いた事のない方も多いとは思いますが、これを機会に一枚購入してしまいましょう。お奨めはソロデビュー作である「All Things Must Pass 」で決まりですね。ビートルズ時代の没曲の寄せ集めとも云えるアルバムなのですが、どうして没になったのか不思議なほど良い曲が多く収録されています。ジョンとポールが印税欲しさにプロデューサーであるGマーティンと結託していたと云うのは有名な話ですけど。

もう1枚お奨めするならば最後のアルバム「Brainwashed 」ですね。死の直前まで制作を続けていた未完成のものをプロデューサーであるJリンと息子のダニーが完成させた遺言のようなアルバムです。悲壮感などは一切なくウクレレを隠し味に使った明るい作品になっています。死と云う暗い帷が降りつつあったにも拘わらず「Brain Washed(固定観念を捨てろ)!」と歌うジョージには感動させられてしまいます。

他のアルバムも遊びで作ったと思われる「電子音楽の世界」以外は買って損すると云う事はないと思います。ジョージはどちらかと云うと音痴ですし声域も狭いのですが、切々と歌い上げるところに彼独特の美しさを感じさせる何かを持っています。巷で云われるほど宗教色も濃くありませんので抵抗なく楽しめると思います。

ジョンレノンほどとは云いませんが、もう少し今日の命日をメディアが取り上げて彼の功績を讃えてくれてもいいのではないでしょうか。現在では再評価の気運も見当たらないのがジョージのファンとしては悲しいところです。

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2004.11.24

フレディ・マーキュリー

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本日11月24日は英バンド「クイーン」のボーカリスト、フレディ・マーキュリーの命日です。HIV合併症によるカリニ肺炎で亡くなったのが1991年ですから13回忌と云う事になります。もうそんなに経ってしまったんだと云うのが私の印象ですね。彼については語りたい事が山ほどあるのですが、それだけに整理し切れないので今回は止めておきます。
今日はフレディの冥福を祈って先日購入したライブエイドのDVDを見て過ごそうと考えています。

最後に皆さん、ホモゲイに拘わらずコンドームはちゃんと付けて事に臨みましょう。私も毎年ある健康診断の度に戦々恐々としてしまいます。最近はどこにでも病原体が存在している可能性がありますからねえ。

もうひとつ毎年思う事なのですが、フレディの代わりにエルトンが逝っちゃってくれたら良かったのに……。

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2004.11.18

t.A.T.u

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2003年に何かと話題を提供してくれたロシアの女性デュオです。

彼女達のデビューした先年あたりから音楽の先進国アメリカを中心として女性アーティストが続々と登場し始めました。特に10代の天才少女と云う冠を付けるのが流行していましたね。
ミシェル・ブランチ、ヴァネッサ・カールトン、アヴリル・ラヴィーンあたりが現在でも生き残っている人達でしょうか。彼女らは自らが楽器を操り作詞作曲している事を売りとしていました。先行者であるミシェル・ブランチが激しいギターを弾くPVを見て、同じ10代の女の子の間でエレキギターが流行している事も話題となりました。
そのような女性アーティスト達が成功している中にあってタトゥーはデビューしたと云う事になります。売りはロシアのレズビアンと云う衝撃的なものでした。
本国で話題になっていた彼女らを商品として買い付けたのが、ペットショップボーイズなどのプロデューサーで有名なTホーンです。彼が編曲したシングル2曲と若手プロデューサーにお任せしたであろう何曲かを纏めてアルバムとすると、奇抜な流行を良しとする英国で売り出しました。
そして計算通りの大ヒットとなったのです。この時の英国におけるタトゥーブームは常軌を逸していたそうですね。私もこれを聞きつけてCDを買った一人でした。

ご存知の通りこの半年後に日本でも同様なブームが巻き起こります。ファッションと過激な発言などで女子高生を中心として人気を得た訳ですが、またご存知のように色々な問題を起こした彼女達は、惨めな武道館公演を最後として活動を停止せざるを得ない状況に自らを追い込んでしまったのです。
僅か1年前の事ではありますが、いまタトゥーの話題を出す人は先ずいないでしょう。ファンであったと公言すれば冷笑されるのが衆目の一致するところだと思います。

しかし今だからこそタトゥーのCDを冷静に聴いて見てはいかがでしょうか。
80年代のエレクトロポップスを思わせるアルバムは非常に高い完成度を持っていると云えます。サビのリフレインを多用する楽曲は、メインボーカルであるユーリャの緊張感のあるハイトーンボイスと相俟って素晴らしい出来となっています。ザ・スミスのカバー曲(原曲とはかなり違う)があるのも見逃せない部分です。

普段洋楽を聴く方でもあのようなタトゥーを敬遠してアルバムを購入しなかった場合が多いと思われます。印象だけで自らに決定を下したのだとすれば非常に勿体ない事をしているのではないでしょうか。他者からもたらされた偏見とは自らを停滞させる罪悪であると考えます。全ての人がタトゥーのアルバムを評価して讃えるとも思いません。しかし、風潮だけで物事を評価する態度には軽蔑を催されます。良識とは物事の把握から始まる人間の事業であると考えられるからです。

結局のところファッションや話題だけで洋楽CDが100万枚売れると云う事はないと思います。アヴリルの1St.アルバムは200万枚も売れたそうですが、変に重々しく勿体振った彼女の曲よりも、タトゥーのポップなアルバムの方が個人的には好みで随分と聴かせていただきました。

と云う事は、以前100万枚売れたとされる反町隆史さんのデビュー曲ももしかしたら大変な名曲だったのかも知れませんね。

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2004.11.08

HOME / ディクシー・チックス

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2002年に発表された女性カントリーグループ「ディクシー・チックス」の3枚目のアルバムです。

カントリーと聞いただけで辟易してしまう方も多いとは思いますが、本作は非常に良く出来たカントリーポップスの名盤です。彼女達は1998年にデビューしてから2枚のアルバムだけで2000万枚を売り上げた米国で最も有名な若手グループと云えるでしょう。
カントリーとは書きましたが、どちらかと云えばポップス寄りの楽曲が多いのも特徴です。カントリーで成功した女性は全国区でデビューする際に、必ずポップスを歌わせられるのが米国では通例となっています。ディクシー・チックスの3人も例外ではなく、1stアルバムはカントリーの風味が多少あるもののアイドル路線に乗せられたものとなりました。印象は田舎のセクシー姉ちゃんと云った感じでしたね。PVも肌の露出を多くして人目を集め、実際の演奏力にも感嘆して貰おうと云うものになっていました。
2ndも同様な路線で完成度を高めたアルバムとして大ヒットしています。

3rdアルバムである「HOME」は原点回帰とも取れるカントリー色の強いものとして作られました。編曲もそれまでのアルバムとは変わって、フィドル、バンジョー、スティールギターなどを使いカントリーからの逸脱も見られません。

カントリー出身の有名女性歌手は幾多存在していますが、丁度その頃は皆が次の方向性を模索しているかのような時期でもありました。シャナイアはセレブ路線を突き進み安定を得ましたが、リアン・ライムズのアイドル化は失敗し、ヒルはリスナーを無視するような独自路線へと進んで行きました。
そしてディクシーはカントリーに戻る決意をして「HOME」を作ったのだと思います。

レコード会社との契約の縺れから3年ほど活動停止を余儀なくされていた彼女達は心身ともに大人となり帰って来ました。それまでのアルバムは殆どカバー曲だけで作られていましたが、本作には出来の良い自作曲も幾つか収録されています。カバー曲も未だ多いのですが、編曲をカントリーにより近くして纏まった印象に仕上げて来ました。もともと地元の賞荒らしとして有名であり演奏力に疑いのない彼女達でしたが、今回のアルバムでも高次元の演奏を聴かせてくれています。CDの売上も当初は順調でした……。

米国大統領選でブッシュ氏が再選しましたのでこの話題に触れる事とします。
ディクシー・チックスはイラク戦争が始まって最初にブッシュ氏に異議を唱えた有名人だったのです。「同じテキサス出身者として恥ずかしい。最大の恥だ」との発言をしました。戦争ムード一色だった米国でこれは事件として扱われ議論を巻き起こしました。その結果、ディクシーの曲はラジオから流れなくなり、CDは各州が音頭を取り焼き捨てられました。そうしてディクシーのコンサートは各地でブーイングのみを喝采として盛り上がり、中止せざるを得ない状況に追い込まれて行ったのです。
それでもブッシュ氏への攻撃を緩めなかったディクシーは音楽業界から完全に干されてしまったと同様になりました。TIME誌の表紙で裸にブッシュ氏への当て擦りをペインティングすると云うパフォーマンスまでやっていました。

マドンナやエミネムでさえ自粛していた事をカントリー娘が3人だけでやってしまったのです。当初からMムーア監督は支持をしていましたが、米国では影響力を持っていない彼でしたので何の意味もありませんでしたね。
この問題がやや落ち着いた頃を見計らって言動を起こしたU2のボノや、曲に暗喩を込めて発表したBスプリングスティーンなどは大人だなと思います。
ディクシーも一年ほど経てから多少折れた発言などもしましたが、未だに彼女達の曲が米国で流れる事はありません。日本の有線ですら放送していないのが現状です。

ブッシュ氏が再選した事でディクシーの復帰はまだ先になるだろうとは思います。以前に比較すればブッシュ氏への批判も許容されているでしょう。しかし正直に思った事を最初に行動として表しただけの彼女達が不憫に思われて仕方がありません。ファンとしてはただディクシー・チックスの曲が聴きたいだけなのですが。

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2004.11.04

嵐が丘 / ケイト・ブッシュ

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1978年ケイト・ブッシュが19歳の時に出したデビューシングルです。
同年に発表されたアルバム「天使と小悪魔 (洋題 : The Kick Inside)」に収録されています。

良く出来たポップチューンである本作は、彼女の独特な声と特異なキャラクターに依って本国イギリスでは瞬く間に大ヒットしました。
Eブロンテの同名小説から材を取った曲で、複雑な家庭環境と愛憎劇の中にある一瞬の心理を描くものとして作られています。
ケイト・ブッシュはピンクフロイドのDギルモアに見出されて音楽の道へと歩を進めた人なのですが、現在の女性シンガーソングライターの雛形ともなった閨秀作家と云えるでしょう。それ以前にも少数の女性シンガーソングライターは存在していましたが、どちらかと云うとキャロルキングなどのように地味な裏方の存在でした。
容姿と才能を兼ね備えて表舞台に打って出た最初の存在として有名なケイト・ブッシュは、現在で云う不思議少女の祖でもあります。

鼻から頭に抜けるようなハイトーンボイスはいま聴いても独特な新鮮を提供してくれますし、ライブパフォーマンスもパントマイムと激しい踊りを主とした奇妙な感覚を見る者に与えます。詩も他にはない独特な雰囲気を持っています。近親相姦を思わせる内容が多い事も特徴でしょうね。
それ以上に目つきが怪しいと思わせます。視線がどこにあるのか判然としません。それでいて自然なセックスアピールを感じさせる佇まいもデビュー当時から身に付けていました。

メロディメーカーとしての才能も非凡であり初期の2枚のアルバムでは、ハイトーンボイスに絡めた極上のメロディを作り上げて確固とした存在感を業界に残しました。これは007シリーズのタイトル曲を依頼されている事ででも知れます。しかし、予定調和的な曲作りをしたくないとして断っているのも彼女らしい逸話だと思えます。

地位と名声を獲得したケイト・ブッシュは、3枚目のアルバム「魔物語」でセルフプロデュースを務めるとそれまでの作風から逸脱して行きます。4枚目のアルバム「ドリーミング」では本格的に監修を行った事でそれまでのファンが全て離れて行ったと思わせるような狂気の世界へと進んでしまいました。甘いハイトーンボイスは影を潜め、オーバーダビングを多用し始めた事も原因です。当時のファンにとって「ドリーミング」はまさしく悪夢のようなアルバムだったと云えるでしょう。それ以降は現在までリスナーを限定する独自路線を歩み続けています。

ケイト・ブッシュは女性アーティストとして自らの進む道を全うしている初めての存在だとも云えると思います。日本では「嵐が丘」意外ほとんど知られていない彼女ですが、イギリスでは同じく女性アーティスト達から大きな尊敬を未だ集めています。近年、影響力の大きいアーテイストだけに贈られるクラシックポップス作曲賞なども受賞しています。

来年あたりに通算8枚目のオリジナルアルバムが発表されるらしいので、これを機に「ウーマンズワークス」たる彼女の生き様を勉強して見てはいかがでしょうか。ハイトーンボーカルに抵抗のない方でしたら初期の2枚は大変お奨めのアルバムになっています。ただ、それ以降のアルバムは絶対に購入しないで下さい。間違いなくケイト・ブッシュ嫌いになると思われます。
しかし順を追って聴いて行く事で彼女の毒が貴方を魅了して離れなくしてしまうかも知れませんが。

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2004.10.14

ホープス・アンド・フィアーズ/ KEANE

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今年の4月頃に発売されたUKロックバンドのデビューアルバムです。

友達に奨められて購入して見たのですが非常に良いアルバムでした。ロックバンドとは書きましたが、ギターレスの3ピースなのでピアノメインのポップス寄りと云った方が良いかも知れません。
いかにもUKらしい雰囲気の音楽で、コールドプレイほど先鋭ではなく、トラヴィスと較べても優しくて、レディオヘッドよりは聴き易い…と云った印象を受けました。
先行シングルで発売され邦版のCDにはPVも収録されている「Somewhere Only We Know」など名曲揃いの本アルバムですが、私が最も気に入ったのはヴォーカルのトム・チャップリンくんの声でした。
聴き始めた時には気付かなかったのですが、注意して聴くとクイーンのフレディ・マーキュリーにそっくりなのです。特にヒアリングと涎の垂れそうな息継ぎは'70年代前半の彼に本当によく似ています。曲も初期のフレディが書きそうなメロディのものもあったりしてチャップリンくんかフレディかと錯覚してしまうほどです。
英国でのクイーンの影響は絶大なものなので、チャップリンくんもフレディのファンなのではないかと思います。

私と同世代(30代半ば以降)の洋楽ファンは最近の新人が出したCDを聴かない事が多いと思います。しかしキーンのような若いロックバンドでも私達を楽しませてくれるアーティストが増えて来ているのも事実です。好みの差はあるでしょうが、ストロークスやホワイトストライプスなど、私達のあの頃を意識したアーティストが続々とデビューしています。最近の音楽はなどと云う偏見を捨てて新しい物に挑戦して見てはいかがでしょうか。
その手始めとしてキーンの本アルバムは最適だと思いますよ。

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2004.10.12

プリーズ・プリーズ・ミー/ THE BEATLES

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ビートルズが1963年に発表したデビューアルバムです。
彼らについては殆ど全ての事が語り尽くされているので特に書く事もないのですが、このアルバムに関しては予算などの都合上約半日で一発録りに近い形で作られた事もあり、非常にライブ感のある佳作に仕上がっています。
私が初めて購入したビートルズのアルバムは「パストマスターズ2」だったのですが、ご存知のようにシングル曲やアルバムから何らかの理由で漏れた曲の集合であるこのアルバムを好きになれませんでした。ビートルズとはこんなものなのかと以降聴く機会を自ら放擲してしまったのです。
数年後、バンドでビートルズを演奏しようと云う事になり必要上「プリーズ・プリーズ・ミー」を購入しました。
改めて聴いたビートルズは衝撃的でした。私の今迄抱いていた印象である「パストマスターズ2」の単調さや「レットイットビー」「ヘイ・ジュード」など有名曲の辛気臭い感じとは無縁の勢いのあるデビューアルバムは、それこそ私を夢中にしてくれました。キャッチーでハードなロック、甘くて切ないバラード、カヴァーを自家薬籠箱にしてしまう力、盗作まがいのポップス(アスクミーホワイ、PSアイラブユー)。全てが新鮮でした。
以降私はすぐさまビートルズの全アルバムを買い揃えてしまいました。順を追って聴く事で「パストマスターズ2」の意味や位置も判然し好きなアルバムとなりました。
この事で勉強させられたのは、たった一枚のアルバム、ひとつの作品で全てを評価しないと云う態度です。もし初めて購入したアルバムが初期の名曲がぎっしり詰まっている「パストマスターズ1」であったのなら、私はここでビートルズのファンになっていただろうと思います。しかし今では「パストマスターズ2」があったからこその自分だと思えるのです。このアルバムと「プリーズ・プリーズ・ミー」こそがまさしくマストアイテムだと云えます。
もしビートルズを真剣に聴いた事のない方がいるならば、年代順を追って購入する事をお奨めします。聴いていないビートルズのアルバムの数だけ人生に幸せが残っているなんてとても羨ましい事実ですよ。

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