2012.07.04

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 48

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●クレイジークライマー
日本物産 1986年12月26日発売

原作は1980年に発表されたAC版です。ビデオゲーム史上最も特異な操作システムを持った作品で、その独創性とそこから生ずるゲーム性はまさしくオンリーワンと呼ぶに相応しい名作に仕上がっています。

レバー2本がそれぞれ左手と右手に連動しており、交互に上下入力する事でビルを登って行きます。この操作感覚は素晴らしいの一語に尽きます。初めて遊んだとしても直感だけで操作する事が出来、思ったように操作出来なかった際のもどかしさも含めて、ビデオゲーム史上初めての体感ゲームと呼べるものに仕上がっています

AC版は1周4面のループなのですが、FC版は全8面のエンドゲームとなっています。
また追加アイテムや隠し要素が加わる事で時代に即した移植作品となりました。これまで忠実な移植と些細な変更しか行っていなかった同社としては大胆なアレンジ作品と云えるでしょう。
ビル内部に侵入する隠し要素以外は、ゲームシステムから逸脱していない良い方向性で纏まっています。

特殊な操作はコントローラーⅠ、Ⅱを同時に使用する事で解決しているものの、AC版のような体感度はかなり減ってしまいました。ソフトに同梱されていた「クライマースティック」も却って使い心地が悪かったと記憶しています。

ファミコン作品として悪い出来映えではなかったのですが、本作の醍醐味はやはりレバー2本を使った直感的な面白さによるところが大きいと再確認させられました。
因みにAC版はレバーを2本用意出来るのであれば、32年後の現在に遊んでも当時と同様のゲーム性を感じられる奇跡の逸品として輝きを失っていませんよ。

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2012.07.01

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 47

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●アルカノイド
タイトー 1986年12月26日発売

原作は同年に発表されたAC版です。当時のゲーセンはマニア向けの作品が幅を効かせており、お金を落としてくれると云う意味に於いて良いお客であったサラリーマン(所謂サボリーマン)たちは、随分と肩身の狭い思いをしていたと云えるでしょう。
そんな折りに突如発表された本作は「ブロック崩し」を現代風にアレンジしたものでした。

誰もが知っていて遊んだ事のあるゲーム内容に進取の気勢は見えませんが、退嬰と時間潰しの権化たるサボリーマンにはまさしく神のようなゲームに写ったのではないでしょうか。シンプルなゲーム内容に中毒性のある淡々としたゲーム性、アイテムの引きによる適度なランダム性。反射神経にのみ頼らない知的な佇まいなど……インカムの高さも相俟って以後の評価を紛う事なき名作へと押し上げました。

実際のところカラフルなゲーム画面とパドルコントローラーを使った良好な操作性。透明感のある素晴らしいサウンド。壊せないブロックと耐久力のあるブロックの追加アイディア。絶妙な難易度設定……これ以上はないと云う高みで完成された作品に仕上がっています。
また、これは全国に多くの直営店を持っていたタイトーだからこそ企画し得たマーケティングの勝利だったと云えるかも知れません。

本作の社会的ブームを受けて、各メーカーも「ブロック崩し」リメイクに参戦しますが、元祖リメイク作品の完成度を前にして三番煎じほどの評価も得られませんでした。

以後タイトーはビデオゲーム黎明期の名作をリメイクし出します。

ドットイートゲーム「ヘッドオン(1979 セガ)」を「レイメイズ(1988)」として。
風船割りゲーム「サーカス(1977 Exidi)」を「プランプポップ(1988)」として。
陣取りゲーム「QIX(1981 タイトーアメリカ)」を「ヴォルフィード(1989)」として。

プランプポップを除けばリメイクの枠を超えてやろうとする気概も見えますが、残念ながらヒット作品とはなりませんでした(ここらの考察は以後機会があったら書く予定です)。

またアルカノイドの続編として「アルカノイド リベンジ オブ Doh」を翌1987年に発表しましたが、思ったほどのインカムと評価も得られませんでした。
続編としてはグラフィックスが美しくなり、ラウンド数やアイテム増加と正常進化したものだったのですが、操作性が良くなった以外、ゲームとして蛇足をしか感じないものとなっています。それだけ「アルカノイド」が完成した作品だったと裏書きしたに過ぎなかった訳です。


ファミコンへの移植版はかなり忠実に再現したものとなっています。専用のパドルコントローラーまで付いていて、操作方法からもゲーム性を追求しようとした節があります。
ただ原作の縦画面を家庭用TVの横画面に移植した事で、ブロックと操作するパドルの位置が近くなり、随分と難度が上がってしまいました。
粗製濫造のタイトーにしては真面目な仕事に見えたのですが、もう少し融通を利かすか考えて欲しかったところですね。

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2011.12.09

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 46

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●ディープダンジョン
DOG 1986年12月19日発売(FCD)

ファミコン初の全編3DダンジョンRPGですね。操作性やゲームバランスに難のある作品だったと思うのですが、この手のRPGに飢えていた私は発売日に書き換えして楽しませてもらいました。
3Dマップを方眼紙に書き起こして行く作業の充実感は、それだけで冒険していると云う気分にさせてくれたものです。

今はとてもじゃありませんが、そんな悠長なプレイスタイルを楽しむ余裕なんてありません。いつの頃から時間に追われる忙しない大人になってしまったんだろう……。


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●闘いの挽歌
カプコン 1986年12月24日発売

原作は同年に発表されたAC版となっています。AC版の記事は以下でどうぞ。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2004/12/post_11.html

忠実な移植を目指したと云うよりは、ファミコン向けにマイナーアレンジを加えた作品となっています。
これまであった同社の移植作品とは違っていて、純粋にゲーム部分を再現しようとしている節が見受けられます。
今迄がグラフィックス7、サウンド2、ゲーム性1……と云う案配だとすると、本作はゲーム性6、グラフィックス4、サウンド2……ほどに変化していると云えるでしょう。

これにより「魔界村」などと較べて断然まともに遊べるレベルとなっています。
どのような理由で以て移植方針が変わったのかを知る術はありませんが、これは歓迎すべき方向転換には相違ありませんね。
穿った見方をするならば、ファミコン性能では致し方ないと云う理由で、AC版グラフィックスの再現を諦めて見たら、ゲームとして遊べるレベルのフレームレートを入手する結果が付いて来ただけ……とも考えられます。

原作であるAC版がマイナーであるが故、見逃され易い作品ではありますが、ゲームメーカーであるカプコンがファミコンへオリジナル作品を提供する前夜に、その岐路を確認させてくれる重要なゲームであったと云えるのかも知れません。

高難度で知られる原作をマイルドな風合いに調整した事で、現在でもそれなりに楽しめる作品となっています。スクリーンショットを撮る為にプレイして見たのですが、25年後に改めてゲームとしての「不朽」を考えさせられました。売上本数と話題性に優れ未だ語られる事の多い「魔界村」よりもずっと楽しめるゲームであると肯える皮肉を以てして。


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●聖飢魔Ⅱ 悪魔の逆襲
CBSソニー 1986年12月24日発売

旧態依然としたゲームシステムのキャラクター版権物……としか云いようがありません。内容としては横に2画面分の広さを持ったフィールドで行われるサイドビューのジャンプアクション物で、地形に阻まれた形で配置されているターゲットを全て回収すると1面クリア。ちょっとしたパズルアクションシューティングとも捉えられます。。

全てに於いて中途半端な出来でアイディアにも何ら創意工夫を見出だすこと能わず。低俗凡庸を地で行く作品と云えるでしょう。
しかし当たり前のゲームシステムであるが故、なんとなく遊び続ける事も出来てしまいます。聖飢魔Ⅱを目当てに購入したライトユーザーであれば、これはこれで良かったのかも知れません。否、そんな筈ありませんね。このようなやっつけ仕事で垂れ流されて行くゲームがファミコン業界を斜陽へと陥れて行った訳ですから。

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2011.11.22

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 45

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●光神話 パルテナの鏡
任天堂 1986年12月19日発売(FCD)

基本的にはサイドビューのジャンプアクションシューティング物となっていますが、最終面だけ強制横スクロールのシューティング面となっています。

最近ですと任天堂の作品と云うだけでゲーム内容のクオリティは保証されており、まずハズレはないだろうとする安心感が定着していますが、この当時はアタリハズレのムラがある印象が強かったと云えます。
特にディスクシステムの作品にはハズレが多いとされていました。「謎の村雨城」はもとより、現在では名作の誉れ高い「メトロイド」も駄作扱い、「スーパーマリオ2」もその難度が高すぎる事から賛否両論がありました。ゼルダの続編「リンクの冒険」もジャンプアクションにゲームシステムが変更された事で怪訝を催した方も多いかと思います。

本作「光神話 パルテナの鏡」もクソゲーのレッテルを貼られていたと云えるでしょう。
地味なゲーム内容、冴えないグラフィックス、理不尽な難易度、人を小馬鹿にしたようなふざけた演出……などなど、クソゲーまでは行かないにしても良質な作品とは云い難いとするのが正直なところでした。

ギリシャ神話をモチーフにした世界観が受けてか海外では人気があり続編も出ているものの、私たち日本人には感情移入出来るものではなかったと云わざるを得ません。とは云いながら本作は売上109万本のミリオン作品となっています。ディスクシステムのユーザーが新作に飢えていた事の証明かも知れません。併せてクリスマス商戦に乗ったのが大きかったと見るべきでしょうか。

ゲームシステムだけ見ると「メトロイド」の義兄弟か従兄弟あたりに位置する内容となっています。メトロイドは探索に重きが置かれて、パルテナの鏡はジャンプアクションに傾いていると云えば良いでしょうか。この相違は「ゼルダ」と「村雨城」の関係にも近いと云えますね。

本作では他のアクションゲームではあまり見られない経験値システムが取られています。
敵を倒した際に出現するハンマーを取得する事で経験値が溜まって行くのですが、リアルタイムではなく、面クリア時に溜めたハート相応のレベルが上昇するものとなっています。
これは他のゲームで云うと「ウィザードリィ」の宿屋でレベルアップするシステムと同様であると云えますね。

敵が無限湧きするシステムなので、如何に序盤で我慢して経験値を稼ぐかが重要となります。ちまちまと地道に経験値稼ぎするのが好きな方でしたら楽しめるとは思うものの、これは一般的に面白い作業とは云えないでしょうね。敵の動きもいらやしいものが多い事から苛々させられるのもマイナス部分ですし、アイスクライマーよろしくスクロールさせた後に画面外に落ちてしまっても死亡。挙げ句「ヤラレチャッタ」と云う文字とおちゃらけた音楽……これはクソゲーと呼ばれても致し方ないでしょう。

個人的には地味な経験値稼ぎも含めて嫌いなゲームではありません。我慢を積み重ねた末に入手出来るパワーアップの爽快感はなかなかのものでしたし、ゲーム内容も最初に受ける印象よりもバラエティに富んでいて楽しませてくれます。最終面の横スクロールシューティングもワクワクさせられます。

しかし今から遊び始めて楽しめる作品ではないでしょうから、カービィの桜井政博さんが現在制作しているNITENDO3DSの新作に期待した方が良さそうですね。

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2011.09.20

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 44

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●ガルフォース
HAL研究所 1986年12月10日発売(FCD)

原作はモデルグラフィックス誌で連載されていた模型を使ったフォトストーリー物となっており、以後OVAや小説、ゲームとマルチメディア展開がなされました。

技術力のHAL研が制作した作品でなるほど良く出来ているのですが、ゲームとしては単調の域を出ていません。これは以前も以降も同社の抱える問題点と云えるでしょう。
「ザナック」になれなかった作品……この一言で片付けられるものとなっています。


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●謎の壁 ブロックくずし
コナミ 1986年12月13日発売(FCD)

同年に大ヒットしたAC版「アルカノイド」の影響下に作られた作品として良いでしょう。
アルカノイドはゲーセンで暇を潰すサボリーマンを中心に支持された大人向けの作品でしたが、「謎の壁 ブロックくずし」はファミコン用と云う事で、ポップなキャラクターとグラフィックスを用意した子供向け作品と云う印象で纏まっています。タイトルにある通りちょっとした謎要素が当時のトレンドを偲ばせます。

ゲームとしても良く出来ており、ゲーム性は緩いものの十分楽しめる内容となっていました。独創性が高いとは云えませんが、ただのパクリゲーとせずにコナミならではの味付けを感じさせるのが良いところですね。


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●メトロクロス
ナムコ 1986年12月16日発売

原作は前年に発表されたAC版でナムコ黄金期最後の佳作群のひとつとなっています。AC版の記事は以下でどうぞ。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2004/11/post_10.html

良く出来た移植物で個人的にも大好きな作品なのですが、クラッカージャンプの判定がシビアで原作よりも難しく感じられます。ファミコンのみの隠しアイテムがある事で軽減されているものの、大きくジャンプする爽快感とテクニカルな操作感覚は減殺されていると云わざるを得ません。でも隠れキャラの女の子に祝福のキスをされるのは嬉しいかも。

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2011.09.16

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 43

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●たけしの挑戦状
タイトー 1986年12月10日発売

歴代クソゲー十指に数えられるであろう作品として有名ですが、ビートたけし氏のネームバリューにより売上80万本のヒットを記録しています。
実際の中身はと云うと……やはりクソゲーである事に変わりません。本作の制作過程に於いてたけし氏自身が深く関わっている事は有名です。当時メーカー名や内容は伏せられていたものの、氏は自身のラジオ番組でゲームの企画に携わっている事実を何度となく口にしていました。その口調からは新しい仕事に対する責任と自信、玩具を与えられた子供の嬉々とした感情が同時に伝わって来たものです。

現在では一流映画監督としての地位を築いている氏が、それ以前に関わった初めてとも云える形として残るクリエイティブな仕事であったとして良いでしょう。そのような欲求があったればこそのゲーム制作への介入だったのだと思います。

しかし完成した作品は押しも押されぬ歴代十指に残るクソゲーであった。
これには当然とも云える理由があります。氏がラジオで語っていたゲームの制作方法は、アイディアの羅列にのみ終始していました。これまでにないゲームを作ろう、今迄あったゲームの常識を覆そうとする姿勢は、業界へのアンチテーゼとして立派な行いだったと思います。
ただ、それを実行しようとする為にはビデオゲームの歴史を知っていなければなりません。ビデオゲームとは一本の根幹のみで楽しませるエンターテイメントなのです。根幹とは即ちゲームシステムに他ありません。ポンからインベーダー、ヘッドオンからパックマンへと変遷して云ったゲームシステムの理解が重要なのです。ゲームシステムの理解なく付け足されたアイディアは蛇足となるかゲームバランスを崩壊させる結果をしか生まないでしょう。

たけし氏は本業に於けるお笑いでも王道を揶揄するカウンター勢力の旗手として名を馳せた方だと思います。既存のワンパターンを善とする芸に冷水や熱湯を浴びせるかのような過激さに私たちは痺れたものです。
たけし氏は、「挑戦状」制作以前に当時一大ブームを巻き起こしていたたファミコンへ興味を示し一部のゲームを夢中で遊んでいた事実もあります。「ポートピア連続殺人事件」には特に感銘を受けていたようで、テレビで犯人をバラしてしまったのも有名な逸話ですね。

この事から察するに氏はアドベンチャーゲームのように物語性の高い作品を意識していたのではないかと思います。氏がゲーム制作に携わる以前に「挑戦状」は既に横スクロールのアクション物として企画され制作も始まっていたのではないでしょうか。そこに氏がアイディアを持参してリスタート。制作期間の問題からゲームシステムの改変は不可能だったので、横スクロールアクションにアドベンチャー要素を加えて行った。熱心にも日々持ち込まれる荒唐無稽な発想のアイディア。「ビートたけし」と云うビッグネームに尻込みをして操舵出来ないゲームプロデューサー。作品はゲームシステムにそぐわないアイディアを羅列するものとなり歪曲するだけして行った……私はこのように演繹します。

このような工程であったかは分かりませんが、結果としては同様な制作方法であったのではないでしょうか。これは以前書いた「MOTHER 3」に於ける糸井重里氏と任天堂の関係とも同じくしています(どちらとも私の想像の域を出ていませんが)。

私は個人的に芸人ビートたけし氏の大ファンであるのですが、映画を含めた氏の映像作品には敬意を表せない立場にいます。詰まるところ氏の映画も「挑戦状」と同様な制作態度から作られているようにしか見えないのがその理由です。
映画の根幹とは間違いなく「シナリオ」なのですが、氏の作品はそのシナリオに力がありません。大雑把な梗概に小さなアイディアを後から乗せて行き、それなりに綺麗な映像で形を整える……これが北野たけし作品の特徴だと思います。
それでも映画として楽しめるものとなっていて評価されているのは、映画制作がプロフェッショナルの集団で作られているからでしょう。制作、脚本、カメラ、照明、記録それぞれの部門にプロが存在し、大きなリスクと多くのマンパワーによって完成へと漕ぎ着けるのです。
そのような制作過程に於いて、たけし氏の奇抜な発想や独善的な表現が一般レベルへと均されて行くのです。これにより見るに堪える作品が完成する。

私はこれを「5/10理論」としています。
どれだけ斬新で素晴らしいアイディアを几案したとしても、具体的な形へと行き着く間にそれが平均的なものへと落ち着いてしまうと云う意味です。
本当に斬新なアイディアを形とする為には「20」の発想を用意しなければなりません。そうすれば「10」の発想を具体化出来る訳です。
発想力は無限の力を欲しいままに出来ますが、表現力には限界があると考えるからに他ありません。云い変えれば個人の行動に制限は付けられませんが、団体行動には規律が必要になるとも云えます。
規律とは中庸であり粗暴と怯懦の間に存在する客観的な「徳」であるのです。

スタッフ関係者への気遣いを心掛けるたけし氏の作品には、内容とは別にこのような「美」が感じ取れるような気がします。氏の作品は彼のものではありますがスタッフの作品でもあるのです。

当時の少ない開発メンバーで作られた「挑戦状」には、たけし氏が敬意を表せるスタッフも、斬新とは云えないただの我儘を矯正し得るプロデューサーも存在しなかった。そうして何よりも氏がビデオゲームを理解していなかった……。歴史的クソゲーは生み出されるべくして生まれたとするべきでしょう。

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2011.09.08

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 42

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●プロ野球ファミリースタジアム
ナムコ 1986年12月10日発売

「コンピューターのスポーツゲームがこんなに面白いわけがない」と独りごちてしまうほどのエポックメイキングな作品と云えるでしょう。
野球と云う複雑なルールで成り立つスポーツを、合理的な操作方法に落とし込んだのが本作の画期的な部分です。

とは云っても決して簡単な操作で纏められているのではなく、初見から野球そのものの醍醐味を味わえる訳ではありませんでした。まともな試合を行えるようになる為には、それ相応の鍛錬が必要であり複雑な操作システムを熟知しなければならないのです。

普通であれば諦めてしまってもおかしくないほど難しい操作方法であると云っても良いと思います。しかしゲームの導入部であるバッティングとピッチングが直接的な操作方法となっており、猶且つ高いゲーム性を所持している事から簡単には放擲したくないと思わせます。

そうして複雑な守備、走塁を思う通りこなせるようになると、こちらの方にこそ麻薬的なほど中毒性の高い面白さが隠されている事に気付かされます。
投球と打撃がアクションとしての面白さを喚起させ、守備と走塁にはリアルタイムストラテジー的な楽しさが内包されていると云えば良いでしょうか。

また守備面のシステムには本作ならではの大発明が組み込まれています。
画面外へはみ出してしまった飛球を音の高低とスクロール速度で認識させると云うものです。初心者が本作のシステムで最初に蹉跌する部分ではあるのですが、これこそがファミスタであると云い切っても良いほどの大胆で画期的な施策だったと思います。

容量の少なさが災いして阪急と近鉄、ロッテと日本ハムが合同チームとなっていますが、日本プロ野球12チームを網羅し、ほぼ実名に近い選手が個々のパラメータを持ち登録されている事もファンには堪らない部分でした。

そして対戦プレイの面白さは口や筆では書き表せないほどの素晴らしさを毎試合提供してくれました。これまで以前にあった任天堂のスポーツゲームも素晴らしかった事に疑いを挟めませんが、ファミスタの面白さは別次元とも取れるほどの代物だったと云えるでしょう。これを証拠付けるように本作は売上205万本の大ヒットを記録しています。

現在はコナミの「パワプロ」にスタンダードの座を奪われてしまった感のあるファミスタですが、祖にして革命児である彼の名がこれからも朽ちる事は決して有り得ません。

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2011.09.02

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 41

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●きね子
アイレム 1986年11月28日発売(FCD)

原作は同年にソニーがMSX2用に発売したものだそうです。私はずっとアイレムのオリジナル作品だとばかり思っていました。

チープ感漂うタイトルからゲーム内容が想像出来ない作品のひとつと云えるでしょう。簡単に説明すると「動く絵のジグソーパズル」となっています。
アイディア性に優れており、ピースの反転要素がパズル性の構築に深みを与えています。

操作性に難があるものの当時は夢中になって最後まで遊び込みました。現在にプレイしてもパズルゲームとしての楽しさは色褪せていませんが、どうせだったらマウスによる軽快な操作で新作を楽しみたいところです。

因みにタイトルの「きね子」は「キネティックコネクション」の略称である訳ですが、擬人化した事で本来の意味をなくし、内輪受けの曖昧さと狙い過ぎた衒気を入手してしまったと思われます。
ゲーム内容自体はパズル好きへ訴えかけられるに十分なものを持っていたものの、タイトルの印象からユーザーを遠ざけてしまったのではないでしょうか。この事から多くの評価を得られなかった残念な作品のひとつとなっています。


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●キャッスルエクセレント
アスキー 1986年11月28日発売

1985年に国産PC用に発売された「ザ・キャッスル」。そのヒットを受けて作られた難易度の高くなった続編「キャッスルエクセレント」が原作となっています。
ジャンルとしてはアクションパズル物なのですが、その場その場でパズルを解くのではなく、全100画面あるプレイフィールドの繋がりを考えて効率よく立ち回る……と云うものになっています。
限られた資源を有効に使わなければならない部分は、直後に発売された国産PCゲーム最大のヒット作「ザナドゥ (1985)」と同様で、対応する鍵と扉の関係はAC版「イシターの復活 (1986)」に近いと云えるでしょう。

システマチックなゲーム内容で素晴らしい作品なのですが、ファミコンのゲームとしては地味すぎた嫌いがありますね。それを知ってか原作にはない攻撃アイテムが追加されているものの蛇足をしか感じられません。画面切り替えのテンポが悪いのもファミコン版の特徴となっています。

原作のPC-88版は現在に遊んでも腰を据えて楽しめる名作だと思いますが、ファミコン版は些細な点が重なる事でちょっと幼稚過ぎるかな。


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●タイガーヘリ
ポニーキャニオン 1986年12月5日発売

原作は前年に発表されたアーケード版となっており、東亜プランが制作したシューティングゲームの処女作として有名です。AC版の記事は以下でどうぞ。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2005/03/post_16.html

忠実に移植しようとしている感じが見えなくもありませんが、技術が追い着いていないような駄目移植作品となってしまっています。
縦画面のシューティングゲームが横画面になった際に生じるプレイアビリティの低さも露呈。敵が放つ弾の射出方向が少ない為か変な難しさも感じます。グラフィックスも彩りが少なく地味な印象を助長しているかのようです。画面のチラつきも酷かった(スクリーンショットの自機も消えちゃっていますね)。
形だけでも似せようとしたものの如何ともし得なかった。移植に携わった方々の不思議顔が目に浮かびますね。一夜漬けで試験に臨んだのだけれど公式を理解出来ていなかったので答えが書けなかった……みたいな感じでしょうか。

ハドソンのスターフォースに続けとばかりに、ACゲームの椅子取り合戦を繰り広げる金儲けをしか考えていないメーカーならではの駄作と云えますね。

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2011.04.11

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 40

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●ザナック
ポニーキャニオン 1986年11月28日発売(FCD)

原作は同年に発売されたMSX版でファミコン版はその豪華アレンジ・バージョンとなっています。両者とも開発はコンパイル。

ファミコン・シューティングゲームの最高傑作であり、延いてはビデオゲーム・シューティングの頂点と云っても過言ではないほどの完成度を誇っています。
その完成度は計算されて作られた類のものではなく、突然変異的に生まれたと見るのが妥当だと思われます。

MSX版で完成していたゲームシステムに、ファミコンのスプライト機能を限界まで使い切ろうと大量の敵キャラクターを表示させて見た……ここに制作側が意図していなかったゲーム性が生じたのではないでしょうか。
このように考えた理由は幾つかあるのですが、最もそう思わせるところとしてゲームバランスが余りにも神懸かっているのです。

敵の放つ弾を相殺出来るシステムと自動難易度調整のAIを搭載しているにも関わらず、絶妙な難易度を全面に渡り維持し続けている事実には、人智を越えた何かを感じさせて止みません。

オリジナルであるMSX版も良く出来た作品ではあるものの、素人臭さの残る風変わりなシューティングゲームの域を出ていません。
ファミコン版も基本ゲームシステムが同様でありながら、別次元の面白さを入手してしまったと見るのが自然だと思います。
その証拠には以後「ザナック」のゲームシステムを踏襲した続編やその流れを汲む作品が同社から多くリリースされていますが、同等以上の面白さを持つ作品すら作られていない事実でも説明が付きます。

以前にも書きましたが、私はビデオゲームと陶磁器の制作過程は類似していると考えています。
粘土を捏ねて形にしている段階がゲームで云う企画段階。竈で焼く行為がプログラム作成と云えるでしょう。
粘土で形作る原型は陶工の手で納得するまで行えるものとして、かたや竈の中では炎と灰、薪や土、また置き場所と並べ方でも器物に様々な色の変化をもたらします。
企画書の上ではこのようなゲームとしていても、プログラムに組まれる事で偶発的にゲーム性が変化する……私はこれを「ビデオゲーム窯変説」と呼んでいます。

ビデオゲームに限らず芸術の分野に於いて「脳の中身」を寸分違わず現実に形として作り出せる人間は稀有な存在です。
特にビデオゲームは未だ歴史も浅く、ゲーム性の研究さえ行われていない未熟な芸術と云えます。その中で抽象的なゲーム性と云う核心を100%計算して作る事の出来る制作者は皆無だとしても云い過ぎではありません。
多かれ少なかれビデオゲームは制作の過程で「窯変」しているのです。問題はそれがどの程度に於いて良い方向へ偶発したかと云う事実です。

この点で「ザナック」はこれ以上ないと云うほどの素晴らしい「景色」を呈しているのです。

陶芸の世界では長い歴史の中で不確実な窯変ですら、ある程度に於いて操舵出来る技術が生まれています。ビデオゲームの世界でもゲーム性を勘所で計算して作れる制作者は存在しています。しかし、それでもまだ不確実な「何か」である事に留まっているのが現状です。
他の芸術分野を見回しても、その「何か」が解明されている事実は提供されていません。しかし解明出来ないものであったとしても芸術である以上は歩みを止める事は許されないのです。歩みを止めた停滞の先にあるのは斜陽から訪れる零落のみです。

ビデオゲームはその成立上、没落する手前でハード革新に救われて来た歴史を持っています。これからも当分はこの螺旋構造に助けられて行く事でしょう。だからと云って螺旋の芯に当たる「ゲーム性」の研究を怠ってはいけません。
現在行われているゲーム制作は、企画書と云うにはお粗末な仕様書と、見様見真似が許されたソースを元に、平均的な能力をしか発揮出来ないサラリーマンが開発室にたむろっているだけのように感じられます。

名のあるクリエーターはプロデューサーと云う立場に収まり踏ん反り返るばかりで、「ゲーム性」とは何かを考える機会さえも自らに与えていない事でしょう。
大手メーカーは商業を第一に据える必要から、商品と云う小品を垂れ流すプログラムピクチャーとしての役割しか担っていません。または海外から商品を買い付けするだけの目の効かないブローカーと化しています。

これからを担う若手クリエーターたちの意識も低く、中身も分からずに「ハリウッド映画が目標」と臆面もなく云い放っています。ハリウッド映画が世間迎合型の商品工場だと気付いてもいないのでしょうね。

話が逸れてしまいましたが、ビデオゲームは間違いなく芸術の一分野である側面を持っているのです。次世代機の登場以降、実質的に蔑ろにされているこの部分に意識を集中しなければなりません。事実、国内ゲーム作品の質が下がり続けているのは、ゲームの核心である「何か」を軽視してしまった弊害であるのは確実なのですから。

ビデオゲームファン並びに制作者の方々は、MSX版「ザナック」とファミコン版「ザナック」の相違点を今一度研究して見ては如何でしょうか?

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2011.04.10

My Favorite Game 100 ファミリーコンピュータ編 39

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●迷宮組曲
ハドソン 1986年11月13日発売

良質なジャンプアクション物でパズルとアドベンチャー風味の味付けがなされています。
可愛らしい世界観とレスポンスの優れた操作性が素晴らしいと思わせます。自機ミロンの飛び道具である「泡」の軌道も考えられており、敵に攻撃を当て難いと云うストレスを感じさせません。連射時の爽快感もなかなかのものです。全体のゲームバランスも整頓されている事で万人にお勧め出来る作品と云えますね。

しかしハドソン作品の伝統と云うか癖で、効果音のボリュームが低い為かゲーム性がやや低く感じられます。強いて云えばと云う程度の問題なので、これは作品の価値を貶めるものではないでしょう。

本作で最も優れているのは音楽の構成ですね。
楽器箱を入手する事でボーナス面となるのですが、一つのボーナス面を熟す事でBGMの楽器パートが一種類ずつ増えて行くのです。全7種類のボーナス面を消化すると素晴らしいオーケストレーションが完成します。
ゲームの構成とは別にBGMが熟成して行く過程はドラマチックな展開を伴っていると云えるでしょう。独創性に富んでいてシステマティックなアイディアとして感嘆を催されます。

私はリアルタイムでは殆ど遊ばなかったのですが、今からでも始めてみたいと思い続けている作品の一つとなっています。


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●もえろツインビー シナモン博士を救え!
コナミ 1986年11月21日発売(FCD)

ファミコン版「ツインビー」の続編にあたり3人同時プレイが可能となっています。
同社の大ヒット作「沙羅曼蛇 AC1986」に倣い、横スクロール面と縦スクロール面が交互に(5面は例外で縦スクロール)展開して行きます。

なかなか面白いゲームなのですが、横スクロール面とベル取得パワーアップ・システムが上手く噛み合っていません。その為に最初の1面でパワーアップし難いのが欠点と云えるでしょう。この欠点(ベルの挙動)は後日「パロディウス MSX1988」で修正される事となります。

縦スクロール面は前作と同様のシステムとなっている事から、新鮮みはないものの不可もなく楽しめるように出来ています。

新アイテムやフィーチャーがかなり詰め込まれていて雑然としているのですが、シューティングゲームがお好きな方であれば現在にプレイしても楽しめる作品と云えるでしょう。


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●マッピーランド
ナムコ 1986年11月26日発売

マッピーのキャラクターとゲームシステムを使ったスピンオフ的な作品となっています。
一言で表すならば「しょぼいマッピー」としか言い様がありません。
前作にあったポップなグラフィックスは幼稚に、素晴らしいサウンドは素人臭く、ゲームシステムはバッタ物っぽくなってしまいました。
ゲームとしては楽しめない事もないのですが、前作の完成度を知っている側からすると「残念」な出来映えにしか見えません。

但し本作のターゲットが小学校低学年、またはゲーム慣れしていない女の子などのローエンド・ユーザーであったのだとすれば、評価が変わるかも知れません可能性を秘めています。

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●怒
SNK 1986年11月26日発売

原作は同年に発表されたアーケード版となっています。AC版の記事は以下でどうぞ。
http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2005/02/_ikari.html

ループレバーで操作する事を前提に作られた作品を、ファミコンへと移植する事の無理を教えてくれています。特殊インターフェースをボタンの少ないファミコンコントローラーで再現するのは、これ以降も答えを見付ける事の難しい課題でした。

しかし本作はそれ以上にゲームとしての体裁が整っていません。ループレバーなんや以前の問題でゲームになっていないと云えるでしょう。これぞSNKのファミコンゲームと思えるほどの駄作に仕上がっています。まさしく「怒」の込み上げて来るタイトル通りの作品です。

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